採用が動かない原因の半分は、採用を担う体制がないことです
建設業で人が採れないという声は多いですが、原因を分解すると「採用を本業にしている人がいない」ことが大きく効いています。
厚生労働省の調査では、建設業の37.3%が採用専任者を配置していないと回答(厚生労働省『建設雇用改善対策』)。Indeed Japanの調査では、中小企業の採用担当の72.4%が他業務と兼任で、採用業務に使える時間は全体の35.5%にとどまります。
助太刀総研の調査では、建設業の中途採用担当のうち43%が直近1年で1人も採用できなかったと回答しています(株式会社助太刀『建設業の中途採用状況調査』2024年9月)。「採用したい」のに「採用業務をやる人がいない」状態で時間が過ぎる構造が、人手不足の根本にあります。
この記事では、建設会社の採用体制を、規模別の人事配置パターン・専任化の判断軸・採用代行との組み合わせで整理します。
採用戦略全体は建設業の採用戦略ガイド、人手不足の構造は建設業の人手不足もあわせて参考になります。
建設会社で人事部が育ちにくい3つの構造
構造1|現場優先の文化
建設業では「現場が回ること」が経営判断のいちばん上に来ます。管理部門に人を割く余裕がなく、総務や経理が採用業務を片手間で兼任するケースが大半です。
採用担当の72.4%が兼任という数字は、業界全体の標準形と言えます。
構造2|縁故採用への依存
建設業の採用チャネルは、伝統的に知人・縁故が大きな割合を占めてきました。「人手が必要になったら知り合いに声をかける」というやり方で長年回ってきたぶん、求人広告・媒体運用・紹介会社管理といった採用業務のノウハウが社内に蓄積していません。
縁故が機能していた時代に体制を整える必要が薄かった反動で、有効求人倍率5.18倍の今、突然「採用ができない」状態に陥る構図です。
構造3|採用担当の適任者がいない
人事経験者は建設業界に少なく、他業界から採用しようにも建設業の採用は職種知識が要るので、すぐ戦力化が難しい職種です。結果として社長や役員が面接だけ対応する場当たり対応が続き、媒体運用や紹介会社の使い分けまで手が回りません。
採用体制の3つの選択肢
体制を整える方法は大きく3つに分かれます。それぞれの強みと弱みを整理します。
建設会社の採用体制 3つの選択肢
| 項目 | ①社内に専任人事を雇う | ②兼任のまま回す | ③採用代行(RPO)を活用 |
|---|---|---|---|
| 年間コスト | 人件費400〜600万円+媒体費 | 媒体費+兼任者の工数 | 月額10〜30万円(年120〜360万円) |
| 立ち上がり期間 | 採用+育成で3〜6か月 | 現状維持なら即 | 契約後2週間で稼働 |
| 複数手法の運用 | 1人では限界 | 限定的 | 求人広告・紹介・DRを横串で運用 |
| 建設業の知見 | 経験者が少ない | 蓄積しにくい | 建設特化型なら最初から有 |
| ノウハウの蓄積先 | 社内(退職時にゼロに戻る) | 蓄積されにくい | 月次レポートで社内に残る |
| 事業継続性 | 担当者依存 | 担当者依存 | 契約終了でも社内マニュアルが残る |
採用支援の実務ベースで作成
3つの選択肢は排他ではありません。中小建設会社では「②兼任+③採用代行」の併用がスタンダード、年商10億円超なら「①専任人事+③採用代行」の併用に切り替わるのが一般的です。
採用代行の仕組みは採用代行(RPO)とは?、費用は採用代行の費用相場ガイドにまとめています。
規模別の採用体制モデル
採用体制は会社の規模で必要な打ち手が変わります。従業員数・年商規模別のモデルケースを見ていきます。
規模別 採用体制モデルケース
| 規模 | 年間採用人数 | 推奨体制 | 採用代行の関わり方 |
|---|---|---|---|
| 〜30名(年商〜5億円) | 1〜3名 | 総務兼任+採用代行 | 求人運用・応募対応を全面委託、面接は社長 |
| 30〜50名(年商5〜10億円) | 3〜5名 | 総務兼任+採用代行 | 求人+紹介会社管理を委託、面接は工事部長 |
| 50〜100名(年商10〜30億円) | 5〜10名 | 採用担当0.5〜1名+採用代行 | 採用代行が運用面を担い、社内は戦略と面接に集中 |
| 100〜300名(年商30〜100億円) | 10〜25名 | 専任人事1〜2名+採用代行 | 新卒・中途の役割分担。RPOは特定職種のスポット |
| 300名超(年商100億円超) | 25名以上 | 人事チーム複数名 | RPOは特殊職種・繁忙期のスポット利用 |
採用支援の実務ベースで作成
人事の適正配置人数は、リクルートワークス研究所の全産業データで従業員の約1.9%が目安。従業員100名なら人事2名が目安ですが、建設業は職種が多く採用難度も高いので、社内の人事+採用代行の組み合わせで実質的な採用力を補うのが、規模に合った進め方です。
専任人事を置く判断軸
