「採用に年間500万円以上かかっている」その内訳、把握できていますか?
施工管理を人材紹介で3人採用すると、紹介手数料だけで525万円。年収500万円 x 手数料率35% x 3名という計算です。
建設業の有効求人倍率は5.18倍(厚生労働省・2025年10月)。1人の求職者を5社で奪い合う状況が続いています。採用単価は高騰する一方で、「そもそも何にいくらかかっているのか」を整理できていない会社は少なくありません。
この記事では、採用代行(RPO)の費用相場を料金体系別に整理し、人材紹介や求人広告と年間コストで比較します。「自社の場合、どの手法が合理的か」を判断するための材料をお渡しします。
採用代行の基本的な仕組みを知りたい方は、採用代行(RPO)とは?仕組み・費用相場・選び方を完全解説もあわせてご覧ください。
採用代行の費用相場|料金体系3パターン
採用代行の料金体系は大きく3つに分かれます。まず全体像を把握して、自社に合うモデルを見極めましょう。
採用代行(RPO)の料金体系比較
| 料金体系 | 費用目安 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| 月額固定型 | 月額10万〜100万円 | 継続採用・コスト予測重視 |
| 成果報酬型 | 1名30万〜100万円 | 採用人数が少ない・リスクを抑えたい |
| 従量課金型 | 業務単位で課金 | 特定業務だけ外注したい |
各社公開情報・BOXIL調査(2025年)を基に作成
月額固定型(10万〜100万円/月)
毎月決まった金額を支払うモデルです。業務範囲が広いほど月額が上がる仕組みで、中小建設会社であれば月額10万〜30万円が現実的なレンジです。
BOXIL実態調査(2025年)によると、月額固定型RPOの費用分布は5万〜60万円未満に集中しており、フルプロセスを依頼する場合でも45万〜70万円が上限の目安です。
何より大きいのは、採用人数が増えても追加費用がかからないこと。年間3名でも5名でも、月額は変わりません。予算の見通しが立ちやすく、経営計画にも組み込みやすいのが特徴です。
成果報酬型(1名30万〜100万円)
採用が決まったときだけ費用が発生するモデルです。「採用できなければ費用ゼロ」というリスクの低さが魅力ですが、1名あたりの単価は月額固定型より割高になりがちです。
成果報酬の相場は、採用者の理論年収の15〜35%程度。年収500万円の施工管理なら75万〜175万円の幅があります。人材紹介(年収の30〜35%)に比べれば安いケースが多いものの、対応できる業務範囲が限定的な場合もあるので契約前に確認が必要です。
従量課金型(スカウト1通○円〜)
スカウト送信やスクリーニングなど、個別業務を切り出して依頼するモデルです。スカウトメール1通あたり50円〜、応募者のスクリーニング1件あたり2,500円〜といった価格設定が一般的です。
「まずはスカウトだけ外注したい」「媒体運用だけ任せたい」という企業に向いています。小さく始めて、効果を見ながら範囲を広げていくアプローチが可能です。
採用手法別の年間コスト比較
「採用代行は高いのか、安いのか」。この問いに答えるには、他の手法と年間トータルコストで比較する必要があります。
施工管理を年間3名採用する前提で、主要な採用手法のコストを比べてみましょう。
施工管理3名採用の年間コスト比較
| 採用手法 | 年間コスト目安 | 1名あたり単価 |
|---|---|---|
| 人材紹介(成功報酬) | 525万円 | 175万円 |
| 求人広告(Indeed等) | 240〜480万円 | 80〜160万円(※) |
| ダイレクトリクルーティング | 300〜400万円 | 100〜133万円 |
| 採用代行(月額固定型) | 300万円 | 100万円 |
※求人広告は採用保証がないため、採用できなかった場合の費用を含まない
人材紹介との比較|1名あたりコストの差
人材紹介の手数料は、採用者の年収の30〜35%が相場です。施工管理の場合、年収500万円 x 35% = 175万円/名。1級施工管理技士なら200万円を超えることも珍しくありません。
一方、月額固定型のRPOを年間300万円で利用して3名採用できれば、1名あたり100万円。5名採用できれば60万円/名まで下がります。
採用人数が増えるほど、月額固定型RPOの「1名あたりコスト」は下がっていきます。年間3名以上の継続採用を考えているなら、人材紹介よりRPOの方がコスト合理性が高いケースが多いのです。
