建設業の人材不足は何万人?2026年最新データと企業ができる3つの対策
建設採用センター 編集部
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建設業から、200万人が消えた。
1997年の建設業就業者数は685万人。
2024年は477万人。
約30年で208万人が業界からいなくなりました。
「人が足りない」という感覚は、もはや感覚ではなく数字が証明している事実です。
しかも、この流れはまだ止まっていません。
2030年には建設技能工が最大36万人不足するという予測もあります。
人材不足は「いつか来る問題」ではなく、「今ここにある危機」です。
この記事では、建設業の人材不足の規模感を最新データで正確に把握したうえで、企業が今すぐ取り組める3つの対策を解説します。
データで見る「人材不足の全体像」
就業者数の推移:ピークから30%減
建設業就業者数の推移
総務省「労働力調査」/ 国土交通省資料
ピーク時の1997年から約30%減。
特に深刻なのは、技能者(実際に現場で働く職人)の減少です。
- 技能者数のピーク(1997年):464万人
- 2024年の技能者数:303万人(ピーク比65.3%)
つまり、技能者は約160万人減少しています。
「人が足りない」の正体は、この数字です。
高齢化:55歳以上が37%、29歳以下はわずか12%
建設業就業者の年齢構成(2024年)
総務省「労働力調査」
建設業就業者の55歳以上が37%を占めています。
一方、29歳以下はわずか12%。
この構造が意味することは——
今後10年で、全体の約4分の1が退職するということ。
60歳以上の技能者が25.8%を占めており、この層が一斉に引退すれば、現場はさらに深刻な人手不足に陥ります。
2030年予測:最大36万人が不足する
建設HR総研の分析によると、2030年の人材不足は以下の規模になると予測されています。
2030年の建設業 人材不足予測
| 職種 | ベースライン | 成長実現シナリオ |
|---|---|---|
| 建設技術者 | 3.2万人不足 | さらに拡大 |
| 建設技能工 | 23.2万人不足 | 36.4万人不足 |
ヒューマンホールディングス 建設HR総研(2022年)
経済成長が実現すれば建設需要も増えるため、最大36.4万人の技能工が不足するという深刻な見通しです。
国土交通省の試算では、新規入職者の増加が進まなければ——
- 2030年:就業者数が400万人を割り込む
- 2040年:就業者数が300万人を割り込む
今のペースが続けば、10年後には工事を受注しても「人がいなくて着工できない」という事態が現実になります。
なぜ人が足りないのか?4つの構造的な原因
原因1:「3K」イメージによる若年層離れ
「きつい・汚い・危険」——この古くからのイメージが、若年層の建設業への入職を阻んでいます。
建設業従事者の40歳以下の4割超が首都圏と関西に集中。
地方では若年層の都市流出が進み、人材の偏在がさらに深刻化しています。
たとえば建設業従事者の平均年齢を見ると——
- 首都圏:47歳
- 東北:50歳
- 沖縄:56歳
地方の建設会社ほど、若手採用の難易度が高いのが現実です。
原因2:バブル崩壊後の「採用の谷」
1990年代後半のバブル崩壊、2008年のリーマンショック。
この時期に建設投資が激減し、多くの企業が新卒採用を大幅に抑制しました。
その結果、現在30〜40代の就業者が絶対数として少ない「人材の谷」が発生しています。
30〜49歳の就業者は過去20年で約238万人から177万人に減少。
この世代が中核を担うべき年代であるにもかかわらず、人数が足りていないのです。
原因3:長時間労働と休日の少なさ
2024年4月までは、建設業は時間外労働の上限規制の適用除外でした。
その結果、長時間労働・休日出勤が常態化し、若手が離職する大きな原因になってきました。
建設業に入職した新卒高卒者の42.4%が3年以内に離職しています(全産業平均37.0%)。
離職理由の上位は「労働時間の長さ」「将来性への不安」「人間関係」。
建設業が持つ構造的な働き方の問題が、人材の流出を加速させています。
原因4:賃金配分の構造問題
建設業特有の重層下請け構造も、人材不足の一因です。
元請→下請→孫請けと層を重ねるたびに利益が目減りし、末端の技能労働者への賃金配分が歪む。
地域による賃金格差も大きく、大阪府の年収約709万円に対し、高知県は約396万円と約310万円の差があります。
明るい兆しもある
ここまで厳しいデータを並べましたが、2024年に3年ぶりの明るいデータが出ています。
建設業の入職者数 vs 離職者数
| 年度 | 入職者 | 離職者 | 差引 |
|---|---|---|---|
| 2023年 | 27.8万人 | 28.1万人 | −0.3万人(離職超過) |
| 2024年 | 29.4万人 | 25.0万人 | +4.4万人(入職超過) |
厚生労働省「雇用動向調査」
