「採用戦略」という言葉で検索している方に、最初にお伝えしたいこと

求人を出しても応募が来ない。紹介会社と契約しても候補者が途切れる。媒体を追加しても単価ばかり上がって採用には繋がらない。

建設業の採用現場で、この3つが同時に起きている会社はとても多いと思います。

こうした状況で「もう場当たり的にはやっていられない。採用戦略を作りたい」と検索される方が、この記事にたどり着いているのではないでしょうか。

結論から言うと、建設業の採用戦略は手法選びではなく、手法の組み合わせと運用体制の設計で決まります。

どの求人サイトを使うか、どの紹介会社と契約するか、という単発の選択で改善する市場ではなくなりました。有効求人倍率5.18倍という水準では、1つの手法だけで母集団を作るのは厳しいのが実情です(数値の出典は後述)。

建設業の採用戦略は「どの手法を選ぶか」ではなく、「媒体・紹介・ダイレクトリクルーティング(DR)・リファラルをどう組み合わせて、誰が運用するか」の設計で決まります。戦略がないまま手法だけ増やすと、コストが膨らんで疲弊します。

この記事では、建設業で採用戦略を作るときに押さえたい5ステップを、公的データと建設会社の実例で順に見ていきます。関連テーマへの入口もまとめました。


建設業の採用は、なぜ「戦略」なしに回らないのか

採用戦略を組む前に、建設業の採用市場がどれくらい厳しいかを数字で押さえておきます。ここがずれると、戦略の前提も崩れます。

有効求人倍率5.18倍という市場環境

建設業の有効求人倍率は5.18倍厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分)。全産業平均の1.19倍と比べて約4.3倍です。

職種別ではさらに厳しい水準で、建築・土木・測量技術者は5.76倍、建設躯体工事従事者は8.01倍。求人1件に対して求職者は0.2人前後しかいない計算になります。

「募集を出せば何人か応募がある」という感覚は、もう市場に合わなくなっています。

29歳以下11.7%、55歳以上36.7%の偏り

もう1つ押さえておきたいのが、年齢構成の偏りです。

国土交通省の資料では、建設業就業者のうち29歳以下が11.7%、55歳以上が36.7%と報告されています(国土交通省『最近の建設産業行政について』)。

今後10年で大量退職が進む一方、若手の流入は追いついていません。日建連の長期ビジョンでは、2035年に技能労働者が129万人不足する試算も示されています(日本建設業連合会『建設業の長期ビジョン』)。

37.3%が採用専任者を置いていない

もう1つ、採用戦略を組むときに避けて通れない構造要因があります。採用専任者の不足です。

厚生労働省の調査では、37.3%の建設業企業が採用専任者を配置していないと報告されています(厚生労働省『建設雇用改善対策』)。

総務部長が片手間で採用を回す。工事部長が応募者対応をする。社長自らがスカウトを書く。こうした体制で、5倍を超える市場と戦うのは、正直なところ厳しいのが実情です。

戦略を立てる前に、「誰が動かすのか」という人手の問題も一緒に考える必要があります。

建設業の主要採用指標(2025年)


採用戦略の5ステップ全体像

建設業の採用戦略は、次の5ステップで組み立てます。各ステップの狙いとアウトプットをまとめたのが次の表です。

テーブルに広げられた設計図面
写真: Thirdman / Pexels

建設業の採用戦略5ステップと所要期間

ステップ狙い主なアウトプット想定期間
1. 現状分析応募〜採用と定着の数字の棚卸し過去3年の応募〜採用・離職データ、求める人物像定義2〜4週間
2. 手法の組み合わせ1つの手法依存から複数手法の並行運用へ媒体・紹介・DR・リファラルの組み合わせ設計2〜3週間
3. 予算・単価設計採用単価と年間予算の目安整備職種別採用単価、年間採用予算の配分計画1〜2週間
4. 運用体制社内運用か外部委託かの切り分け業務分担表、紹介会社の管理ルール2〜3週間
5. 指標・振り返り月次で見る指標と改善サイクルの設計月次レポート様式、振り返り会議体1週間+運用期間

