人材紹介で5名採用。年間コスト1,340万円でした
ある建設会社の話です。
施工管理技士を人材紹介だけで年間5名採用していました。 採用単価は1人あたり268万円、年間の総コストは1,340万円。
翌年、ダイレクトリクルーティングに切り替えたところ、同じ5名の採用で総コストは330万円。 年間1,010万円の削減に成功しています。
施工管理の採用単価は「手法の選び方」で4倍変わります。
建設業の有効求人倍率は5.27倍(2025年1月・厚生労働省)。 施工管理技士に限れば5.35倍です。
この売り手市場で採用コストを最適化するには、手法別の相場を正確につかむことが第一歩です。
この記事では、施工管理技士の採用単価を手法別に比較し、コストを下げた企業の実例まで解説します。
施工管理技士の採用単価相場【2026年版】
そもそも採用単価とは
採用単価とは、1人を採用するためにかかった費用の合計です。
計算式はシンプルです。
採用単価の計算式
採用単価 = 採用にかかった総費用(外部コスト + 内部コスト) ÷ 採用人数
外部コストは求人広告費や紹介手数料。内部コストは人事担当の人件費や面接にかかる工数です。
多くの会社が外部コストだけを見ていますが、内部コストを含めると実際の採用単価は1.3〜1.5倍になります。
1級施工管理技士:約200万円〜
1級施工管理技士の採用単価は、人材紹介経由で200万円以上が相場です。
年収600万円の候補者に対して、手数料率が35%なら210万円。 最近は建設業の専門職で手数料率が40〜50%に上昇しているケースもあり、300万円に達することもあります。
2級施工管理技士:約100万円〜
2級は1級に比べて母集団が大きいため、手数料率は30〜35%が一般的です。
年収450万円で手数料率30%なら135万円。 1級に比べれば安いですが、それでも全業種の中途採用平均134.6万円(マイナビ「中途採用状況調査2025年版」)とほぼ同水準です。
電気工事士の採用単価:50万〜150万円
電気工事士の有効求人倍率は3.8倍(2025年6月・厚生労働省)。 施工管理技士ほどではないものの、人手不足は深刻です。
人材紹介経由の採用単価は50万〜150万円。 資格の種類(第一種・第二種)と経験年数で大きく変動します。
建設業の職種別採用単価(人材紹介経由)
各調査機関データより作成(2025年時点)
建設業の採用単価は全業種平均の3〜7倍です。 この構造を理解した上で、手法の見直しに進みましょう。
採用手法別コスト比較【一覧表】
施工管理技士の採用手法別コスト比較
| 採用手法 | 初期費用 | 1人あたりコスト | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 人材紹介 | 0円(成功報酬) | 150〜250万円 | 確実性は高いがコスト最大 |
| 求人広告 | 8〜150万円 | 20〜120万円 | 母集団形成に向く |
| ダイレクトリクルーティング | 月額〜年額制 | 50〜70万円 | スカウト型。コスパが高い |
| リファラル採用 | 0円 | 2〜20万円 | コスト最小。定着率も高い |
| RPO(採用代行) | 月額25万円〜 | 複数名で按分 | 戦略設計から実行まで丸ごと |
マルゴト・リクルート・トルー各社調査より作成
注目すべきは手法間のコスト差です。
人材紹介は1人あたり150〜250万円。 リファラル採用は2〜20万円。 最大で125倍の差があります。
もちろん、コストだけでは選べません。 採用のスピード、候補者の質、社内の負担も含めて判断する必要があります。
人材紹介が「高い」理由
人材紹介の手数料は理論年収の30〜35%が一般的。 しかし建設業の有資格者は売り手市場のため、35〜50%に上昇しているケースが増えています。
さらに、採用後3〜6か月以内に退職しても返金率は50〜70%程度。 早期離職が起きると、実質的な採用単価は2倍に跳ね上がります。
