建設業の若手、なぜ来てくれないのか

「求人を出しても20代が応募しない」「若手が入っても3年以内に辞めてしまう」。

建設会社の人事担当者が共通して抱える悩みです。

国土交通省のデータによると、建設業就業者のうち55歳以上が約37%29歳以下はわずか12%。20年間で29歳以下の就業者は88万人から56万人へ、36%も減少しました。

若手を採用できない会社は、10年後に存続できない。高齢化と若者離れのダブルパンチが、建設業の最大のリスクです。

この記事では、若手が建設業を避ける本当の理由をデータで分析し、Z世代に選ばれる会社の5つの条件を成功事例付きで解説します。


データで見る建設業の若手不足

就業者の年齢構成|逆ピラミッド型

建設業就業者の年齢構成(2024年)

65歳以上80万人
55〜64歳87万人
45〜54歳110万人
30〜44歳144万人
29歳以下56万人

総務省「労働力調査」(令和6年平均)より作成

65歳以上が80万人(全体の16.8%)。この層は10年以内に大半が引退します。一方、29歳以下は56万人。世代交代が進まなければ、2030年には就業者数が400万人まで減少する見込みです。

新卒が建設業を選ばない

リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査」(2026年卒)によると、建設業の大卒求人倍率は8.55倍。求人数11万人に対し、就職希望者はわずか1.3万人です。

厚生労働省の調査では、2024年の建設業新規学卒入職者数は3.8万人と11年ぶりに4万人を割り込みました。

入っても辞める|高卒の4割超が3年以内に離職

建設業の新卒3年以内離職率(令和4年3月卒)

高卒43.2%
短大卒41.5%
大卒30.7%

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒)より作成

高卒の43.2%、短大卒の41.5%が3年以内に離職。採用できても定着しなければ、採用・育成にかけた投資は回収できません。

建設業の中途採用単価は約97.8万円/人。若手が1人辞めるたびに、採用・育成コスト合わせて100万円以上が失われています。

建設業の離職率を下げる定着施策5選|辞める理由から逆算する


Z世代が建設業を避ける本当の理由

事業者と若者の「認識ギャップ」

BRANU株式会社の調査(2024年)で、興味深いデータが明らかになりました。

建設業を選ばない理由|若者の本音 vs 事業者の認識

BRANU株式会社 2024年調査(n=400)より作成

若者の44.8%が「安全性への懸念」で建設業を選外にしているのに対し、事業者側でこれを認識しているのは27.5%のみ。

若者が何を心配しているかを、会社側が正しく把握できていない。これが採用失敗の根本原因です。

Z世代が求める3つのこと

18〜39歳を対象にした調査では、建設業を就職・転職候補に挙げた人は28%。決して「全員が避けている」わけではありません。

Z世代が重視するのは以下の3点です。

  1. キャリアの見通し: 3年後・5年後にどうなれるかが見えること
  2. 働き方の柔軟性: 週休二日、残業時間の上限が守られていること
  3. 情報の透明性: 良い面も悪い面も正直に開示されていること

若手の採用、何から始めるべき?

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Z世代に選ばれる会社の5つの条件

条件1: キャリアパスを「見える化」する

Z世代は「入社してから考える」ではなく、入社前にキャリアの道筋を確認したいと考えます。

求人票やホームページに記載すべき情報は以下です。

  • 入社1年目: OJTの内容と担当する業務範囲
  • 入社3年目: 取得を目指す資格と、資格手当の具体的な金額
  • 入社5年目: 管理職・専門職などのキャリア選択肢

「あなたの5年後はこうなれます」を具体的に示すだけで、応募率は大きく変わります。

施工管理のキャリアパス設計ガイド|若手が辞めない会社の共通点

条件2: 労働環境のデータを正直に開示する

「残業少なめ」「アットホームな職場」。こうした曖昧な表現は、Z世代には逆効果です。

開示すべきデータは具体的な数字です。

  • 月平均残業時間: ○○時間(全社平均)
  • 年間休日数: ○○日(完全週休二日か)
  • 有給取得率: ○○%
  • 直近3年の離職率: ○○%

国土交通省のデータによると、建設業の年間総実労働時間は2,078時間で、全産業平均(1,741時間)より337時間長い。この差を認めた上で、自社がどう改善しているかを伝えることが信頼につながります。

条件3: SNSで「現場のリアル」を発信する

Z世代の情報収集チャネルはSNSが中心です。求人サイトだけでは届きません。

建設会社のSNS採用で成果が出ているプラットフォームはTikTokです。

効果的なコンテンツは以下の3パターンです。

  1. 1日の仕事の流れ(ルーティン動画)
  2. 社員インタビュー(入社理由、やりがい、本音)
  3. 現場のビフォーアフター(建物ができあがる過程)

