「他社はどうやって採用しているのか」を知りたい方へ

求人を出しても応募が来ない。紹介会社に依頼しても候補者が途切れる。媒体を増やすほど単価が跳ねる。

建設業の採用でこうした悩みを抱えたまま、「同じ規模の会社は、どうやって採用に成功しているのだろう」と検索される方は多いと思います。

先に結論から書くと、建設業の採用で結果を出している会社には共通点があって、採用を「単発の募集」ではなく「仕組み化された運用」として回している点に尽きます。

特別な予算を投じたわけでも、大手と同じ施策を真似したわけでもありません。自社の規模・職種・地域に合う打ち手を1〜2つに絞り、運用を3ヶ月〜半年継続した結果として採用に繋がっています。

建設業の採用成功事例は、派手な打ち手ではなく地味な積み重ねから生まれています。「何をやったか」よりも「どの順番でどう回したか」を読み取るのが、自社に活かす一番の近道です。

この記事では、建設業の採用で成果につながった5社の事例を課題・施策・成果・再現方法の4段構成で深掘りします。いずれも当社が採用代行として伴走させていただいたケースで、会社名は伏せ、都道府県・業種・規模の粒度で整理しています。


なぜ建設業の採用成功事例が参考になるのか

事例に入る前に、建設業の採用市場がどれだけ厳しい状況にあるのかを先に押さえておきます。ここの前提が揃っていないと、「たまたま採用できた会社」と「仕組みで採用している会社」の区別が付きにくくなります。

有効求人倍率5.18倍・求人1件に求職者0.2人

建設業の有効求人倍率は5.18倍厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分)。全産業平均の1.19倍と比べて約4.3倍です。

職種別では、建築・土木・測量技術者が5.76倍、建設躯体工事従事者は8.01倍。求人1件に対して求職者はおよそ0.2人しかいない計算になります。

「募集を出せば何人かは応募がある」という感覚は、もう市場とズレています。何もしなければ、母集団そのものが形成できないのが今の建設業の採用です。

採用専任者を置けない会社が37.3%

もう一つ構造的な背景があります。採用専任者の不足です。

厚生労働省の調査では、37.3%の建設業企業が採用専任者を配置していないと報告されています(厚生労働省『建設雇用改善対策』)。総務部長が片手間で採用を回したり、工事部長が応募者対応をしたり、社長自身がスカウトを書くケースが多いです。

この体制で5倍超の求人倍率と戦うのは、正直なところ厳しいのが実情です。成功事例を読み解くときも、「どんな体制でその打ち手を回したのか」まで含めて見るのがポイントになります。

中小建設会社が大手の真似をしても刺さらない

成功事例を探すときに陥りやすいのが、大手ゼネコンや上場企業の事例を参考にしようとすることです。ただ、応募者層も予算規模も違うため、そのまま持ち込むと空振りしやすいです。

中小建設会社に合うのは、同規模・同業種の事例から逆算する発想です。従業員30名の設備工事会社は、30名規模の建設会社の打ち手を参考にしたほうが再現しやすい。この記事で取り上げる5社も、従業員15名〜90名の中小〜中堅建設会社のケースに絞っています。


成功事例に共通する5つのパターン

個別事例に入る前に、5社を分析して見えてきた共通する5つのパターンを先にまとめます。読み進めるときの目線合わせに使ってください。

建設業の採用成功事例に共通する5パターン

パターン概要効果が出やすい規模主な打ち手
採用ファネルの全面見直し応募から入社までの数字を分解し、詰まりポイントを特定30〜100名ファネル数値化/面接設定ルール化
エージェントコントロール紹介会社との関係性を「依頼」から「運用」に変える30名以上要件シート/返信48時間ルール/定例設置
求人票・採用サイトの刷新給与中心の求人票を、候補者視点で書き直す全規模職種別原稿/年収モデル/現場写真追加
ダイレクトリクルーティング導入待ちの採用から攻めの採用へ50名以上DB選定/月30〜50通スカウト運用
採用活動の外部化(採用代行)媒体・紹介・DRを横串で運用する体制を外に持つ15名以上月額10万円〜/業務範囲を段階設計

