女性技術者は10年で85%増えた。それでも足りない

建設業の女性技術者は、2010年の2万4,700人から2020年には4万5,710人に。 10年間で85.1%増です。

建設技術者に占める女性比率も5.4%から9.0%に上昇しました。

数字は確実に変わっています。ただ、まだ圧倒的に足りません。

建設業の就業者は479万人(2024年・総務省労働力調査)。 そのうち女性は約78万人、比率は19.4%です。

製造業の女性比率31%、全産業平均45%と比べると、建設業はまだ半分以下の水準。

裏を返せば、女性採用は最大の未開拓マーケットです。

この記事では、建設業で女性採用を成功させるための環境整備・制度設計・採用戦略を具体的に解説します。


建設業の女性就業者データ【2024年最新】

職種別の女性比率

建設業の職種別女性比率(2024年)

事務職38%
技術者20%
技能者6%
建設業全体19.4%

国土交通省「建設業の現状」より作成

事務職は38%が女性。 一方、技術者は20%、技能者にいたっては6%

現場に近づくほど女性比率が下がる構造は、「制度」ではなく「環境」の問題です。

女性就業者数の推移

建設業の女性就業者数は2012年の約75万人から2024年の約78〜87万人へ、緩やかに増加しています。

注目すべきは技術職の伸び。 女性建設技術者は過去最高の約4万人(2002年以降最高)を記録。 新卒採用の拡大が主な要因です。

数値目標を設定している企業は16.4%

国土交通省の調査では、女性の採用・登用に数値目標を設定している建設企業はわずか16.4%

一方、59.6%が「今後設定する予定」と回答しています。 まだ目標を持っていない企業が大半ですが、意識は変わり始めています。

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なぜ建設業で女性が増えないのか

理由1:現場環境が整っていない

最大の障壁は物理的な環境です。

女性専用トイレの設置率は、日本建設業連合会(日建連)の「けんせつ小町」活動開始から8年で70%まで上昇しました。 しかし、裏を返せばまだ30%の現場には女性トイレがありません。

更衣室、休憩室も同様です。 「トイレが男女兼用」という環境では、応募すら来ません。

理由2:育児との両立が難しい

建設業の育児休業取得率は66.9%。 全産業平均の86.6%約20ポイント下回っています。

現場中心の業務特性上、時短勤務やリモートワークが難しいことが背景にあります。

理由3:ロールモデルがいない

「うちの現場に女性はいたことがない」。

この状況では、求職者も「自分が行って大丈夫だろうか」と不安になります。 先輩女性社員の存在が、採用成功の最大の後押しになります。


女性採用に成功した企業の事例

事例1:けんせつ小町チームが現場を変えた

日建連の「けんせつ小町」活動は、建設現場で働く女性チームの取り組みを表彰・発信するプログラムです。

ある現場では、工事係員5名中3名が女性。 子育て中、新婚のメンバーもいる中、書類の削減、段取り改善、打ち合わせの効率化を徹底。

時短を実現しながらチームで現場を運営する新しいモデルを示しました。

事例2:ICT活用で女性技術者が国土交通省から表彰

ICT-Full活用工事の最前線で、女性技術者がプレゼンターとして活躍。 国土交通省の「令和2年度 i-Construction大賞」優秀賞を受賞しています。

ICTやDXの導入は、体力差のハンデを解消し、女性が技術力で勝負できる環境をつくります。

事例3:「女性が働ける会社」から「女性が辞めない会社」へ

ある地方建設会社では、女性を採用しても2年以内に全員退職する状況が続いていました。

原因を分析したところ、問題は「採用」ではなく「定着」。 以下の3施策を実行しました。

  1. 現場ごとに女性専用トイレ・更衣室を設置(工事予算に組み込み)
  2. 育児短時間勤務を現場職にも適用(午前のみ出勤を認めるなど柔軟に)
  3. 女性社員同士のネットワークをつくり、悩みを共有できる場を用意

