「週休2日なんて、うちには無理」。本当にそうでしょうか

2024年4月、建設業にもついに時間外労働の上限規制が適用されました。

「規制が始まっても、現場は変わらないだろう」。 そう思っていた方も多いはずです。

ところが、データは違う景色を見せています。

日本建設業連合会の調査によると、4週8閉所(完全週休2日)の実施率は61.1%。 5年前の約2倍です。 マイナビキャリアリサーチLabの分析では、建設業の年間労働時間は前年比で84時間も減少しました。

弊社が採用支援をしている現場でも、「週休2日にしたら応募が増えた」という声が確実に増えています。

働き方改革は「やらされるコスト」ではありません。採用力を変える投資です。

この記事では、実際に働き方改革に成功した建設会社5社の事例と、中小企業が今日から始められるアクションを紹介します。


2024年上限規制後の建設業。何が変わったのか

時間外労働の上限と罰則

2024年4月から、建設業にも以下の規制が適用されています。

時間外労働の上限規制(建設業)

項目内容
原則月45時間・年360時間
特別条項(繁忙期)年720時間・月100時間未満
罰則6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

労働基準法第36条

違反すれば刑事罰です。 「知らなかった」では済みません。

施行後の実態データ

では、実際にどれだけ変わったのか。

建設業の年間労働時間の変化

2020年2056時間
2022年2000時間
2023年1976時間
2024年1892時間

厚生労働省「毎月勤労統計調査」より作成

2024年の年間労働時間は1,892時間。 2020年比で100時間以上の削減です。

ただし、全産業平均(約1,746時間)と比べるとまだ約150時間多い。 道半ばではありますが、確実に変わり始めています。

建設業の2024年問題とは?採用への影響と対策


働き方改革が採用に与える影響

「改革しても人が来るとは限らないだろう」。 そう考える経営者も多いですが、データはすでに答えを出しています。

建設業の転職意識の変化

指標2021年2024年
転職理由「待遇不満」24.8%17.4%
転職後の休日「増えた」34.2%51.4%
転職後の休日「減った」42.3%28.1%

マイナビキャリアリサーチLab「建設業の2024年問題のその後」

注目すべきは、転職後に「休日が増えた」と答える人が51.4%に達した点です。 2021年は「減った」が多数派でしたが、完全に逆転しました。

つまり、働き方改革に取り組んでいる企業に人が流れているということです。

一方、求人件数は2019年比で190.2%増。 採用競争は激化しています。 「うちは残業が多い」という会社は、選ばれなくなっています。


働き方改革に成功した建設会社5社の事例

事例1:成友興業(東京都)|4班シフト制で4週8休を達成

成友興業は2014年から改革に着手した先駆的企業です。

4班体制のシフト勤務を導入し、交代制で完全週休2日を実現しました。

現場では電子黒板やタブレットを導入し、事務作業のデジタル化も推進。 月2回の土曜休を確保したうえで、4週8休をほぼ達成しています。

さらに注目すべきは、オンライン採用説明会を開始したこと。 働き方改革の実績をアピール材料にして、若手の確保にも成功しています。

事例2:大津建設(広島県)|ICT建機で生産性3倍

大津建設の取り組みは、「一気にやらない」がポイントです。

2年かけて4週6休 → 4週8休に段階的に移行しました。 同時にICT建機を導入し、これまで3人必要だった作業を1人で対応可能に。

生産性が3倍になったことで、休日を増やしても工期を守れる体制が整いました。 子どもがいる社員から「土曜日に子どもと過ごせるようになった」と好評です。

事例3:第一ヒューテック(東京都)|残業60%削減

第一ヒューテックは、コロナ禍をきっかけにITツールを全面導入しました。

第一ヒューテックの改革成果

指標改革前改革後
残業時間約60%削減
有給取得率20%アップ
働き方改革への理解度90%

厚生労働省 働き方改革特設サイト 事例より

残業約60%削減有給取得率20%アップ。 社員の「働き方改革への理解度」は90%に達しています。

事例4:平和建設(広島県)|タブレット1台から始めた

平和建設は、大きな設備投資なしで改革を進めた好例です。

専用タブレットで工事進捗管理と写真管理をデジタル化。 クラウド型の勤怠管理システムも導入し、おおむね週休2日を実現しました。

「まずはタブレット1台から」。この手軽さが中小企業の参考になります。

事例5:重藤組|建設業では珍しいスーパーフレックス制

重藤組は、建設業では珍しいスーパーフレックスタイム制を導入しました。 コアタイムを設けず、社員が自分で勤務時間を調整できる仕組みです。

現場の繁閑に合わせた柔軟な働き方が可能になり、時間外労働の削減に成功しています。

5社に共通するのは「ITツール導入」「段階的な移行」「経営者のコミットメント」。この3つが揃えば、中小企業でも改革は進みます。

働き方改革の成果、求人票に反映できていますか?

