測量士の有効求人倍率5.76倍。「募集しても来ない」が当たり前の時代

厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年10月)によると、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は5.76倍。求人5.76件に対して応募はわずか1件しかない計算です。

国土地理院の実態調査では、測量士が不足していると回答した業者の割合は44.3%。不足人数は全国で約3,959人にのぼります。さらに深刻なのは、登録測量業者数そのものが20年連続で減少しており、令和5年度末には11,313業者(ピーク時の14,750業者から約23%減)にまで落ち込んでいることです(国土交通省)。

「募集しても応募が少ない」理由として、測量業者自身が「測量業界に魅力がないため」と回答しています。――国土地理院 実態調査

この記事では、測量士の採用が難しい3つの構造的原因をデータで示し、中小測量会社や建設会社でも実践できる5つの採用戦略を解説します。


測量士の採用が難しい3つの構造的原因

原因1:50代以上が57%、30代以下はわずか13%の超高齢化

国土地理院の調査によると、測量業者に所属する測量士の57%が50代以上。一方、30代以下はわずか13%しかいません。

測量士の年齢構成(%)

今後10年で大量退職が発生しますが、それを補う若手がまったく足りていません。測量業界は建設業全体の高齢化(55歳以上36.7%)と比べても、さらに深刻な年齢構成の偏りを抱えています。

建設業の高齢化と技術継承|データで見る現状と次世代への引き継ぎ方

原因2:国家資格のハードルが高い

測量士は国家資格です。試験の合格率は例年10〜15%前後と難関で、合格には専門知識と実務経験が必要です。令和7年の測量士試験では合格者が1,487名と前年比で増加しましたが(国土地理院)、全国約3,959人の不足を埋めるには程遠い水準です。

「測量士補」であれば比較的取得しやすいものの、現場で独立して業務を行うには測量士資格が必須。有資格者のパイ自体が小さいため、採用市場での取り合いが激しくなっています。

原因3:ドローン・3Dスキャナー対応で求められるスキルが変化

i-Constructionの推進により、測量現場ではドローン測量、3Dレーザースキャナー、GNSSなどの新技術が急速に普及しています。従来の光波測量だけでなく、ICT測量に対応できる人材へのニーズが高まっていますが、こうしたスキルを持つ測量士はさらに希少です。

技術者単価も上昇中

国土交通省の設計業務委託等技術者単価によると、測量技師の単価は日額47,100円(前年度比9.3%増)。市場価値の上昇に伴い、好待遇を提示できない企業は採用競争で不利になっています。


データで見る測量士の採用市場

測量士の採用市場データ

厚生労働省・国土交通省・国土地理院

平均年収501.6万円は全産業平均を上回りますが、有効求人倍率5.76倍の売り手市場では、この水準でも人材を引きつけるには不十分なケースが増えています。

建設業の人手不足が深刻な職種ランキング|職種別データと採用戦略


測量士の採用、プロに任せてみませんか?

建設業専門の採用代行サービス。求人票の設計から媒体選定、スカウト送信、応募者対応まで月額固定でまるごとサポートします。

無料で相談する

測量士を確保する5つの採用戦略

戦略1:求人票で「技術者が知りたい情報」を具体的に提示する

測量士が転職先を選ぶとき、もっとも重視するのは「どんな測量をやるのか」「働き方」です。にもかかわらず、多くの求人票は「測量業務全般」「経験者優遇」としか書いていません。

以下の情報を具体的に記載するだけで、応募率は大きく変わります。

  • 担当する測量の種類(公共測量、用地測量、地籍調査など)
  • 使用機器(トータルステーション、GNSS、ドローンなど)
  • 年間休日・残業時間の実績値
  • 資格手当・資格取得支援制度の詳細
  • キャリアパス(測量士補→測量士→管理技術者)