弊社の支援先でも、「人材紹介で採った施工管理が半年で辞めた。300万円が消えた」という話はよく聞きます。
施工管理の採用単価が高騰する3つの背景
背景1:有効求人倍率5.35倍の超売り手市場
建築施工管理技術者の有効求人倍率は5.35倍(厚生労働省)。 求職者1人に対して5社以上が競い合っています。
躯体工事に至っては7.65倍。 候補者が圧倒的に足りないため、紹介手数料は上がり続けています。
背景2:有資格者の高齢化と若手不足
建設業就業者の55歳以上が約34%、29歳以下はわずか12%(国土交通省)。
1997年に685万人だった就業者は、2022年には479万人まで減少しました。 今後10年で大量の有資格者が引退する一方、若手の流入は細り続けています。
新規高卒者の3年以内離職率は42.4%(厚生労働省)。 採れない上に、辞める。この二重苦が採用単価を押し上げる構造的な原因です。
背景3:人材紹介手数料の上昇トレンド
人材紹介各社が建設業の手数料率を引き上げています。
2024年のデータでは、企業が人材紹介に支出した平均費用は年間372万円。 今後さらに上昇する見通しです。
採用単価の高騰は、手法を変えなければ止まりません。「同じやり方」を続ける限り、コストは増え続けます。
→ 建設業の人材不足は何万人?2026年最新データと企業ができる3つの対策
採用単価を下げた成功事例3選
事例1:スカウト活用で268万円→66万円(75%削減)
東京都のビルマネジメント企業(従業員1,000名)の事例です。
人材紹介だけで施工管理を採用していた頃の単価は268万円。 年間5名の採用で3,000万円を投資していました。
dodaダイレクト(スカウト型)に切り替え、スカウト文面を最適化した結果、応募率が1.0%→4.7%に向上。 同じ5名の採用で総コストは330万円、採用単価は66万円に。
75%のコスト削減を実現しています。
事例2:求人広告への切替で3ヶ月3名採用(60%削減)
屋根・外装工事会社(従業員470名)は、人材紹介と成果報酬型で半年かけても2名しか採用できませんでした。
マイナビ転職の求人広告に切り替え、入社者のリアルな声をスカウトメールに反映。 その結果、3ヶ月で応募40名、採用3名(うち2名が1級建築施工管理技士)。 採用単価は60%削減に成功しています。
事例3:攻めの採用で相場の1/4に
大阪市の総合建設業が「待ちの採用」から「攻めの採用」に転換した事例です。
ダイレクトアプローチとリファラル採用を組み合わせた結果、約50万円(相場の1/4)で1級施工管理技士を含む有資格者2名を採用しました。
3社に共通するのは、人材紹介への依存をやめたことです。
ただし、ダイレクトリクルーティングやスカウト採用は、戦略設計・ターゲット選定・文面作成の工数がかかります。 人事が1〜2名の中小建設会社では、この実行体制を自社だけで組むのが難しいのが現実です。
弊社に相談される経営者の多くも、「やるべきことは分かった。でも回す人がいない」とおっしゃいます。
そんな場合に検討したいのが、月額固定の採用代行(RPO)です。
人材紹介なら1人採用するたびに150〜200万円。 採用代行なら月額25万円〜で、求人設計からスカウト送信、応募対応、面接調整まで丸ごと対応できます。
→ 採用代行(RPO)とは?建設会社が導入すべき3つの判断基準
まとめ
施工管理技士の採用単価は、人材紹介経由で200万円以上。 建設業の採用コストは全業種平均の3〜7倍です。
しかし、手法を見直した企業は75%のコスト削減を実現しています。
押さえるべき3つのポイントです。
- 自社の採用単価を「手法別」に可視化する(まず現状を知る)
- 人材紹介への依存度を下げる(ダイレクトリクルーティング・リファラルの導入)
- 実行体制が足りなければプロに任せる(月額固定のRPOで予算が読める)
有効求人倍率5.35倍の施工管理市場では、「同じ手法を続ける」こと自体がコスト増のリスクです。
まずは自社の採用単価を計算するところから始めてみてください。