「設備設計ができる人がいない」。採用市場で起きている静かな危機

建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は5.12倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」2025年4月)。中でも設備設計は、空調・電気・給排水といった建物の心臓部を担う専門職でありながら、そもそも市場に人材がほとんどいません。

設備設計一級建築士の登録者数は全国でわずか約6,140名(日本建築士会連合会・令和7年4月時点)。一級建築士約37万人のうち、たった1.6%です。

設備設計の採用は「求人を出せば来る」時代ではありません。なぜ人材がいないのかを理解し、採用の設計そのものを見直す必要があります。

この記事では、設備設計の採用が難しい理由をデータで示し、人材を確保するための5つの具体策を解説します。


設備設計の採用が難しい3つの理由

理由1:一級建築士の平均年齢は56.2歳。若手がいない

国土交通省の調査によると、一級建築士の平均年齢は56.2歳。50代以上が全体の70%を占め、20代はわずか1%未満です。

設備設計一級建築士はさらに希少で、毎年の新規修了者はわずか100〜200人台。今いるベテランが引退すれば、業界全体で深刻な空白が生まれます。

一級建築士の年齢構成

理由2:省エネ義務化で需要が急増している

2025年4月から、すべての新築建築物に省エネ基準適合が義務化されました(国土交通省)。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の推進やデータセンター建設ラッシュも重なり、空調・電気設備の設計ができる人材の需要は急増しています。

環境省の目標では、業務部門のCO2排出量を2013年度比で51%削減する必要がありますが、2022年度の実績は23.6%減にとどまっています。目標達成には設備設計の専門人材が不可欠ですが、供給がまったく追いついていません。

理由3:年収水準が高く、採用コストも高い

設備設計の年収は経験・資格に応じて幅がありますが、JAC Recruitmentの実績では平均約740万円、40代で650〜1,000万円に達します。

人材紹介を使えば、紹介料は理論年収の30〜35%が相場です。年収700万円の設備設計者を1人採用するだけで、紹介料は210〜245万円。2人、3人と必要になれば、コストは一気に膨らみます。

施工管理の採用単価は200万円?手法別コスト比較と削減策


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設備設計の人材を確保する5つの方法

方法1:求人票を「採用したい人材」に合わせて設計する

設備設計の求人で多い失敗は、「設備設計一級建築士 必須」「実務経験10年以上」と条件だけ並べるパターンです。これでは、そもそも数千人しかいない有資格者のうち、転職意向のある人にしかリーチできません。

応募を増やすには、条件のハードルを見直すことが先決です。

  • 建築設備士や二級建築士でもOKにする(入社後の資格取得を支援)
  • 空調・電気・給排水のうち1分野の経験があれば可とする
  • CADオペレーション経験を持つ異業種人材も候補に含める

求人票には年収レンジを明記し、資格取得支援制度やリモートワークの可否など、働き方の情報も盛り込みましょう。

建設業の求人票の書き方|応募が増える7つのコツ

方法2:未経験者・隣接職種からの採用枠をつくる

山崎設備設計のように、設備設計士のアシスタントとして未経験者を採用し、実務を通じて育成する方法があります。全国の設計事務所とオンラインで連携するスタイルを採れば、勤務地の制約も緩和できます。

隣接職種からの転職も有力です。

  • 施工管理(設備系) → 設備の知識があり、設計への移行がスムーズ
  • CADオペレーター → 図面作成スキルを活かせる
  • 電気工事士・管工事施工管理技士 → 現場知識を設計に転換

未経験者採用のポイント

「入社後6ヶ月は先輩設計者とペアで業務」「建築設備士の受験費用は全額会社負担」「1年目はBIMソフトの操作研修あり」。具体的な育成ステップを求人に明記するだけで、未経験者の応募ハードルは大きく下がります。

方法3:SNS・動画で「設備設計の魅力」を発信する

設備設計は、建築の中でも「何をしているか分かりにくい」職種です。だからこそ、SNSでの情報発信が効きます。

ある電気工事会社(福島県・桜電設)は、SNS広告とHP採用記事を連動させ、広告出稿から約2ヶ月で意欲の高い若手人材の採用に成功しました。

設備設計で発信できるコンテンツ例はたくさんあります。

  • BIMで作成した3D設備モデルの動画
  • 「この空調設計で年間○万円の光熱費を削減した」という実績紹介
  • 設計者の1日の仕事の流れ(デスクワーク中心で体力面の不安を払拭)

方法4:DX推進で「選ばれる会社」になる

新潟県の小柳建設は、HoloLensやDXツールの導入を積極的に発信し、県外からの応募が半数以上、例年の倍近い採用数を実現しました。

設備設計でも、BIMの導入・クラウド設計環境・リモートワーク対応などのDX推進は、採用競争力に直結します。とくに20〜30代の若手は、「アナログな会社」より「新しい技術を使っている会社」を選ぶ傾向が強いです。

方法5:採用代行(RPO)で専門職採用のプロに任せる

「設備設計の求人を出したいが、どの媒体に出せばいいか分からない」「応募が来ても、技術面の見極めができない」。専門職の採用には、専門職ならではの難しさがあります。

採用代行(RPO)を導入した企業では、ターゲット層に合わせた求人原稿の作成・選考フロー設計を委託し、応募者の質が向上、採用コストは30%削減という実績もあります。スカウト返信率が11.1%から33.8%に改善した事例も報告されています。

人材紹介の成功報酬が1人150〜245万円かかるのに対し、RPOなら月額固定25万円〜。年間3名採用する場合、人材紹介だと450〜525万円、RPOだと300万円と、年間150万円以上の差が生まれます。

採用代行(RPO)とは?建設会社が導入すべき3つの判断基準


設備設計の採用で押さえるべき資格一覧

採用担当者が求人設計をする際、どの資格を「必須」にし、どれを「歓迎」にするかで応募数は大きく変わります。

設備設計に関連する主な資格

日本建築士会連合会・国土交通省


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まとめ

設備設計の採用を成功させるためのポイントをまとめます。

  1. 設備設計一級建築士は全国約6,140名。超希少人材の採用は「待ち」では不可能
  2. 省エネ義務化・ZEB推進で需要が急増。採用を後回しにするほど獲得難易度が上がる
  3. 資格要件を「歓迎」に緩和する。間口を広げれば、隣接職種や未経験者にもリーチできる
  4. SNS・DXで「選ばれる会社」になる。設備設計の魅力を発信し、若手の目に留まる工夫を
  5. 採用代行(RPO)でコストと質を両立。月額固定で人材紹介の半額以下

設備設計は建物の快適性・安全性・省エネ性能を左右する要の職種です。人材確保を先送りにすれば、受注機会の損失や既存社員の負担増につながります。

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