有限会社ワンステップはホームページを刷新し、仕事内容や働き方を具体的に発信した結果、7か月で15名の応募を獲得し、2名の採用に成功しました。

戦略2:「測量士補」「未経験者」を採用して育てる

有資格者の中途採用だけに頼る方法では、5.76倍の市場で限界があります。発想を転換し、測量士補の有資格者理系・土木系の未経験者を採用して育てるルートを確立しましょう。

エスアール設計では、未経験者向けの採用ページを充実させ、入社後のOJTプログラムと資格取得支援を明確に提示。「ドローン測量コンサルタント」など新しい職種名を設けることで、ICTに関心のある若手の応募を集めています。

資格取得支援のポイント

測量士補の合格率は約30%で、大学で測量の科目を修了した場合は申請だけで取得可能です。測量士補→実務経験→測量士という育成パスを明示し、受験費用・研修費用を会社が負担する制度を整えましょう。

建設業の資格手当ガイド|相場一覧と採用力を高める制度設計

戦略3:年間休日125日以上・完全週休二日を実現する

測量業界では近年、年間休日125日・完全週休二日制を導入する企業が増えています。国土交通省が公共工事の週休二日制を推進していることも追い風です。

建設業全体の年間労働時間は全産業より約230時間長いのが現状ですが、測量業務は屋内作業(データ処理・CAD)と屋外作業のバランスを調整しやすい面があります。「他社より休みが多い」は、有効求人倍率5倍超の市場では強力な差別化ポイントです。

建設業の働き方改革|成功企業5社の事例と2025年最新データ

戦略4:U/Iターン採用で地方の測量士を確保する

都市部に比べて地方では測量士不足がさらに深刻です。一方、都市部で働く測量士の中には地元に戻りたい、自然の多い環境で働きたいと考える人も少なくありません。

U/Iターン歓迎を明示し、転居費用の全額負担や住宅手当の支給を打ち出すことで、都市部からの人材獲得に成功する事例が出ています。引っ越し費用全額負担の制度は、応募の心理的ハードルを大きく下げます。

戦略5:採用代行(RPO)で「攻めの採用」に切り替える

有効求人倍率5.76倍の超売り手市場で、ハローワークや求人サイトに掲載して「待つ」だけでは応募は集まりません。ダイレクトリクルーティング(スカウト)やSNS採用など「攻めの採用」が必要ですが、これを自社だけで行うのは工数的に困難です。

人材紹介 vs 採用代行(RPO)のコスト比較

業界相場より試算

人材紹介で測量士を1人採用すると、年収500万円×35%=約175万円の成功報酬が発生します。RPOなら月額25万円〜の固定費で、求人設計からスカウト送信、応募者対応まで一括で任せられます。年間3名以上採用するなら、コストメリットは明確です。

採用代行(RPO)とは?建設会社が導入すべき3つの判断基準


測量士の採用にお困りですか?まずは無料相談から

建設業特化の採用代行で、求人設計からスカウト送信、応募者対応まで丸ごとサポート。月額固定だから予算管理もかんたんです。

無料で相談する

まとめ

測量士の採用を成功させるためのポイントをまとめます。

  1. 有効求人倍率5.76倍、44.3%の業者が人材不足。待つだけの採用では測量士は確保できない
  2. 50代以上が57%、30代以下は13%。大量退職時代に備えた採用が急務
  3. 求人票の具体化で応募率アップ。7か月で15名応募・2名採用の事例も
  4. 測量士補・未経験者の育成ルートを整備。資格取得支援で将来の測量士を自社で育てる
  5. RPOなら月25万円〜で攻めの採用を一括代行。人材紹介175万円/人と比べてコスト優位

測量士不足は今後さらに深刻化します。「そのうち応募が来るだろう」と待っている間にも、ベテランの退職は進んでいきます。今すぐ採用のやり方を見直し、戦略的に動き始めることが、事業を守る第一歩です。

建設業の採用戦略ガイド|求人倍率5.3倍時代に人材を確保する5つのステップ

施工管理の採用が難しい5つの理由|データと対策を解説