結果、3年連続で女性の離職ゼロを実現。 口コミで「働きやすい会社」として認知され、女性からの応募も自然に増えています。

弊社の支援先でも、環境整備を先行させた会社ほど女性採用に成功しているケースが目立ちます。

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女性が活躍する環境整備5選

1. 現場の物理的環境を整える

最優先は女性専用トイレと更衣室の設置です。

国土交通省は「快適トイレ」の標準仕様を定めており、公共工事では設置が進んでいます。 民間工事でも、工事予算に含めて対応する企業が増えています。

コストの目安は1現場あたり50〜100万円。 採用が1名成功すれば十分に回収できる投資です。

2. 育児・介護との両立制度を整える

建設業の育休取得率は全産業平均を大きく下回っています。

まず取り組むべきは以下の3点です。

  1. 育児短時間勤務の対象期間を延長(小学校入学まで等)
  2. 現場配属の柔軟化(通勤時間が短い現場への配置)
  3. 復職時の研修制度(ブランクを埋める仕組み)

3. ハラスメント防止を徹底する

建設業では85.6%の企業がセクシュアルハラスメント防止に取り組んでいます。

しかし、「取り組んでいる」と「効果が出ている」は別の話です。

相談窓口の設置、定期的な研修、匿名通報制度の3つをセットで導入してください。 形だけの制度では意味がありません。

4. 女性のキャリアパスを明示する

「現場→主任→所長」というキャリアパスに、女性が通れるルートがあるか確認してください。

育児等でキャリアが一時中断しても、復帰後に昇進できる仕組みがあるかどうかが定着を左右します。

施工管理のキャリアパス設計ガイド|若手が辞めない会社の共通点

5. 採用段階で「女性歓迎」を明確に発信する

求人票に「性別不問」と書くだけでは不十分です。

女性社員のインタビュー、現場の写真、育児制度の具体的な利用実績を発信しましょう。

弊社の支援先では、求人票に女性社員の1日のスケジュールを掲載しただけで、女性からの応募が3倍に増えた事例があります。


活用できる助成金・支援制度

若年・女性労働者向けトイレ整備助成金

建設現場に女性専用トイレや更衣室を設置する際に活用できる助成金です。

対象となる設備の購入・設置費用の一部が支給されます。

女性活躍推進法に基づくえるぼし認定

女性活躍に関する取り組みの実施状況が優良な企業は、えるぼし認定を取得できます。

認定を受けると、公共調達での加点評価や、企業イメージの向上による採用力強化につながります。

建設産業における女性活躍・定着促進実行計画

2025年3月に国土交通省と業界団体が策定した最新の実行計画です。 官民一体で女性の採用・定着を推進する枠組みが整備されています。

助成金の詳細は最新情報を確認

助成金の内容や要件は年度ごとに変更されます。申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。→ 建設業の人材確保に使える助成金ガイド|7制度の支給額と申請方法


「採用したいが、手が回らない」という場合

女性採用を成功させるには、環境整備→求人設計→採用広報のすべてを同時に進める必要があります。

「女性を採りたい気持ちはある。でも求人票の書き直しも、SNS発信も、制度設計も、誰がやるのか」。弊社への相談で最も多いのが、この声です。

中小建設会社の人事担当は、総務・経理との兼任がほとんどです。 女性採用のための環境整備と採用活動を、既存業務に追加するのは現実的ではありません。

月額固定の採用代行(RPO)なら、求人票の設計から女性に刺さる採用広報、応募対応まで丸ごと任せられます。

人材紹介で1人採用すると150〜200万円。 採用代行は月額25万円〜で、何名採用しても追加料金がかかりません。

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まとめ

建設業の女性比率は19.4%。 全産業平均の半分以下です。

しかし、女性技術者は10年で85%増。流れは確実に変わっています。

女性採用を成功させる5つのポイントです。

  1. 現場に女性専用トイレ・更衣室を設置する(最優先)
  2. 育児との両立制度を整える(育休、時短、復職支援)
  3. ハラスメント防止を実効性のある形で導入する
  4. 女性のキャリアパスを明示する
  5. 求人で「女性歓迎」を具体的に発信する

環境を整えた会社から、女性の応募が増えています。

まずは自社の現場環境の棚卸しから始めてみてください。