建設業採用支援の実務ベースで整理

5パターンはそれぞれ独立して効きますが、実際の成功事例では複数のパターンを組み合わせているケースがほとんどです。1つずつ順に入れるというより、自社のボトルネックに合わせて2〜3個を同時に動かしています。

自社に当てはまるパターンはどれか

5つのパターンを眺めて、「いまの自社に一番効きそう」と感じるものはどれですか。応募が来ないなら求人票刷新+DR、応募はあるが決まらないならファネル見直し+エージェントコントロール、というように、症状と打ち手の対応を仮置きしてから事例を読むと、自社に引き寄せやすくなります。


事例1|福島県の総合建設業A社(従業員50名規模)— 年間13名採用

課題|求人広告の応募が来ない・紹介会社から返信が来ない

福島県の総合建設業A社は、施工管理・技能工・事務を合わせて年5〜6名を採用したいという目標を持ちながら、数年にわたって3〜4名で足踏みしていました。

いただいた相談の内容を整理すると、問題は大きく2つです。

  • 求人広告を複数媒体に掲載しているのに、応募が月1〜2件しか来ない
  • 人材紹介会社を3社契約しているのに、候補者の紹介が途切れがち

社内では「市場が厳しいから仕方がない」という空気でしたが、数字を分解してみると、媒体の選定と運用、紹介会社との関係性に改善余地が残っていました。

施策|採用ファネル全体の見直しと紹介会社の運用化

実際にご一緒した打ち手は、大きく3つです。

  1. 求人要件の言語化: 職種別に「どんな経験・資格の人を、どんな現場に配属するか」を要件シートにまとめる
  2. エージェントコントロール強化: 紹介会社への要件シート再提出、返信48時間ルール、月1回の定例ミーティング設置
  3. 媒体ミックスの整理: 求人広告3媒体を建設特化型+大手総合型+Indeed連携の3カテゴリ構成に絞り、職種ごとに原稿を分離

体制としては、当社の採用代行(月額20万円)を上位レイヤーに入れて、求人広告の原稿改善・応募者一次対応・紹介会社2社のコントロールを一括で巻き取る形にしました。A社側は、最終面接と入社手続きに集中していただく設計です。

成果|応募約2.4倍・年13名採用

数字の変化は大きく出ました。

  • 応募数: 月1〜2件 → 月5〜6件(約2.4倍)
  • 紹介会社からの月次候補者数: ほぼゼロ → 月3〜5名で安定
  • 年間採用数: 3〜4名 → 13名(施工管理3名・技能工6名・事務4名)

紹介手数料はそのまま発生していますが、応募経由の採用が増えたことで紹介依存度が下がり、中期的には紹介経由の採用比率が減っていく見通しです。

再現方法|このケースを自社に当てはめる3ステップ

A社のケースを自社で再現するなら、次の順番で進めるのが現実的です。

  1. 直近3〜6ヶ月の媒体別・紹介会社別の応募数と採用数を並べる
  2. 応募は来るが面接に繋がらないのか、そもそも応募が来ないのかを切り分ける
  3. 紹介会社との打ち合わせを「依頼ベース」から「運用ベース」に切り替え、定例・フィードバックの型を作る

エージェントコントロールの詳細は、採用代行(RPO)とは?仕組み・業務範囲・選び方でも整理しています。紹介会社との関係性を運用レベルに引き上げるのが、中小建設会社で一番レバレッジが効く打ち手です。


事例2|新潟県の総合建設業B社(従業員90名規模)— 採用単価30%減

課題|媒体費と紹介料の合計1,500万円超で経営が厳しい

新潟県の総合建設業B社は、従業員90名の中堅クラス。年間中途採用10名前後を回しつつ、2〜3年前から採用コストが積み上がり、媒体費と紹介料の合計が年間1,500万円を超える水準になっていました。

経営側から「このコスト構造では続けられない」という指摘が出たタイミングでのご相談です。採用人数は維持しつつ、単価と紹介依存度を下げたい、というのが具体的な要望でした。

