従業員70名の住宅会社が、内定辞退ゼロを実現した
宮城県のあいホーム。従業員約70名の住宅メーカーです。
コロナ禍で学生との接点が消えた2020年。 InstagramとYouTubeでライブ配信を始めたところ、会社説明会に100名が集まりました。
内定者8名全員が辞退ゼロで入社。 しかも県外からのUIJターン希望者が約7割に。
建設業の採用が「無理」なのではありません。やり方を変えた会社から、結果が出ています。
建設業の有効求人倍率は5.04倍(2025年7月・厚生労働省)。 求職者1人を5社が奪い合う、過去に例のない売り手市場です。
それでも採用に成功している会社は確かに存在します。
この記事では、中小建設会社の採用成功事例5選と、成功企業に共通するポイントを解説します。
なぜ建設業の採用はこれほど難しいのか
成功事例の前に、現状のデータを押さえておきましょう。
就業者479万人。ピークから3割減
建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに減少が続いています。 2024年時点で477万人(国土交通省)。ピークから30%減です。
技能者に限ると、464万人から303万人まで減少。 35%の技能者がいなくなりました。
55歳以上37%、29歳以下12%
建設業就業者の年齢構成(2024年)
国土交通省「建設業の現状」より作成
就業者の約37%が55歳以上。 今後10年で大量退職が始まります。一方、29歳以下は12%しかいません。
離職率10.5%、入職率8.1%。毎年ネットで減り続ける
厚生労働省の雇用動向調査によると、建設業の離職率は10.5%、入職率は8.1%(令和4年)。
辞める人のほうが入る人より多い。 何もしなければ、毎年確実に人が減っていく構造です。
この環境下で採用に成功するには、従来と違うアプローチが必要です。
採用に成功している建設会社の共通点3つ
5社の事例を分析して見えてきた共通点は、以下の3つです。
共通点1:「うちは何の会社か」を一言で言える
採用に成功している会社は、自社のコンセプトが明確です。
平成建設は「大工を育てる会社」。 あいホームは「宮城の住まいパートナー」。 小柳建設は「DXで変わる老舗建設会社」。
「総合建設業です」「地元密着の会社です」では、候補者の記憶に残りません。 採用は「選ばれる競争」です。何で選んでもらうかを言語化できている会社が勝っています。
共通点2:SNSで「中の人」の日常を見せている
成功企業は例外なく、SNSで社内の雰囲気を発信しています。
建設業の3Kイメージを払拭するには、テキストだけでは不十分です。 現場の様子、社員の笑顔、休憩中の会話。リアルな動画と写真がもっとも説得力を持ちます。
共通点3:働き方改革を「採用メッセージ」に変換している
残業削減、週休二日制、DX導入。 これらの施策を「求職者に伝わる言葉」に変換できているかどうかが分かれ目です。
小柳建設は残業を月平均2.6時間まで削減し、それを採用ページで明示しました。 「残業少なめ」ではなく「月平均2.6時間」。具体的な数字が信頼につながります。
建設業の採用成功事例5選
事例1:あいホーム(宮城県)|ライブ配信で内定辞退ゼロ
あいホームの採用改革
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| 企業規模 | 従業員約70名 | 同左 |
| 課題 | コロナ禍で接点消失 | — |
| 施策 | 対面説明会のみ | Instagram・YouTubeライブ配信(毎日15分) |
| 説明会参加者 | 数十名 | 100名 |
| 内定辞退率 | あり | ゼロ(8名全員入社) |
| 県外応募比率 | 低い | 約70% |
ダイヤモンド・オンライン報道より作成
毎日15分のライブ配信。テーマは「社員の日常」「現場の裏側」「社長への質問コーナー」。
学生目線に立った発信を続けた結果、地方中小でも大手に負けない母集団を形成しました。
事例2:小柳建設(新潟県三条市)|DX×組織改革で採用数2倍
小柳建設の採用改革
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| 取締役 | 10名(平均60歳超) | 3名(平均41歳) |
| 残業時間 | 月平均10.6時間 | 月平均2.6時間 |
| 採用数 | 年間5〜6名 | 年間約11名 |
| 県外採用比率 | 低い | 45% |
| 離職率 | 高い | 17.8pt改善 |
| 電子契約率 | — | 90% |
d's JOURNAL報道より作成
代表が最初にやったのは、取締役を10名から3名に刷新すること。 平均年齢60歳超の経営陣を、41歳の若手に入れ替えました。