「人事を雇うべきか」「兼任のまま採用代行で補うか」を判断するときの基準を整理します。
専任化したほうが効くサイン
- 年間採用人数が10名を超える: 兼任ではタスクが回らない
- 求人広告・人材紹介・DR・リファラルを並列運用したい: 単一手法では母集団が埋まらない規模
- 採用ブランディングを中長期で育てたい: 採用サイト・SNS・先輩インタビューの継続運用が必要
- 経営戦略の中で人材を経営課題として扱いたい: 役員クラスとの接続が必要
兼任+採用代行で十分なサイン
- 年間採用人数が1〜5名: 専任を置くと人件費が回収しにくい
- 採用専任者を社内で育てる時間がない: 月10〜20万円の建設特化採用代行で運用面を一気にカバー
- 採用業務のノウハウが社内に薄い: 専任で雇っても育成に1年以上かかる
- 経営者・現場責任者が面接に時間を割く想定: 兼任者は調整役・採用代行は実務役
採用人数が中間の年6〜10名くらいの会社は、最初は兼任+採用代行で回しながら、採用パイプラインが安定したら専任人事を採用するのが、退職リスクを抑えやすい順序です。
採用業務の役割分担テンプレート
体制を整えるときに、誰が何を担うかを明文化しておくと運用が回りやすくなります。
採用業務の役割分担モデル(兼任+採用代行の場合)
| 業務 | 主担当 | 補助 |
|---|---|---|
| 採用戦略・予算策定 | 社長 / 役員 | 採用代行(提案) |
| 求人票の作成・更新 | 採用代行 | 総務(最終確認) |
| 求人媒体の選定・運用 | 採用代行 | 総務(経費申請) |
| 応募者の一次対応・スクリーニング | 採用代行 | — |
| 紹介会社との要件すり合わせ | 採用代行 | 総務(請求書管理) |
| スカウト送信(DR) | 採用代行 | — |
| 面接日程調整 | 採用代行 | 現場責任者(候補日提示) |
| 一次面接 | 工事部長 / 現場責任者 | 採用代行(同席可) |
| 最終面接・採用判断 | 社長 / 役員 | — |
| 内定通知・条件交渉 | 総務 | 採用代行(書面チェック) |
| 入社後オンボーディング | 現場責任者・メンター | 総務 |
建設業採用支援の実務ベースで作成
採用代行が運用面を一括で巻き取ることで、社内の総務・現場責任者は本業との両立がしやすくなります。最終判断(戦略・採用合否)だけ社内で握る形が、規模を問わず使いやすい設計です。
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無料で相談する兼任+採用代行 vs 専任人事採用 の年間コスト比較
「人事を雇う」と「採用代行を使う」のコスト感を並べて比較します。
年間コスト比較(建設業の中堅クラス想定)
| 項目 | 専任人事採用 | 兼任+採用代行(月20万円) |
|---|---|---|
| 人件費 | 年収500万円+社保負担75万円=575万円 | 兼任者の人件費按分20〜40万円 |
| 採用代行費 | — | 年240万円(月20万円×12) |
| 媒体費・紹介料 | 別途200〜400万円 | 別途200〜400万円 |
| 立ち上がり工数 | 3〜6か月 | 2週間 |
| 年間総コスト | 775〜975万円 | 460〜680万円 |
| 退職時のリスク | ノウハウ喪失 | 契約終了でも社内マニュアル残る |
採用支援の実務ベースで試算
採用人数が10名を超えるか、兼任者の限界が見えてきたタイミングで専任人事を加える、という段階的な移行が中小建設会社にとっては取りこぼしの少ないやり方です。
中小建設会社が採用体制を整えた3社の事例
会社名は伏せて、都道府県・業種・規模ベースでまとめます。
福島県の総合建設業A社(従業員50名規模)
これまで社長と役員が面接だけ対応する場当たり採用が続き、応募もほぼ来ない状態でした。
採用代行(月額20万円)を導入し、求人票の刷新・媒体運用・紹介会社2社のコントロール・応募者一次対応を一括委託。社内では総務担当が窓口を兼任し、面接は工事部長と社長が担当する役割分担に切り替えました。応募数は約2.4倍、年間で13名の採用に到達しています。
新潟県の総合建設業B社(従業員90名規模)
兼任者だけで採用を回そうとしてパンク状態。媒体費と紹介料の合計が年間1,500万円超と膨らみ、経営会議でも議題になっていました。
採用担当を1名専任化し、採用代行を運用面のサポート役として併用。採用代行が求人広告・スカウト・紹介会社管理を担い、専任人事が戦略立案と面接プロセスに集中する体制に。媒体費ベースの1名あたり採用単価は従来比30%減まで改善しました。
長野県の工務店C社(従業員15名規模)
小規模で「人事を雇うのは無理」と感じていた会社です。月額10万円の最小構成の採用代行で求人票・Indeed運用・応募者一次対応を外注し、半年で現場1名・事務1名の採用に成功。1年経つ頃には社内に求人運用のノウハウが蓄積され、12か月目には自社運用に切り替えました。
