左官職人がいなくなる。技能の継承は待ったなしです

国勢調査によると、左官職人の数は1990年の約18万人から2020年には約4.6万人へと、30年間で約75%減少しました。建設業全体の就業者減少(約120万人減)の中でも、左官はとくに減少幅が大きい職種です。

さらに、残っている職人の多くが高齢者です。建設業就業者の55歳以上は約36.8%(総務省「労働力調査」2024年)。左官はさらに高齢化が進んでおり、60代以上が全体の4割を超えるとも言われています。

左官の仕事は機械では代替できません。壁を塗る、床を仕上げる、その手仕事の技能が途絶えれば、日本の建築の質そのものが下がります。

この記事では、左官の採用が難しい理由をデータで示し、人材を確保するための5つの具体策と求人票の書き方を解説します。


左官の採用が難しい3つの理由

理由1:職人数が30年で75%減少、後継者がいない

左官は建設業の中でもとくに担い手不足が深刻な職種です。国勢調査のデータでは、1990年に約18万人いた左官職人は2020年には約4.6万人まで減少しました。

厚生労働省「一般職業紹介状況」(2024年)によると、建設躯体工事・仕上げ工事を含む技能職の有効求人倍率は4.19倍。求人4件に対して求職者1人しかいない状況です。

左官職人数の推移

理由2:「きつい・汚い・低収入」のイメージが若者を遠ざける

左官の仕事は、コテを使って壁や床を塗り上げる体力仕事です。夏場は炎天下、冬場は寒風の中での作業になることも少なくありません。

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、左官の平均年収は約424万円(平均年齢46.6歳)。全産業平均の460万円を下回っており、「体力的にきついのに給与が低い」という印象が若者の入職を妨げています。

ただし、腕のいい左官職人は年収600〜800万円に達するケースもあります。独立して自分の左官店を持てば、さらに高い収入も可能です。この「稼げるキャリアパス」が求職者に伝わっていないのが問題です。

理由3:一人前になるまでに時間がかかる

左官は5〜10年の修業期間が必要とされる技能職です。壁塗りの基本から装飾左官まで、習得すべき技術の幅が広く、短期間での戦力化が難しいのが特徴です。

この育成期間の長さが、企業側にとっても求職者側にとってもハードルになっています。企業は「育てている余裕がない」、求職者は「一人前になれるか不安」。この双方の壁を乗り越える仕組みが必要です。

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左官を採用する5つの方法

方法1:未経験者を受け入れ、段階的に育成する

経験者だけを待っていては、左官は採用できません。未経験者にターゲットを広げ、育成体制を整えることが最も現実的な方法です。

ある左官会社では、未経験入社の若手に対して段階的なOJTプログラムを導入。入社後3ヶ月は親方とマンツーマンで基礎技術を習得し、6ヶ月目から簡単な現場作業を担当。3年で一通りの壁塗りができるレベルまで育成しています。

未経験者を惹きつける求人のポイント

「完全未経験OK」「入社後6ヶ月は先輩とペアで作業」「左官技能士の資格取得を全額支援」「道具は全て支給」。具体的なサポート体制を書くほど、未経験者の応募ハードルは下がります。

方法2:職業訓練校・工業高校と連携する

全国の職業能力開発校には左官科を設置している施設があります。また、工業高校の建築科からも左官に興味を持つ生徒が出てきます。

こうした教育機関との連携が有効です。訓練生・生徒向けの現場見学会を開催したり、修了式・卒業式前の合同企業説明会に参加したりすることで、他社に先んじて人材を確保できます。

ある左官会社では、地元の職業訓練校と連携して在校中からインターン受入れを実施。毎年1〜2名の新規入職者を安定的に確保しています。

方法3:SNSで左官の魅力を発信する

左官の仕事には「映える」要素が豊富にあります。コテで壁を仕上げていく工程、磨き上げた漆喰の光沢、デザイン壁の完成ビフォーアフター。こうした映像は短尺動画と相性が抜群です。