HoloLens導入、電子契約率90%、残業を月2.6時間に削減。 組織そのものを変えた結果、採用数が前年の約2倍に。
「採用のためにまず会社を変える」。本質的なアプローチの成功例です。
事例3:地方建設会社|求人票改革で5ヶ月15名採用
人口15万人エリアの地方建設関連企業。 「ほとんど応募がない」「来ても人材のレベルが低い」が長年の悩みでした。
実行した施策は3つ。
- 訴求ポイントの整理(資格取得支援、安定した工事量など強みを言語化)
- 求人票のフルリニューアル(写真・文言を求職者目線で全面改訂)
- 人材紹介会社へのディレクション改善(「どんな人が欲しいか」を具体的に伝達)
結果、わずか5ヶ月で施工管理8名、設計士2名、営業6名の計15名を採用。 求人票を変えるだけで、これほど変わる好例です。
事例4:平成建設(静岡県沼津市)|「大工育成」で有名大卒が殺到
従業員583名の平成建設。 「大工を育成する会社」という唯一無二のコンセプトを確立しました。
主要工程を内製化し、入社後に大工技能を身につけられる環境を構築。 結果、毎年数十名単位で有名大学卒業者が入社を希望するブランド企業に成長しています。
「何の会社か」を一言で言えるコンセプトの力を証明した事例です。
事例5:江口組|Instagram活用で建設業のイメージを刷新
Instagramで現場の様子や社員の日常をリール動画で発信。
「建設業=無骨」「3K」というイメージを、「楽しそう」「かっこいい」に変えることに成功しました。
費用はほぼゼロ。 SNS発信は、最もハードルが低い採用改善の第一歩です。
今日からできる採用改善の3ステップ
成功事例に共通する施策を、すぐに実行できる3ステップに落とし込みました。
ステップ1:自社の「選ばれる理由」を3つ言語化する
「うちの会社のいいところは?」と聞かれて、すぐに3つ答えられますか。
資格取得支援、残業の少なさ、地元密着の安定感。 何でも構いません。候補者に刺さる言葉で言語化してください。
弊社の支援実績では、この「言語化」をするだけで応募数が変わるケースが少なくありません。
ステップ2:求人票を求職者目線で全面改訂する
「月給25万円〜(経験による)」。この書き方では応募は増えません。
「入社3年目・2級施工管理技士で年収420万円」。 このレベルの具体性が必要です。
弊社の支援先では、年収モデルを3パターン記載した求人票に変えただけで応募数が2.4倍になった事例があります。
ステップ3:月1回のSNS発信から始める
毎日更新する必要はありません。 月1回、現場の写真や社員インタビューを投稿するところから始めましょう。
Instagramのリール動画なら、スマートフォン1台で撮影・編集・投稿まで完結します。
働き方改革を採用に活かす
残業削減やDX導入の取り組みは、そのまま採用メッセージになります。自社の取り組みを発信する方法はこちらを参考にしてください。→ 建設業の働き方改革|成功企業5社の事例と2025年最新データ
「自社でやる」か「プロに任せる」か
ここまで紹介した施策は、どれも効果が実証されています。
ただ、現実の壁があります。
「やるべきことは分かった。でも求人票の改善もSNS発信も面接対応も、全部を今の人事担当だけでは回せない」。弊社に相談される経営者の多くが、最初にこうおっしゃいます。
中小建設会社の人事担当は、総務・経理と兼任していることがほとんどです。 採用だけに集中できる体制がありません。
そんな場合の選択肢が、月額固定の採用代行(RPO)です。
自社採用 vs 採用代行の比較
| 項目 | 自社で実行 | 採用代行(RPO) |
|---|---|---|
| 求人設計・原稿作成 | 自社で対応 | プロが代行 |
| スカウト送信 | 自社で対応 | プロが代行 |
| 応募者対応・面接調整 | 自社で対応 | プロが代行 |
| 採用コスト(3名採用時) | 人材紹介なら450〜600万円 | 月額25万円〜(年300万円〜) |
| 必要な人事リソース | 専任1名以上 | 兼任でOK |
人材紹介で3名採用すれば450〜600万円。 採用代行なら月額25万円〜で、何名採用しても追加料金がかかりません。
→ 採用代行(RPO)とは?建設会社が導入すべき3つの判断基準
まとめ
建設業の有効求人倍率は5.04倍。 就業者は30年で3割減、55歳以上が37%。
厳しい環境ですが、やり方を変えた会社から結果が出ています。
成功企業に共通する3つのポイントです。
- 「何の会社か」を一言で言えるコンセプトがある
- SNSで社内のリアルを発信している
- 働き方改革を採用メッセージに変換している
これらの施策は、大手でなくても、地方でも、従業員70名の会社でも実行できます。
まずは求人票の見直しと、月1回のSNS発信から始めてみてください。