施策|媒体カテゴリの整理とDR導入

打ち手は、媒体ポートフォリオの組み替えと運用レイヤーの外部化の2本立てでした。

  • 媒体構成を大手総合型+DR+建設特化型の3カテゴリに整理
  • ダイレクトリクルーティングを導入し、月30〜50通のスカウト運用を巻き取る
  • 紹介会社は「即戦力枠の有資格者」に用途を絞り、優先度を上げる運用に変更
  • 求人広告の原稿を職種別に再設計(応募動機につながる要素を前半に配置)

運用は当社の採用代行で巻き取り、B社の採用担当は現場部門との連携と面接設計に集中する体制に切り替えました。

成果|応募1.8倍・採用単価30%減

半年〜1年で、数字の流れが変わってきました。

  • 求人広告経由の応募数: 約1.8倍
  • 媒体費ベースで見た1名あたり採用単価: 従来比30%減
  • 年間採用: 中途11名・新卒2名(採用人数は維持)
  • 紹介料総額: 減少。残した紹介会社2社との連携は、定例運用で精度を向上

採用数を落とさずにコストを下げる、という経営課題への答えが出ました。紹介会社を切ったわけではなく、使いどころを絞って精度を上げる方向に寄せたのがポイントです。

再現方法|媒体ポートフォリオの組み替えで効く場面

B社のケースが効くのは、採用人数は維持しつつ採用単価を下げたい場面です。採用人数そのものを増やす場面では、媒体カテゴリを増やす動きが先に来ますが、コスト最適化に振るときは、カテゴリを維持しつつ役割を再設計するほうが効きます。

媒体カテゴリごとの特徴と組み合わせの考え方は、建設業の採用媒体完全比較ガイド|求人広告・人材紹介・DR・ハロワ・リファラルの使い分けで整理しています。

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事例3|長野県の工務店C社(従業員15名規模)— 12ヶ月で自走化

課題|社長1人で採用対応・毎回ゼロから

長野県の工務店C社は、従業員15名の小規模会社。代表が営業・現場・採用のすべてを兼任しており、採用活動のたびに「ゼロから求人票を書く」「紹介会社に都度連絡する」という状態でした。

採用が決まってもノウハウが残らず、次の募集では同じ作業を繰り返すサイクル。当社にご相談いただいた時点では、「うちに採用代行は大きすぎるのでは」という懸念もお持ちでした。

施策|月額10万円の最小構成で段階的に外部化

C社のケースで重視したのは、最初から全部任せるのではなく、段階的に外部化する設計でした。

  • 月額10万円の最小構成からスタート
  • 採用代行の業務範囲: 求人票作成・Indeed運用・応募者一次対応のみ
  • 面接・オンボーディングは代表が直接対応
  • 運用ドキュメント(求人票テンプレ・面接フロー・応募者対応スクリプト)を並行整備

6ヶ月目までは当社が中心で運用し、7ヶ月目以降は段階的にC社側に移管。12ヶ月目でテンプレートと運用マニュアルを引き継ぎ、自社運用に戻す設計です。

成果|半年で現場1名・事務1名・12ヶ月で卒業

半年で現場1名・事務1名の採用に成功。さらに大きかったのは、採用の仕組みが社内に残ったことです。

  • 12ヶ月目に採用代行を「卒業」し、以降は自社で年3名ペースの採用を継続
  • 求人票テンプレ・面接フロー・応募者対応スクリプトが社内に蓄積
  • 代表が採用業務から解放され、営業・現場マネジメントに集中できるように

採用代行費用は「継続コスト」ではなく、採用体制への初期投資として機能したケースです。

再現方法|小規模でも仕組み化は可能

C社のポイントは、規模が小さくても採用を仕組み化できるという点です。「人員が少ないから仕組み化は無理」ではなく、人員が少ないからこそ仕組みで回す必要があるという発想です。

建設業の採用代行の選び方・導入ステップは、建設業の採用代行サービスの選び方|費用相場・導入事例にまとめています。C社のような15〜30名規模での活用方法も具体例で整理しています。


