外国人技能者5名を受け入れた地方建設会社。工期遅延がゼロになった

北関東の総合建設会社(従業員80名)の話です。

慢性的な人手不足で、年に2〜3件の工期遅延が発生していました。 日本人の採用は有効求人倍率5.22倍(2025年2月・厚生労働省)の壁に阻まれ、人材紹介に年間500万円以上を投じても採用は年1〜2名が限界。

2023年に特定技能でベトナム人技能者5名を受け入れたところ、翌年の工期遅延はゼロに。 1人あたりの受入れコストは人材紹介の約3分の1でした。

建設業の人手不足は「日本人だけで解決する」時代ではありません。外国人材の活用は、もはや選択肢ではなく経営戦略です。

建設業で働く外国人労働者は約18万人(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」)。 建設業就業者全体の約3%にすぎません。

しかし、特定技能制度の在留外国人は33万6,196人(2025年6月末・出入国在留管理庁)と前年比33.5%増。 建設分野への流入も加速しています。

この記事では、建設業で外国人を採用するための制度・手続き・費用・注意点を網羅的に解説します。


建設業で外国人を雇用できる3つの在留資格

外国人を建設現場で働かせるには、適切な在留資格が必要です。 主な選択肢は3つあります。

特定技能(1号・2号)

2019年に創設された制度で、即戦力の外国人材を受け入れるための在留資格です。

特定技能1号と2号の比較

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間通算5年まで上限なし(更新可)
技能水準試験合格または技能実習2号修了実務経験+評価試験合格
家族帯同不可可能
対象業務型枠施工、左官、電気通信など同左(熟練技能が必要)
日本語能力N4程度以上規定なし

出入国在留管理庁資料より作成

建設分野の特定技能では、型枠施工、左官、コンクリート圧送、電気通信など多数の業務区分が認められています。

特定技能2号を取得すれば在留期間の上限がなくなり、家族も帯同可能。 長期的な戦力として期待できます。

技能実習(1号・2号・3号)

開発途上国への技術移転を目的とした制度で、最長5年間の実習が可能です。

受入れ方式は「企業単独型」と「団体監理型」の2種類。 全体の98.6%が団体監理型(監理団体経由)です。

建設業では22職種33作業が対象で、実習1号(1年)→2号(2年)→3号(2年)と段階的にステップアップします。

技術・人文知識・国際業務

建築設計やCADオペレーション、施工管理の技術者など、専門的な知識や技術を持つ外国人向けの在留資格です。

大学卒業以上の学歴要件があり、現場作業には従事できません。 設計事務所や本社の技術部門での採用に適しています。

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特定技能 vs 技能実習、どちらを選ぶべきか

特定技能と技能実習の比較

比較項目特定技能技能実習
目的人手不足への対応技術移転(国際貢献)
在留期間1号: 5年、2号: 上限なし最長5年
転職同一分野内で可能原則不可
即戦力度高い(試験合格が前提)低い(育成が前提)
受入れ費用中程度高い(監理費用あり)
受入れ人数枠常勤職員数と同数まで常勤職員数に応じた制限あり

各制度の公式資料より作成

結論から言えば、即戦力が欲しいなら特定技能、育成前提なら技能実習です。

ただし、技能実習には注意点があります。 建設分野は失踪者数が全分野で最多(法務省)。 待遇への不満や、転職ができない制度上の制約が背景にあります。

2027年の制度改正に注目

技能実習制度は「育成就労制度」に移行する予定です。転職制限の緩和や、特定技能への移行をより円滑にする設計が検討されています。制度改正を見据えた採用計画を立てましょう。


外国人材の受入れにかかる費用

「外国人採用は安い」というイメージがありますが、隠れたコストを含めて正しく把握する必要があります。

特定技能の受入れコスト

特定技能の受入れにかかる主な費用

人材紹介手数料30万円(目安)
渡航・入国費用25万円(目安)
住居手配15万円(目安)
在留資格申請15万円(目安)
JAC受入負担金(年)15万円(目安)
支援委託費(年)36万円(目安)

各支援機関の公開情報より作成

建設分野で特定技能外国人を受け入れる場合、JAC(建設技能人材機構)への加入が必須です。

JAC受入負担金は1人あたり月額12,500円(年間15万円)。 登録支援機関への委託費は月額2〜3万円が相場です。

初年度の総コストは1人あたり100〜150万円程度。

人材紹介との比較

施工管理の採用コスト比較

項目日本人(人材紹介)外国人(特定技能)
1人あたり採用コスト150〜250万円100〜150万円(初年度)
2年目以降のコスト0円(ただし早期離職リスク)年間50〜60万円(JAC+支援費)
3名採用時の総コスト450〜750万円300〜450万円(初年度)
定着率3年以内離職率42.4%在留期間満了まで就業するケースが多い