事例の詳細は建設業の採用成功事例5選にまとめています。
よくある質問
Q. 中小建設会社にも人事部は必要ですか?
採用人数が年5〜10名以下なら、専任人事を雇うより兼任+採用代行のほうがコスト効率が良いケースが多いです。年10名を超えてくると、専任化を検討する価値が出ます。
Q. 採用担当を兼任のままで大丈夫ですか?
求人票・媒体・紹介会社・応募者対応をすべて社内で持つのは、月20〜30時間の工数が必要になります。兼任者にこの工数があるなら回せますが、現実は週2時間あれば良い方というケースが大半です。採用代行で運用面を切り出すのが、兼任者の負担を抑える方法です。
Q. 専任人事を採用するとき、どんな経歴を見ればいいですか?
建設業の採用経験があるのが理想ですが、業界経験者は限られます。人材業界(紹介会社・媒体運用)の経験者か、他業界の人事経験者でも、建設業の現場感に興味がある人なら戦力化できます。育成期間は半年〜1年見ておくのが安全です。
Q. 採用代行は何を頼めますか?
求人票の作成・媒体運用・スカウト送信・応募者対応・面接日程調整・紹介会社のコントロールまで、採用業務の運用面はほぼ任せられます。最終的な採用合否判断と給与提示だけ社内に残すのが標準的な切り分けです。仕組みは採用代行(RPO)とは?で扱っています。
Q. 採用体制を作り直すのに、どれくらい時間がかかりますか?
採用代行を導入するなら、契約から運用開始まで約2週間。専任人事を採用する場合は、採用+立ち上がりで3〜6か月かかります。すぐに採用ペースを上げたい会社は、採用代行を先に走らせて、並行で専任人事を採用する順序が組みやすいです。
まとめ|採用体制は「規模に合わせて段階的に」作る
- 建設業の37.3%が採用専任者を配置していない。中小企業の採用担当72.4%は他業務と兼任
- 体制の3つの選択肢: 専任人事採用/兼任のまま/採用代行。中小では「兼任+採用代行」が現実的
- 規模別モデル: 〜30名は総務兼任+RPO、50〜100名は採用担当0.5〜1名+RPO、100名超で専任化が視野
- 専任化の判断軸は年間採用人数10名超・複数手法の並列運用・採用ブランディングの中長期化
- 役割分担を明文化(戦略・面接判断は社内、運用は採用代行)すると、規模を問わず体制が回る
- 兼任+採用代行の年間総コストは460〜680万円。専任人事採用の775〜975万円より低く、立ち上がりも速い
採用体制は会社の規模と採用人数で必要な打ち手が変わります。「人事を雇うべきか」を二者択一で考えるのではなく、規模に合わせて段階的に作っていくのが、退職リスクと立ち上がりコストの両方を抑えられる進め方です。
次の一歩として、採用戦略全体は建設業の採用戦略ガイド、求人費用の比較は建設業の求人費用、求人票の作り直しは建設業の求人票の書き方、中途採用全体の打ち手は建設業の中途採用を成功させる5つの戦略、採用代行の仕組みは採用代行(RPO)とは?、費用は採用代行の費用相場ガイドをあわせてご覧ください。
採用体制の作り方、規模に合わせて壁打ちしませんか?
求人票の作り直しから媒体運用・紹介会社のコントロール・人事配置の設計まで、建設業特化チームが御社の規模に合わせてご提案します。月額10万円〜の建設特化採用代行で、採用体制を段階的に作り直すご相談からどうぞ。
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