テキストでは伝わらない「働く人の表情」と「現場の空気感」を動画で見せることで、建設業に対するネガティブなイメージを払拭できます。

条件4: 未経験者向けの育成体制を整備する

若手を採用したいなら、「未経験歓迎」と書くだけでは不十分です。具体的な育成プログラムを示す必要があります。

整備すべき仕組みは以下です。

  • メンター制度: 年齢の近い先輩が1対1でサポート
  • 資格取得支援: 費用全額負担 + 合格時の報奨金
  • 段階的な業務範囲の拡大: 最初から一人で現場を任せない

建設業のメンター制度導入ガイド|若手の早期離職を防ぐ仕組みづくり

条件5: 給与・処遇で「選ばれる理由」をつくる

Z世代が建設業を候補に挙げた理由の52.7%が「給与が高そう」。この期待に応えられるかが勝負です。

2025年春闘では建設業の賃上げ率が5.46%。大手ゼネコンの初任給は大卒30万円、院卒32万円まで引き上げられています。

中小企業が大手と同水準の給与を出すのは難しいですが、以下の施策で差別化が可能です。

  • 資格手当の充実: 1級施工管理技士で月額2〜5万円
  • 家賃補助・社宅制度: 手取りの実質増加
  • インセンティブ制度: 成果に応じた明確な報酬

建設業の賃上げ動向と採用への影響|2026年最新データで読む給与戦略


若手採用に成功した建設会社の事例

事例1: 長谷川興業(大阪)|TikTokで670万再生、2ヶ月で採用成功

コンクリート打設を手がける有限会社長谷川興業は、TikTok運用を開始して6ヶ月で累計再生回数670万回を達成。フォロワーはゼロから4,352人に成長しました。

運用開始わずか2ヶ月で求人応募から採用に成功。問い合わせは40件以上、TikTok経由の求人応募・仕事依頼が各20件以上という成果を出しています。

毎月15〜20万回の再生を維持し、継続的な認知獲得に成功。従来の求人媒体(数十万〜数百万円/回)と比較して、圧倒的なコスト効率を実現しました。

事例2: 砂建(岡山)|TikTokで全国採用+離職率ゼロ

岡山県の砂建は、TikTokを活用した採用戦略で全国から応募が集まる状態を作り出しました。

20代・30代の若手採用が加速し、離職率ゼロを達成。建設業の高卒3年以内離職率43.2%という業界水準を考えると、驚異的な数字です。

事例3: あいホーム(宮城)|オンライン説明会で学生100名、内定辞退ゼロ

宮城県のあいホームは、Twitter・Instagram・YouTubeをマルチ活用。オンライン説明会に100名の学生を集客し、8名の内定者を獲得、辞退者ゼロを実現しました。

3社に共通するのは「現場のリアルを、社員自身の言葉で、若者が見ているチャネルで発信した」こと。特別な予算は必要ありません。

成功企業の共通点

  1. リアルな職場環境の可視化: 動画・写真で現場を見せる
  2. 社員が主役のコンテンツ: 現場で働く人がそのまま出演
  3. 正直な情報開示: 良い面も課題も隠さず発信

若手を採用できないリスク

若手採用の課題を放置すると、経営に直結するリスクが発生します。

若手採用を放置した場合のリスク

帝国データバンク、国土交通省資料より作成

「今は何とかなっている」会社も、5年後・10年後には深刻な人材危機に直面します。若手採用は将来への投資です。


採用に手が回らない会社の選択肢

「若手採用が重要なのはわかっているが、SNS運用も求人票の改善も、社内にやれる人がいない」。

こうした企業には、採用代行(RPO)という選択肢があります。

求人票の作成、媒体運用、スカウト送信、面接調整まで一括で委託。人材紹介の成功報酬1人150〜200万円に対し、月額固定25万円〜で何名採用しても追加費用がかかりません。

建設業の新卒採用単価は約69.4万円/人、中途は約97.8万円/人。RPOなら年間300万円で継続的な採用活動が可能です。

採用代行(RPO)とは?建設会社が導入すべき3つの判断基準


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まとめ

建設業の若手が集まらない原因は、業界の高齢化若者の安全性への懸念事業者側の認識ギャップです。

Z世代に選ばれる会社になるための5つの条件は以下の通りです。

  1. キャリアパスの見える化
  2. 労働環境データの正直な開示
  3. SNSで現場のリアルを発信
  4. 未経験者向けの育成体制
  5. 給与・処遇での差別化

TikTokで670万再生を達成した長谷川興業や、離職率ゼロの砂建の事例が示すように、特別な予算がなくても若手採用は改善できます。

まずは自社のSNSアカウントを開設し、現場の日常を1本投稿するところから始めてみてください。