事例4|大阪府の総合建設業D社(従業員30名規模)— 紹介依存から脱却

課題|紹介手数料が年間700万〜1,000万円

大阪府の総合建設業D社は、従業員30名規模で施工管理を年2〜3名採用していました。採用チャネルは人材紹介中心で、紹介手数料の合計が年間700万〜1,000万円に達している状態です。

年収800万円の施工管理を紹介手数料45%で採用すると、1名あたり約360万円。年3名で1,080万円の水準になります(厚生労働省『職業紹介事業関係』参照)。D社では紹介依存のまま採用人数を増やすのが難しく、媒体運用やDRを社内で回す余力もない、という二重の詰まりが起きていました。

施策|採用ポートフォリオの組み替え

打ち手は、紹介依存を解消するための採用ポートフォリオの組み替えです。

  • 求人広告(建設特化型1・大手総合型1)の運用改善
  • 求人票を「給与・待遇」中心から「キャリアパス・1日の流れ・先輩インタビュー」中心に刷新
  • ダイレクトリクルーティングを1サービス導入し、スカウト運用を外部化
  • 人材紹介は2社に絞り込み、要件の精度を上げて優先度を確保

体制は、当社の採用代行(月額20万円)を上位レイヤーに入れる形。D社の採用担当は紹介会社の管理だけで工数が埋まっていたため、媒体・DRの運用を外部チームが担うことで、担当者が紹介会社との関係構築と面接対応に集中できるようにしました。

成果|採用ポートフォリオが動き始めた

すぐに紹介料をゼロにできる話ではありませんが、採用手法のポートフォリオが動き出したのが一番の変化です。

  • 求人広告経由・DR経由の応募比率が高まり、紹介経由の比率が相対的に低下
  • 年間の採用ペースは維持(2〜3名)
  • 採用1人あたりの実質コスト(媒体費+DR費+紹介料)は改善方向

「紹介手数料を削る」のではなく「採用手法のポートフォリオを組み替える」。この発想転換が、中期のコスト構造を変えていくポイントです。

再現方法|求人票刷新とポートフォリオ組み替えの合わせ技

D社のケースで再現性が高いのは、求人票の刷新とポートフォリオ組み替えの合わせ技です。給与条件だけで勝負しようとすると、紹介会社経由の即戦力採用に寄りがちで、単価が跳ねます。

求人票を候補者視点に書き直すと、媒体経由・DR経由でも候補者が動くようになり、紹介依存から抜け出す入り口が開きます。求人票の書き方は建設業の求人票の書き方|応募が増える7つのコツにまとめています。


事例5|北関東の電気工事会社E社(従業員25名規模)— スカウト型に転換

課題|応募母集団が形成されない

北関東の電気工事会社E社は、従業員25名の中小電気工事業者。第二種電気工事士・電気工事施工管理技士の有資格者を年2〜3名採用したい、という希望を持っていました。

相談をいただいた時点では、求人広告・ハローワーク・紹介会社の3チャネルを並行運用していたものの、応募ゼロの月が続く状況でした。電気工事士の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回り、登録者プールが全国的に薄いため、待ちの採用では母集団そのものが形成できない構造です。

施策|ダイレクトリクルーティング導入

E社のケースでは、待ちの採用から攻めの採用に大きくシフトしました。

  • ダイレクトリクルーティングを1サービス導入(施工管理・技能職向けDB)
  • 月30通のスカウト送信を運用設計
  • スカウト文面は「未経験可」ではなく「有資格者向けに責任者ポジションでの入社」を前面化
  • 返信が来た候補者には、48時間以内にオンライン面談を設定する運用ルール

求人広告・ハローワークは並行運用を維持し、新規チャネルとしてDRを追加する形です。運用工数は週10時間前後を見込み、社内1名(総務兼任)+当社のサポートで回しました。

成果|3ヶ月で3名採用

3ヶ月で明確な変化が出ました。

  • スカウト月30通のうち、返信率は約15%(業界平均より高水準)
  • 面談設定は月4〜5名で安定
  • 3ヶ月で施工管理1名・電気工事士2名を計3名採用
  • 紹介会社経由ゼロ、DR経由100%の採用に