左官職人がYouTubeやInstagramで技術を発信し、数万人のフォロワーを獲得しているケースが増えています。「職人の手仕事」への憧れは若い世代にも根強く、SNSを入口にして左官の世界を知った若者が入職する事例も出てきました。

原田左官工業所はYouTubeで施工動画を積極的に発信し、採用活動にもSNSを活用。女性左官職人の育成にも力を入れ、社員の約3割が女性という業界では異例の体制を築いています。

方法4:女性や異業種からの転職者を積極的に受け入れる

左官は腕力よりも繊細さが求められる職種です。実際に、女性の左官職人は近年増加傾向にあります。

原田左官工業所では女性職人を積極的に採用・育成し、メディアにも多数取り上げられました。「女性が活躍している会社」というイメージは、性別を問わず求職者に好印象を与え、採用広報として大きな効果を発揮しています。

異業種からの転職者も有力なターゲットです。飲食業やサービス業から「手に職をつけたい」と考える20〜30代は少なくありません。「異業種歓迎」「前職の経験不問」を求人に明記するだけで、応募の幅が広がります。

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方法5:採用代行(RPO)で採用活動をプロに任せる

親方が現場と経営を兼任する左官会社では、採用活動に割ける時間がほとんどありません。求人票を書く余裕がない、応募があっても電話に出られない。この「採用の手が回らない問題」が人手不足を長期化させています。

採用代行(RPO)なら、求人票の作成・媒体選定・応募者対応・面接調整までを一括で任せられます。人材紹介で1人80〜120万円の手数料がかかるのに対し、月額固定25万円〜で採用活動全体をカバーできます。

「採りたいけど手が回らない」。その悩みを解決するのが、採用代行という選択肢です。

採用代行(RPO)とは?建設会社が導入すべき3つの判断基準


応募が増える左官の求人票の書き方

日給・月給は具体的な数字で明記する

左官の給与形態は日給月給制が多い職種です。「日給12,000〜18,000円」「月給28〜40万円(経験による)」のように具体的な幅を示しましょう。さらに「入社3年目のモデル年収420万円」のようなイメージを添えると効果的です。

技能のキャリアパスを見せる

左官技能士(1級・2級)や登録左官基幹技能者といった資格取得のロードマップを求人に載せることで、「この会社に入れば成長できる」というイメージが伝わります。

左官の採用手法別コスト比較

施工事例の写真を求人に載せる

左官の仕事の魅力は完成した壁や床の美しさにあります。求人票や採用ページに施工事例の写真を掲載するだけで、「こんな仕事がしたい」という動機づけになります。漆喰壁、磨き仕上げ、デザイン壁など、ビジュアルで伝えることが応募増のカギです。

求人票に入れたい情報

日給・月給レンジ / モデル年収 / 資格取得支援制度 / 道具・作業着支給 / 社会保険完備 / 現場の種類(住宅・商業施設・文化財等) / 1日のスケジュール / 未経験者の育成体制

建設業の求人票の書き方|応募が増える7つのコツ


左官の採用、まるごとお任せください

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まとめ

左官の採用を成功させるためのポイントをまとめます。

  1. 左官職人は30年で75%減の約4.6万人。採用を先送りにすれば技能の断絶が起きる
  2. 未経験者にターゲットを広げる。段階的な育成体制を整え、3年で基本技術を習得させる
  3. 職業訓練校・工業高校と連携する。在校中からの関係構築が人材確保のカギ
  4. SNSで左官の魅力を発信する。コテさばきの動画は若い世代への訴求力が高い
  5. 採用活動に手が回らないなら、プロに任せる。月額固定の採用代行で求人作成から面接調整まで一括対応

左官は日本の建築文化を支える技能職です。漆喰の壁、土壁、洗い出しの床。こうした仕上げは左官職人の手仕事でしか実現できません。技能を次の世代に引き継ぐためにも、今すぐ採用と育成に動くことが求められています。

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