「採用代行って業務委託?」契約形態を間違えると違法になるケースも

採用代行(RPO)を検討するとき、多くの経営者が最初に悩むのが「これは業務委託なのか?雇用なのか?」という契約形態の問題です。

結論から言えば、採用代行は基本的に業務委託契約(準委任契約または請負契約)で提供されます。ただし、契約の設計を誤ると「委託募集」や「偽装請負」に該当し、法的リスクが生じるケースがあります。

「プロに任せたかっただけなのに、知らないうちに違法だった」。そうならないために、契約形態と法規制を正しく理解しましょう。

この記事では、採用代行の業務委託契約の仕組み、違法になるパターン、建設業特有の規制をわかりやすく解説します。


採用代行の契約形態は3パターン

採用代行サービスの契約形態は、大きく3つに分かれます。

採用代行の契約形態比較

契約形態内容報酬の対象
準委任契約採用業務のプロセスを委託業務遂行そのもの(月額固定が多い)
請負契約採用の成果を約束成果物(採用1名あたり○万円など)
雇用契約RPO担当者を自社に常駐させる労働時間(時給・月給)

現在主流のRPOサービスは準委任契約がほとんどです。「求人設計、スカウト送信、応募者対応などの業務プロセスを月額固定で委託する」形態で、採用人数を保証するものではありません。

成果報酬型のRPOは請負契約に近い形態です。「採用が決まったら1人○万円」という報酬体系ですが、業務の進め方はRPO側に裁量があるのが特徴です。


採用代行が「違法」になる3つのパターン

パターン1:委託募集の許可を取っていない

職業安定法第36条では、自社の求人募集を第三者に委託する「委託募集」には、厚生労働大臣の許可が必要と定めています。

RPOサービスの多くは「採用業務の代行」であり「委託募集」には該当しないと整理されていますが、業務の実態によっては委託募集と見なされる可能性があります。

委託募集の無許可は刑事罰の対象

委託募集を許可なく行った場合、職業安定法第64条により1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。「知らなかった」では済まないため、契約前にRPO事業者の許認可状況を確認しましょう。

具体的には、RPO事業者が自社名義(発注元の社名)で求人を出す場合は委託募集に該当する可能性が高くなります。RPO事業者が裏方として業務を支援し、求人の名義は発注元のままであれば、委託募集には該当しにくい整理です。

パターン2:偽装請負になっている

業務委託契約を結んでいるにもかかわらず、発注元がRPO担当者に対して直接的な指揮命令を行っている場合、「偽装請負」と見なされるリスクがあります。

偽装請負と判断される典型的なケースは以下の通りです。

  • RPO担当者の勤務時間や出退勤を発注元が管理している
  • 業務の進め方について発注元が細かく指示している
  • RPO担当者が発注元の社員と同じ評価や管理を受けている

業務委託であれば、業務の進め方はRPO事業者側に裁量があるのが原則。「何をお願いするか」は決めても、「どうやるか」は任せるのが正しい関係性です。

パターン3:建設現場作業への人材紹介に該当する

建設業でRPOを導入する際に特に注意すべきなのが、職業安定法第32条の11です。

有料職業紹介事業者は、建設業務(土木・建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体の作業)への人材紹介が原則禁止されています。

建設業の職種別:人材紹介の可否

職種有料職業紹介RPO(採用代行)
施工管理○ 紹介可能○ 代行可能
設計・CAD○ 紹介可能○ 代行可能
事務・管理職○ 紹介可能○ 代行可能
現場作業(鳶・溶接・左官等)× 原則禁止○ 代行可能
土木作業× 原則禁止○ 代行可能

職業安定法第32条の11、厚生労働省資料

RPO(採用代行)は「人材紹介」ではなく「業務代行」であるため、この規制の直接の対象外です。ただし、RPOの業務内容が実質的に「人材紹介」と同じ(候補者を探して企業に紹介する)場合は、法に抵触する可能性があるため、契約内容の精査が必要です。

採用代行と人材紹介の違い|コスト・定着率・対応範囲を徹底比較


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安全にRPOを導入するための5つのチェックリスト

チェック1:RPO事業者の許認可を確認する

RPO事業者が「有料職業紹介事業」の許可を持っているか、または持っていない場合にどのような法的整理で業務を行っているかを確認します。厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で許可番号を検索できます。

チェック2:契約書で業務範囲を明確にする

「何を委託するか」を契約書に明記しましょう。特に以下の項目は必須です。

  • 委託する業務の範囲(求人設計、スカウト送信、面接調整など)
  • 指揮命令関係の整理(RPO事業者が自律的に業務を行う旨)
  • 求人掲載の名義(発注元名義 or RPO事業者名義)
  • 個人情報の取り扱い(応募者情報の管理責任)

チェック3:指揮命令関係を整理する

業務委託であれば、発注元がRPO担当者に直接的な指揮命令をしないことが原則です。「毎週の進捗報告」「KPIの共有」は問題ありませんが、「今日はこの業務をやって」という日常的な業務指示は偽装請負のリスクを高めます。

チェック4:建設業の職種別に法的リスクを整理する

施工管理や設計職の採用代行は法的リスクが低いですが、現場作業員(鳶、溶接、左官等)の採用をRPOに委託する場合は、業務の実態が「人材紹介」に該当しないか、より慎重な確認が必要です。

チェック5:フリーランスRPOの場合は特に注意

個人のフリーランスに採用代行を依頼するケースも増えていますが、指揮命令関係が曖昧になりやすく、偽装請負のリスクが法人RPOより高まります。契約書の整備と業務の進め方の明確化がより重要です。

採用代行(RPO)とは?仕組み・費用相場・選び方を完全解説


業務委託RPOと人材紹介、どちらを選ぶべきか

業務委託RPO vs 人材紹介のコスト・特徴比較

比較項目業務委託RPO人材紹介
費用体系月額固定25万円〜成功報酬(年収の30〜35%)
施工管理3名採用時年間約300万円450〜525万円
現場作業員の採用○ 対応可能× 原則禁止(例外あり)
採用ノウハウ自社に蓄積エージェント側に蓄積
契約リスク委託募集・偽装請負に注意法規制はクリア

業界相場より作成

建設業で現場作業員を含む幅広い職種を採用したい場合、業務委託RPOのほうが対応範囲が広いのが現実です。人材紹介は法律上、現場作業への紹介が禁止されているため、施工管理や設計職に限定されます。

コスト面でも、年間3名以上の採用を見込むなら業務委託RPOが150〜225万円のコスト優位。ただし、契約設計を誤ると法的リスクがあるため、建設業の法規制を理解しているRPO事業者を選ぶことが前提条件です。

採用代行(RPO)おすすめ比較|建設会社が失敗しない選び方と主要サービス


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まとめ

採用代行の業務委託について、押さえておきたいポイントをまとめます。

  1. 採用代行は基本的に業務委託(準委任契約)で提供される。月額固定型が主流
  2. 委託募集の無許可は刑事罰の対象。RPO契約が委託募集に該当しないか確認が必須
  3. 偽装請負リスクに注意。RPO担当者への直接的な指揮命令は避ける
  4. 建設現場作業への人材紹介は原則禁止。RPO(業務代行)は規制対象外だが実態に注意
  5. 許認可・契約書・業務範囲の3点を事前に確認。建設業を知るRPO事業者を選ぶのが最善策

採用代行は正しく活用すれば、人材紹介より低コストで幅広い職種をカバーできる強力な手段です。ただし「とりあえず外注すれば大丈夫」ではなく、法的リスクを理解した上で導入するのが、建設会社の経営者として正しい判断です。

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