溶接工の有効求人倍率5.56倍。「採用できない」が常態化している

厚生労働省の職業安定業務統計によると、溶接技能者の有効求人倍率は5.56倍(2021年12月時点)。その後も3倍超の高水準で推移し続けています。求人を出しても応募がほとんど来ない超売り手市場です。

日本溶接協会(JWES)の統計では、溶接技能者の実技受験者数は100,466人(2020〜2021年)で前期比10.2%減。新規学科受験者の合格者数は15,110人で、前期比17.2%減と大幅に落ち込んでいます。

溶接技能者は「入ってくる人」が減り続ける一方で、「辞めていく人」は増えている。構造的な人材不足は今後さらに加速します。

この記事では、溶接工の採用が難しい3つの構造的原因をデータで示し、中小建設会社でも実践できる5つの採用戦略を解説します。


溶接工の採用が難しい3つの構造的原因

原因1:建設業全体の就業者30%減と高齢化

建設業の就業者数は、1997年のピーク685万人から479万人へと約30%減少しています(国土交通省)。55歳以上が約36%を占める一方、29歳以下はわずか約12%。溶接工も例外ではなく、ベテランの大量退職が始まっています。

建設業の年齢構成

国土交通省の試算では、2025年には建設業で約90万人の労働力が不足する見通しです。溶接工はその中でも特に採用が難しい職種のひとつです。

原因2:「きつい・汚い・危険」のイメージが若者の参入を阻む

溶接作業は高温・粉じん・紫外線を伴う肉体労働です。「溶接工 やめとけ」という検索ワードが存在するほど、若年層にはネガティブなイメージがあります。

実際には、工場内の空調設備やAI溶接シミュレータの導入など、労働環境は改善が進んでいます。しかし、そうした変化が求職者に伝わっていないことが、応募を阻む大きな壁になっています。

原因3:アジア圏で溶接人材の争奪戦が発生

中国・韓国でも溶接技能者不足が深刻化しており、アジア圏全体で人材の争奪戦が起きています。コロナ禍による外国人技能実習生の入国制限で、新規受験者が大幅に減少した影響も残っています。

外国人材に頼る戦略だけでは不安定。国内での自社採用力の強化が急務です。

建設業の人手不足が深刻な職種ランキング|職種別データと採用戦略


データで見る溶接工の採用市場

溶接工の採用市場データ

厚生労働省・国土交通省・日本溶接協会

溶接工の平均年収は452.4万円(厚労省、令和6年)。経験を積めば55〜59歳で520万円に達します。公共工事設計労務単価は14年連続で上昇し、初めて全職種加重平均で日額25,000円を超えました(国土交通省、2026年度)。市場価値は上がっているのに、供給が追いつかない状況です。

建設業の賃上げ動向と採用への影響|2026年最新データで読む給与戦略


溶接工の採用、プロに任せてみませんか?

建設業専門の採用代行サービス。求人票の設計から媒体選定、スカウト送信、応募者対応まで月額固定でまるごとサポートします。

無料で相談する

溶接工を確保する5つの採用戦略

戦略1:未経験者を採用してOJTで育てる

有資格者の中途採用だけでは、有効求人倍率5倍超の市場で限界があります。溶接は未経験からでも始められる職種のひとつです。アーク溶接の特別教育は数日で修了でき、入社後にJIS溶接技能者資格の取得を目指す育成パスを整備すれば、採用の間口を大幅に広げられます。

多くの建設会社がベテラン溶接工のもとでOJTを行い、未経験から1〜2年でキャリアアップできるしくみを構築しています。

育成の投資対効果

未経験者の採用コストは経験者の半分以下。人材紹介で経験者を1人採用すると150〜200万円ですが、未経験者を求人サイト経由で採用し、資格取得費用を会社負担しても50万円以下に収まるケースが多くあります。

建設業の人材育成ガイド|技術継承と定着率を両立する5つの仕組み

戦略2:労働環境を改善し「定着率」で差をつける

採用と同じくらい大切なのが定着です。せっかく採用した溶接工がすぐ辞めてしまっては、コストと工数が無駄になります。

堺市のある製造企業は「基本的に17時過ぎには帰れる」働き方を徹底し、定着率100%を達成しました。別の企業ではチーム制の導入と作業環境の改善により定着率95%を実現しています。