2024年は入職者29.4万人に対し、離職者25.0万人。
3年ぶりに入職者が離職者を上回りました。
入職者の約72%は転職入職者(他業種からの流入)。
これは、建設業が賃金改善や働き方改革に取り組んだ成果が、少しずつ現れ始めていることを示しています。
企業ができる3つの対策
対策1:採用チャネルと求人票を見直す
「人がいない」のではなく、「自社の求人が届いていない」可能性があります。
建設業の有効求人倍率は4.81倍。1人の求職者を約5社が取り合う状況です。
この中で選ばれるには——
- 求人票の書き方を変える(具体的な年収例、1日の流れ、キャリアパスを記載)
- ハローワーク以外のチャネルを使う(Indeed・SNS・人材紹介・RPO)
- 採用ターゲットを明確にする(経験者 or 未経験者で求人票を分ける)
求人票の改善方法
求人票の具体的な書き方と7つの改善ポイントは「建設業の求人票の書き方|応募が増える7つのコツ」で詳しく解説しています。→ 記事を読む
対策2:定着率を上げて「辞めない組織」をつくる
どれだけ採用しても、辞められてしまえば意味がありません。
定着率を上げるための施策——
- 週休2日の実現(工程計画段階から休日を組み込む)
- メンター制度の導入(入社1年目の離職を防止)
- キャリアパスの見える化(何年で何になれるかを年表で示す)
- 事務作業の分業(工務部設立やITツール導入で現場の負担軽減)
ある建設会社では、事務作業の分業体制を導入した結果、労働時間が平均15%削減。若手の定着率も改善しました。
定着施策について詳しく
辞める理由から逆算した5つの定着施策は「建設業の離職率を下げる定着施策5選」で解説しています。→ 記事を読む
対策3:未経験者の育成体制を整備する
経験者の獲得競争は有効求人倍率16倍超(土木技術者)という異次元の厳しさ。
経験者だけに頼る採用戦略は、もう限界です。
一方、未経験者を自社で育てるという選択は、採用コストの面でも有利です。
- 経験者を人材紹介で採用:1人あたり120〜180万円
- 未経験者を求人広告で採用:1人あたり30〜50万円
育成体制さえ整えれば、未経験者の3年定着率が80%を超える企業もあります。
未経験者育成の具体的方法
6つのフェーズで未経験者を戦力化するロードマップは「未経験者を採用して定着させる施工管理の育成ロードマップ」で解説しています。→ 記事を読む
業界の動き:国も本気で動いている
人材不足に対して、国土交通省や業界団体も大きく動いています。
i-Construction 2.0:現場のオートメーション化
2024年4月に策定された「i-Construction 2.0」は、建設現場の自動化・省人化を推進する国家戦略です。
目標は2040年までに省人化30%以上、生産性1.5倍。
3つの柱で推進されています。
- 施工のオートメーション化(自動・遠隔施工)
- データ連携のオートメーション化(BIM/CIM活用)
- 施工管理のオートメーション化(AIによる出来形管理)
外国人材の活用拡大
建設分野の外国人技能者は約14.6万人(全建設技能者の約4.9%)。
特定技能制度の拡大により、長期就労・家族帯同が可能になり、受け入れ企業が増加しています。
国土交通省は2025年に「外国人技術者の採用・定着に向けたハンドブック」を公表し、中小企業の受け入れ支援を本格化しています。
賃金の連続引き上げ
公共工事設計労務単価は13年連続で引き上げ。
令和7年の全国全職種加重平均値は24,852円で、過去最高水準を更新中です。
国策として建設業の処遇改善が進んでいることは、採用活動における強力な追い風になります。
人材不足度チェック
自社の人材不足リスクチェック
Q1.社員の年齢構成を把握しており、5年後・10年後の退職者数を試算していますか?
Q2.未経験者を受け入れる育成体制(研修・メンター・資格支援)が整っていますか?
Q3.ハローワーク以外の採用チャネルを2つ以上活用していますか?
Q4.直近1年の離職率を把握しており、定着施策を実施していますか?
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まとめ
建設業の人材不足は、数字で見れば明らかです。
- 就業者数:685万人(1997年)→ 477万人(2024年)
- 技能者:464万人 → 303万人(約160万人減)
- 2030年予測:最大36万人の技能工が不足
- 年齢構成:55歳以上が37%、29歳以下はわずか12%
しかし、2024年には3年ぶりに入職超過に転じるなど、明るい兆しも出ています。
企業ができる3つの対策——
- 採用チャネルと求人票を見直す(選ばれる求人をつくる)
- 定着率を上げて「辞めない組織」をつくる(採用の無駄を減らす)
- 未経験者の育成体制を整備する(採用のパイを広げる)
人材不足は一朝一夕では解決しません。
しかし、今日から始められることは、確実にあります。
採用が難しい根本的な理由と打ち手は、こちらの記事で解説しています。