人材紹介で日本人を1人採用すると150〜250万円。 特定技能の初年度コストは100〜150万円で、2年目以降は大幅に下がります。

さらに注目すべきは定着率です。 日本人の新規高卒者の3年以内離職率は42.4%(厚生労働省)。 一方、外国人労働者は在留期間の満了まで安定して就業するケースが多く、長期的な人材確保につながります。

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受入れ手続きの流れ【5ステップ】

ステップ1:受入れ計画の策定

まず建設特定技能受入計画を国土交通省に提出し、認定を受ける必要があります。

計画には以下の内容を含めます。

  1. 受け入れる外国人の業務内容
  2. 報酬額(日本人と同等以上)
  3. 安全衛生教育の計画
  4. 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録

ステップ2:JAC・CCUSへの登録

建設分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、JAC(建設技能人材機構)CCUS(建設キャリアアップシステム)への登録が必須です。

JACは正会員または賛助会員として加入します。 賛助会員の場合、年会費は24万円です。

ステップ3:人材の募集・選考

人材の確保方法は主に3つ。

  1. 海外の送出機関経由:ベトナム、フィリピン、インドネシアなどからの採用
  2. 国内の技能実習修了者:技能実習2号を修了した人材の特定技能への移行
  3. 人材紹介会社経由:国内在住の外国人材のマッチング

国内の技能実習修了者からの移行が、即戦力確保の最短ルートです。

ステップ4:在留資格の申請

出入国在留管理庁に在留資格認定証明書交付申請(海外からの場合)または在留資格変更許可申請(国内からの場合)を行います。

審査期間は1〜3か月。 書類の不備があると大幅に遅れるため、行政書士や登録支援機関の活用を推奨します。

ステップ5:入社後の支援体制構築

特定技能外国人には、以下の義務的支援が必要です。

義務的支援の内容

事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談・苦情対応、定期面談の実施(3か月に1回以上)

自社で支援が難しい場合は、登録支援機関に委託できます(月額2〜3万円/人)。


受入れに成功した建設会社の共通点

共通点1:同郷の先輩社員がいる

外国人材の受入れで最も効果的なのは、同じ国出身の先輩社員がいることです。

ある建設会社では、切れ目なくベトナム人材を採用し続けることで、先輩が後輩に日本の働き方や会社のルールを教える「自然な教育サイクル」が生まれました。 結果、トラブルはほぼゼロで、事業の黒字化にも貢献しています。

共通点2:安全教育を多言語化している

建設現場で最も重要なのは安全管理です。

成功企業は安全教育マニュアルを多言語化し、図表やイラストを活用した視覚的な注意喚起を徹底しています。 「やさしい日本語」での安全指示も効果的です。

共通点3:報酬を月給制にしている

建設業の外国人技能者には月給制が義務づけられています(国土交通省)。

日給月給制が一般的な建設業では、この切り替えに抵抗を感じる企業もありますが、月給制は外国人材にとって収入の安定につながり、定着率の向上にも寄与します。


受入れの注意点とリスク管理

在留資格の確認は採用時に必ず行う

不法就労は企業側にも罰則があります(不法就労助長罪:3年以下の懲役または300万円以下の罰金)。

在留カードの確認、就労制限の有無、在留期限の管理は採用時だけでなく継続的に行ってください。

日本人と同等以上の報酬が必須

外国人だからといって低賃金で雇うことは法律違反です。

同じ職種・経験年数の日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。 報酬が不当に低いと、受入計画が認定されません。

文化・宗教への配慮

食事、礼拝、休日の考え方など、文化的な違いへの理解が定着の鍵です。

事前に相互理解の機会を設けることで、職場のコミュニケーションが大幅に改善します。

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「自社で対応する」か「プロに任せる」か

外国人材の受入れには、在留資格の申請、JAC・CCUSの登録、支援計画の策定、住居の手配と、膨大な事務作業が発生します。

「制度が複雑すぎて、何から手をつけていいか分からない」。弊社に相談される建設会社の経営者が、最初におっしゃるのがこの一言です。

人事担当が総務・経理と兼任している中小建設会社では、これらをすべて自社で対応するのは現実的ではありません。

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まとめ

建設業の有効求人倍率は5.22倍。 日本人だけでは人手不足は解消できません。

特定技能の在留外国人は33万人超、前年比33.5%増。 外国人材の活用は急速に広がっています。

押さえるべき3つのポイントです。

  1. 在留資格の選択:即戦力なら特定技能、育成前提なら技能実習
  2. コストの全体像を把握:初年度100〜150万円/人。人材紹介より安く、定着率も高い
  3. 受入れ体制の整備:安全教育の多言語化、月給制、文化への配慮が定着の鍵

外国人材の受入れは制度が複雑ですが、正しく取り組めばコスト削減と安定した人材確保の両方を実現できます。

まずは自社でどの在留資格が適しているか、検討するところから始めてみてください。