建設業採用支援の実務ベースで整理

ステップ1〜5は上から順に積み上げる構造ですが、実際の運用では同時並行で進むものも多いです。とくに3(予算)と4(運用体制)は、会社の財務状況と人員によって先に決まるケースもあります。


ステップ1|現状分析の具体的な進め方

採用戦略の出発点は、自社の現状を数字で把握することです。ここを飛ばしていきなり手法の議論に入ると、根拠のない媒体追加や紹介会社の乱立に繋がります。

応募〜採用の流れを過去3年分たどる

まずやっていただきたいのは、過去3年分の応募〜採用の流れを数字で整理することです。

  • 月ごとの応募数(媒体別・紹介会社別)
  • 書類選考通過数と通過率
  • 一次面接設定数と設定率
  • 最終面接・内定・入社の人数
  • 内定辞退率と早期離職率

この数字が部分的にしか取れない会社がほとんどだと思います。それ自体が現状認識の材料になります。「どの媒体からの応募が書類通過率が低いか」が見えないなら、まずその可視化から始めるのが戦略設計の第一歩です。

離職率と定着要因の把握

採用と定着はセットで設計しないと、いくら採っても穴の空いたバケツになります。

建設業の高卒3年以内離職率は42.7%厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況』)、大卒でも3年以内に約3割が離職する業界平均です。早期離職が起きている会社は、採用単価を上げる前に離職要因を特定するほうが投資対効果が高くなります。

建設業の離職率とランキングの詳細は、建設業の離職率ランキング|職種別・年代別の実態と定着施策でも整理しています。定着施策の組み立て方は建設業の離職率を下げる定着施策5選が参考になります。

求める人物像を「職種×経験×年齢」で定量化

「若くてやる気がある人なら誰でも」という要件では、どの媒体に出してもスカウトを打っても、メッセージがぼやけます。

  • 職種(施工管理・技能工・設計・積算・事務など)
  • 経験レベル(未経験/経験3年未満/有資格者/管理職候補)
  • 年齢帯(20代前半/20代後半〜30代/40代以上)
  • 保有資格(1級・2級施工管理技士、電気工事士など)
  • 通勤エリア・転勤可否

ここまで定量化して、はじめて「どの媒体が強いか」「どの紹介会社に依頼すべきか」の判断軸がそろいます。求人票への落とし込み方は建設業の求人票の書き方|応募が増える7つのコツに具体例をまとめています。


ステップ2|採用手法の組み合わせを設計する

建設業の採用では、1つの手法で母集団を作りきるのは難しい場面が多いです。複数の手法を並行で動かしながら、自社に合う比率を探るのが基本になります。

建設現場に据えられた測量機器
写真: Valerie V / Unsplash

主要な採用手法の特徴と使い分け

建設業で使われる主な採用手法を、費用・スピード・狙える層で見比べます。

建設業の主要な採用手法の比較

手法費用構造スピード向いているターゲット注意点
ハローワーク無料中〜遅地元の求職者・シニア層応募母集団が限定的
求人サイト(Indeed・求人ボックス等)クリック課金または掲載課金未経験〜経験3年程度掲載設計と運用で成果が大きく変わる
大手転職サイト(doda・マイナビ転職等)掲載課金中心経験者・転職顕在層建設業で採用できる母集団は限定的
人材紹介(成功報酬)年収の40〜50%(施工管理は45%が主流)有資格・即戦力1名360万円前後。良い人材を確実に採れるが、使い方で精度が変わる
ダイレクトリクルーティング(DR)DB利用料+成功報酬潜在層・他業界からの転身候補スカウト運用の工数が大きい
リファラル(社員紹介)紹介報奨金5〜30万円/名社風マッチ・定着率高母集団規模に限界
採用サイト・SNS制作費+運用工数若手・認知獲得単体で採用までは難しい