週休2日・残業削減の取り組みは、採用の武器になります。建設業専門の採用コンサルタントが、貴社の改革を「応募が増える求人」に変えるお手伝いをします。

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未対応のリスク。建設業の倒産が12年ぶりに2,000件超え

改革に取り組む企業がある一方、未対応の企業には厳しい現実が待っています。

帝国データバンクの調査によると、2025年の建設業の倒産件数は2,021件。 12年ぶりに2,000件を超え、4年連続の増加です。

建設業の倒産件数推移

2022年1291
2023年1693
2024年1924
2025年2021

帝国データバンク「建設業の倒産動向」より作成

なかでも人手不足倒産は113件で過去最多を更新。

「人が来ない → 工事を断る → 売上減少 → さらに待遇を上げられない」。 この負のスパイラルに入った企業から倒れています。

上限規制に違反すれば刑事罰。 かといって残業を減らすだけでは仕事が回らない。

この板挟みを解くカギが、前述の5社が実践した「ITによる生産性向上」と「段階的な改革」なのです。

建設業の人材不足は何万人?2026年最新データと企業ができる3つの対策


中小建設会社が今日から始められる3つのアクション

アクション1:勤怠管理をデジタル化する

紙のタイムカードやExcel管理から、クラウド型の勤怠管理システムに切り替えましょう。

月額数千円から導入でき、労働時間の「見える化」が改革の第一歩になります。 第一ヒューテックも平和建設も、ここから始めています。

アクション2:4週6休から段階的に移行する

いきなり完全週休2日は難しくても、4週6休 → 4週7休 → 4週8休と段階的に進めれば、現場の混乱を最小限に抑えられます。

大津建設は2年かけて移行しました。 焦らず、でも確実に進めることが大切です。

アクション3:改革の成果を採用に活かす

せっかく改革しても、求人票に反映しなければ意味がありません。

「完全週休2日制を導入」「年間休日120日」「残業月20時間以下」。 これらの実績を、求人票や採用サイトに具体的に記載しましょう。

弊社の支援実績では、働き方改革の成果を求人票に反映しただけで応募数が1.8倍になったケースがあります。

ただし、ここで壁にぶつかる企業が多いのも事実です。

「改革は進めた。でも、それをどう求人に反映すればいいか分からない」「採用まで手が回らない」。弊社に相談される企業の多くが、このフェーズで止まっています。

働き方改革と採用活動の両方を自社だけで回すのは、中小企業にとって大きな負担です。

そんなとき、月額固定で採用業務を丸ごと任せられる採用代行という選択肢があります。 人材紹介なら1人採用するたびに150〜200万円。 採用代行なら月額25万円〜で、求人設計から応募対応まで対応できます。

採用代行(RPO)とは?建設会社が導入すべき3つの判断基準


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建設業の採用でお困りなら、まずは無料相談からお気軽にどうぞ。月額固定の採用代行で、求人設計から応募対応まで丸ごとサポートします。

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まとめ

建設業の働き方改革は、2024年の上限規制施行を機に確実に前進しています

4週8閉所の実施率は61.1%。 年間労働時間は前年比84時間の削減。 転職後に「休日が増えた」人は51.4%

一方、改革が進まない企業では人手不足倒産が過去最多の113件

成功企業5社に共通するのは、ITツール導入、段階的な移行、そして経営者のコミットメント。 タブレット1台から始められます。

大切なのは、改革の成果を採用につなげること。 「改革はしたけど人が来ない」のは、伝え方の問題です。

自社で採用まで回すか、プロに任せるか。 どちらを選ぶにしても、「何もしない」が最もコストの高い選択です。