御社の採用人数で実際にどれくらいの差が出るか、下のシミュレーターで計算してみてください。
人材紹介 vs 採用代行(RPO)コスト比較
年収400万 x 35%手数料
420万円
1人あたり平均60万
180万円
1人40万 + 月額20万x6ヶ月
240万円
求人広告との比較|運用工数の落とし穴
Indeedなどの求人広告はクリック課金型で、掲載だけなら無料から始められます。有料掲載の場合、建設業では月額20万〜40万円の広告費がかかるのが一般的です。
ただし、建設業の場合は掲載しただけでは応募が来ないという現実があります。求人票の改善、スカウト送信、応募者対応を社内で回そうとすると、担当者の人件費を含めたトータルコストはさらに膨らみます。
総務担当が採用業務を兼務している中小建設会社では、「媒体は契約しているが、運用する時間がなくて放置している」というケースが少なくありません。運用工数まで含めた実質コストで比較すると、RPOに任せた方が合理的なことも多いのです。
採用媒体の詳しい比較は、建設業の採用媒体完全比較ガイドで解説しています。
採用代行の費用を左右する5つの要因
「結局うちの場合はいくらになるのか」。見積もりを取る前に、費用に影響する要因を整理しておくと、適正価格を判断しやすくなります。
1. 委託する業務範囲
求人票作成だけを依頼するのか、スカウト送信から面接調整まで含めたフルプロセスを任せるのかで、費用は大きく変わります。
月額10万円前後で依頼できるのは、求人票作成や媒体掲載の管理など限定的な業務です。スカウト代行や応募者対応、月次レポートまで含めると月額25万〜50万円が目安になります。
2. 採用ポジションの難易度
施工管理のように有効求人倍率が5倍超の職種と、事務職では、候補者を集める工数がまるで違います。難易度が高いポジションほど、スカウトの件数や求人票の作り込みに手間がかかるため、費用にも反映されます。
3. 採用人数と契約期間
年間の採用目標が3名なのか10名なのかで、必要な業務量が変わります。また、最低契約期間が3ヶ月なのか6ヶ月なのかもチェックポイントです。RPOの効果が出始めるまでには通常2〜3ヶ月かかるため、短期契約では成果が見えにくい場合があります。
4. 業界特化か汎用型か
建設業に特化したRPOは、施工管理や技能工の採用に必要な資格要件や業界用語を理解しています。求人票やスカウト文面の質に直結するため、汎用型のRPOと比べて費用がやや高めでも、採用成功率の差で十分に元が取れるケースが多いです。
5. レポーティング・戦略提案の有無
毎月の応募数・面接数・採用数をレポートで可視化し、改善提案まで行うRPOと、単純に業務を代行するだけのRPOでは価格帯が異なります。レポーティングは採用ノウハウの社内蓄積にもつながるため、中長期で見れば投資対効果は高いといえます。
費用対効果を最大化する採用代行の使い方
まず3ヶ月で効果を検証する
RPOを導入したら、最初の3ヶ月でKPIを設定して効果を測定しましょう。応募数、面接設定率、採用数の3指標をベースに、導入前との変化を確認します。
米国人材マネジメント協会(SHRM)の調査では、RPOを導入した企業は採用サイクルを平均30〜50%短縮できたという報告もあります。まずは短期で効果を検証し、継続するかどうかを判断する進め方がおすすめです。
人材紹介と併用してコストを最適化する
「急ぎの1名は人材紹介、ベースの継続採用はRPO」という使い分けも有効です。どちらか一方に絞る必要はありません。
人材紹介とRPOの違いをもっと詳しく知りたい方は、採用代行と人材紹介の違い|コスト・定着率・対応範囲を徹底比較で解説しています。
採用手法の全体像を把握したい方は、建設業の採用を成功させる全手法ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ|採用コストは「1名あたり」で比較する
採用代行(RPO)の費用を検討するときは、月額だけを見るのではなく、年間トータルコストと1名あたりの採用単価で判断することが大切です。
ポイントを整理します。
- 月額固定型RPOの相場は月額10万〜100万円。中小建設会社なら月額10万〜30万円が現実的
- 人材紹介(1名175万円)に対し、RPO月額固定は年間3名採用で1名あたり100万円
- 採用人数が年間3名を超えるなら、月額固定型RPOのコスト優位が明確になる