ダイレクトリクルーティングは時間がかかる手法と思われがちですが、運用を詰めれば3ヶ月で成果が出るケースもあります。ポイントは、スカウト文面の設計返信後の応対速度の2つです。

再現方法|待ちから攻めへの転換

E社のケースが効くのは、職種別に登録者プールが薄い場面です。電気工事士・大工・鳶・重機オペレーターのような技能職は、総合転職サイトだけでは母集団が埋まりません。

DBから候補者を検索し、企業側から直接アプローチする仕組みに切り替えることで、潜在層にリーチできます。建設業のDR活用については、建設業のダイレクトリクルーティング完全ガイドに詳しく整理しています。


5社から見える「採用に成功する会社」の共通点

5社の事例を並べてみると、業種・規模・打ち手は違っても、いくつかの共通する姿勢が浮かびます。

共通点1|採用を経営課題として定義している

成功している会社は、採用を「人事の仕事」ではなく経営の仕事として扱っています。A社は社長が月1回の採用ミーティングに同席し、B社は経営会議で採用コスト構造を議論し、C社は代表が直接採用の意思決定をしていました。

「忙しいから人事に任せている」という体制では、エージェントコントロールも媒体ミックスの判断も後手になります。まず経営レベルで採用予算と目標を決めるのが、全ての出発点です。

共通点2|媒体でなく導線で考える

5社とも、媒体選びの議論ではなく候補者の導線設計に時間を使っていました。求人媒体を見た候補者が、どの媒体経由で応募に至り、どのタイミングで面接に繋がり、何を決め手に入社するのか。

この導線を可視化すると、媒体の評価基準も変わります。「応募数」ではなく「入社までの歩留まり」「入社後の定着」まで含めて媒体を見るようになるため、安易な媒体追加が減ります。

共通点3|外部の力を使うことに抵抗がない

5社とも、採用代行・人材紹介・DRといった外部サービスの活用を前向きに捉えていました。「自社で全部やるべき」という価値観に縛られている会社ほど、採用で詰まるケースが多いです。

建設業は採用専任者を置けない会社が37.3%を占めます。外部の採用チームを借りるのは甘えではなく、むしろ合理的な選択肢です。

共通点4|離職対策と採用をセットで動かす

5社とも、採用を強化するのと並行して離職率の改善にも取り組んでいました。いくら採用しても、同じ人数が辞めてしまえばネットで増えません。

建設業の高卒3年以内離職率は42.7%厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況』)。採用と定着は同じ課題の表裏です。定着率の改善については、建設業の離職率と定着対策に整理しています。


自社で事例を再現するための進め方

5社の事例から打ち手を拾うだけでは、自社への適用で迷いやすい部分があります。再現に向けた進め方を、4ステップでまとめます。

Step1|現状ファネルを数字で診断する

まずは直近6〜12ヶ月の採用活動を数字で並べます。

  • 媒体別の掲載数・応募数・面接設定数・採用数
  • 紹介会社別の紹介候補者数・書類通過数・採用数
  • 採用1人あたりの費用(媒体費+紹介料+工数換算)
  • 入社後6ヶ月定着率

ここで数字が出ないときは、「数字を揃える」こと自体が最初の施策になります。採用の意思決定が感覚ベースで動いている状態を、事実ベースに変えるステップです。

Step2|ボトルネックを1つに特定する

ファネルの数字を並べると、どこで詰まっているかが見えてきます。主なボトルネックは3パターンです。

  1. そもそも応募が来ない: 求人票・媒体ミックス・DR導入で母集団形成
  2. 応募は来るが面接に繋がらない: 返信速度・面接設定ルール・書類選考の精度
  3. 面接するが決まらない: 面接設計・志望動機のヒアリング・クロージング

複数のボトルネックに同時に手を付けると、どれが効いたか分からなくなります。1つに絞って3ヶ月運用するほうが、打ち手の評価が明確になります。

Step3|1施策から試す

打ち手が決まったら、1施策を3ヶ月運用して数字の変化を見ます。A社のエージェントコントロール、D社の求人票刷新、E社のDRスカウトのような、局所でも効果が出る打ち手から始めるのがおすすめです。