建設業全体の年間労働時間は全産業平均より約230時間長いのが現実ですが、溶接工に関しては工場内作業が中心の場合も多く、シフト管理や残業削減の工夫次第で大きく改善できます。

建設業の離職率を下げる定着施策5選|辞める理由から逆算する

戦略3:求人票で「溶接工が知りたい情報」を具体的に書く

「溶接業務全般」「経験者優遇」だけの求人票では、他社と差別化できません。溶接工が転職先を選ぶ際に重視する情報を具体的に記載しましょう。

  • 溶接の種類(アーク、TIG、MIG/MAG、ガス溶接など)
  • 対象物(鉄骨、配管、橋梁、プラントなど)
  • 使用する溶接機のメーカー・型番
  • 年間休日数・月平均残業時間の実績値
  • 資格手当の金額(JIS溶接技能者、溶接管理技術者など)
  • キャリアパス(溶接工→班長→工場長)

給与の見える化も効果的

溶接工の平均年収452.4万円に対し、自社が提示できる年収レンジを明示すると応募意欲が高まります。「経験5年で年収480万円可」「溶接管理技術者手当 月2万円」など、具体的な数字が差別化のカギです。

戦略4:AI・デジタル技術で育成を効率化し、若手にアピールする

日鉄ソリューションズと日本溶接協会が共同でAI溶接シミュレータを開発。熟練溶接工の「溶融池」制御技術をAIで解析し、暗黙知のデジタル化を推進しています。

こうした最新技術を育成プログラムに取り入れることで、育成期間の短縮若手へのアピールを同時に実現できます。「古い・きつい」ではなく「テクノロジーを使うかっこいい仕事」というブランディングが、若年層の応募を増やすポイントです。

建設業の採用ブランディング戦略|求職者に選ばれる会社になる方法

戦略5:採用代行(RPO)で「攻めの採用」に切り替える

有効求人倍率5倍超の市場で、ハローワークや求人サイトに掲載して「待つ」だけでは溶接工は確保できません。ダイレクトリクルーティングやSNS採用など「攻めの採用」が必要ですが、採用担当がいない中小建設会社が自力で行うのは困難です。

人材紹介 vs 採用代行(RPO)のコスト比較

業界相場より試算

人材紹介で溶接工を1人採用すると、年収450万円×35%=約157万円の成功報酬が発生します。RPOなら月額25万円〜の固定費で、複数の採用チャネルをプロが同時運用。中途採用の平均コスト97.8万円/人(マイナビ調査)と比べても、年間3名以上採用するならRPOの方がコストパフォーマンスに優れます。

採用代行(RPO)とは?建設会社が導入すべき3つの判断基準


溶接工の採用にお困りですか?まずは無料相談から

建設業特化の採用代行で、求人設計からスカウト送信、応募者対応まで丸ごとサポート。月額固定だから予算管理もかんたんです。

無料で相談する

まとめ

溶接工の採用を成功させるためのポイントをまとめます。

  1. 有効求人倍率5.56倍、新規受験者17.2%減。溶接工の供給は今後さらに減る
  2. 未経験者をOJTで育てる仕組みを整備。採用コストは経験者の半分以下に
  3. 定着率100%の企業は「17時退社」を徹底。労働環境の改善が最大の差別化
  4. AI溶接シミュレータなど最新技術で若手にアピール。「かっこいい仕事」へブランド転換
  5. RPOなら月25万円〜で攻めの採用を一括代行。人材紹介157万円/人と比べてコスト優位

溶接工の人材不足は構造的な問題であり、景気変動で解決するものではありません。「そのうち応募が来る」と待ち続けるのではなく、今すぐ採用のやり方を変えることが、現場を守る第一歩です。

建設業の採用難はなぜ起きる?データで見る5つの原因と打開策

建設業の採用成功事例5選|中小でも人が集まる会社の共通点