全面刷新は運用コストが大きく、成功確率も読めません。小さく始めて数字を見て、効くものを広げていくアプローチが結果的に早道になります。

Step4|3ヶ月で検証・継続判断

3ヶ月後に、打ち手の効果を数字で評価します。

  • 応募数・面接設定率・採用数の変化
  • 1名あたり採用単価の変化
  • 現場・面接官からの定性フィードバック

効果があれば継続・横展開。効果が薄ければ打ち手を切り替える。この判断を3ヶ月サイクルで回すと、採用活動がだんだん運用ベースに変わっていきます。

採用戦略全体の設計は、建設業の採用戦略ガイド|5ステップで体系化に整理しています。


よくある質問

Q. 事例と自社の規模が違う場合、参考にならないですか?

規模が違っても、打ち手の考え方は流用できます。A社(50名)のエージェントコントロールは15名規模でも応用可能ですし、B社(90名)のポートフォリオ組み替えは30名規模でも規模を縮めて実装できます。

重要なのは、「何をやったか」ではなく「なぜそれが効いたか」を読み取ることです。事例の打ち手をそのままコピーしても、自社の状況に合っていなければ空振りします。

Q. まずどこから着手すべきですか?

現状ファネルの数字化と、ボトルネックの特定が最初です。「どの事例が一番効くか」を考える前に、自社がA社型(応募が来ない)なのか、B社型(コストが重い)なのか、D社型(紹介依存)なのかを判別するところから始めてください。

数字が揃っていない場合は、数字を揃えること自体が最初のプロジェクトになります。

Q. 何ヶ月くらいで成果が出ますか?

打ち手にもよりますが、早いものは3ヶ月、仕組み化の効果が出るのは6ヶ月〜12ヶ月が目安です。E社のDRは3ヶ月で採用3名の成果が出ましたが、A社のエージェントコントロールは半年かかって応募2.4倍、C社の仕組み化は12ヶ月で自走化まで持っていきました。

即効性のある施策から仕込みつつ、仕組み化は中長期で積み上げる二段構えがおすすめです。

Q. 採用代行は中小でも使えますか?

使えます。C社(15名)は月額10万円の最小構成で、求人票作成・Indeed運用・応募者一次対応のみを切り出して導入しました。採用代行=大手向けというイメージは古く、建設特化の中小向け採用代行は月額10万円〜のレンジから設計できます。

詳細は採用代行(RPO)とは?建設業の採用代行サービスの選び方にまとめています。

Q. 5社の事例はすべて採用代行を使っていますか?

5社とも当社の採用代行を活用いただいたケースですが、打ち手の中心は採用代行そのものではなく、求人票・媒体・紹介会社・DRの運用改善です。採用代行はそれらの運用レイヤーを担う役割で、代行さえ入れば採用が決まる、というサービスではありません。

自社で同じ運用ができるなら、採用代行なしで再現することも可能です。


まとめ|成功事例はすべて「仕組み化」されている

建設業の採用成功事例5社を振り返って、押さえておきたいポイントを整理します。

  • 有効求人倍率5.18倍・採用専任者なし37.3%の市場で、単発の募集では採用が成立しない
  • 成功している5社は、打ち手ではなく運用の仕組み化で結果を出している
  • 5つの共通パターン(ファネル見直し・エージェントコントロール・求人票刷新・DR導入・採用代行)を組み合わせて使っている
  • 採用を「経営課題」として扱い、導線で考え、外部の力を使い、離職対策とセットで動かすのが成功する会社の姿勢
  • 自社で再現するには、現状ファネル診断→ボトルネック特定→1施策から試す→3ヶ月検証の順で進める

「特別な予算」も「大手と同じ施策」も要りません。自社の規模・職種・地域に合う打ち手を1〜2個に絞り、3〜6ヶ月運用を続けるのが、結局のところ一番の近道です。

次の一歩として、戦略設計のハブは建設業の採用戦略ガイド、媒体の組み合わせは建設業の採用媒体完全比較ガイド、運用レイヤーの詳細は採用代行(RPO)とは?をご参照ください。

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