各手法の公開情報および建設業採用支援の実務より作成

どの手法も単体では弱点があります。ハローワークは無料だが母集団が限定的。人材紹介は良い人材を確実に採れるが1名360万円前後の費用。求人サイトは母集団は取れるが、運用設計しだいで単価が大きくぶれます。

手法選びで大事なのは、「1つに絞る」のではなく「比率を決める」という考え方です。

企業規模別の推奨組み合わせ

会社の規模と採用人数によって、推奨される手法の組み合わせは変わります。

企業規模別の手法の組み合わせ例

規模年間採用目安メインの手法補う手法運用体制
10〜30名1〜3名ハローワーク+求人サイトリファラル、人材紹介(ピンポイント)兼任で回すケースが多い
30〜100名3〜8名求人サイト+人材紹介DR、採用サイト、リファラル採用担当0.5〜1名+外部委託で回す
100〜300名8〜20名人材紹介+DR+求人サイト採用サイト、イベント、SNS採用担当1〜2名+採用代行の活用
300名以上20名以上人材紹介+DR+新卒採用採用サイト、リファラル強化採用チーム2名以上+外部パートナー

建設業採用支援の実務ベースで整理

10〜30名規模の会社で、いきなり大手転職サイトに掲載課金型で出稿しても、費用対効果が合いにくいです。逆に100名を超える規模で、ハローワークと求人サイト1本に依存していると、母集団規模が足りなくなります。

各手法の詳しい比較は建設業の採用媒体完全比較ガイド、求人サイトの具体的な選び方は建設業の採用サイトおすすめ12選で整理しています。ダイレクトリクルーティングの設計は建設業のダイレクトリクルーティング活用ガイドも参考になります。

「建設業は求人が来ない」を前提に設計する

検索でも多い「建設業 求人 来ない」という相談は、多くの場合、1つの手法に依存しているか、手法に合わない要件設定が原因です。

「Indeedに出せば応募が来る」「大手転職サイトに載せれば即戦力が来る」という単純な期待では、母集団が埋まりません。

建設業の採用市場は、応募が殺到する業界ではありません。応募が来ない前提で、複数の手法を地道に積み上げるのが基本のアプローチです。中途採用の打ち手は建設業の中途採用を成功させる5つの戦略にまとめています。

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ステップ3|採用予算と採用単価の設計

手法の組み合わせが見えてきたら、次は予算と採用単価の設計です。ここが曖昧なままだと、現場の判断がぶれて場当たり的な出稿が増えていきます。

職種別の採用単価の目安

建設業の採用単価は、職種と採用手法の組み合わせで大きく変わります。人材紹介を軸にした場合の目安です。

建設業の職種別採用単価目安(人材紹介経由)

職種想定年収紹介手数料率1名あたり採用単価
施工管理(1級)700万〜900万円45%前後315万〜405万円
施工管理(2級・経験3年以上)500万〜700万円40〜45%200万〜315万円
電気工事・設備系技術者550万〜750万円40〜45%220万〜340万円
設計・積算500万〜800万円35〜45%175万〜360万円
事務・管理部門350万〜500万円30〜35%105万〜175万円

人材紹介各社の公開料率および建設業採用支援の実務ベースで整理

施工管理クラスの紹介手数料は45%が主流です。全業界平均の30〜35%と比べると高く、需給の逼迫を映した水準です。1級保持の所長クラスや急募の希少人材では60〜70%まで上振れるケースもあります。年収800万円の施工管理を3名なら、紹介手数料だけで1,080万円(45%基準)、上振れ時は最大1,680万円(70%)。これは良い人材を確実に採るための費用として、予算に織り込んでおく数字です。

年間採用予算の組み立て方

予算設計では、次の3つを分けて考えると見通しがつきやすくなります。

  • 固定費: 求人サイトの月額掲載料、採用サイト保守、DRデータベース利用料、採用代行の月額
  • 変動費: 人材紹介手数料(成功報酬)、求人サイトのクリック課金、スカウト追加費用
  • 投資費: 採用サイト制作、動画制作、イベント出展、リファラル報奨金

初年度は固定費:変動費=4:6くらいで、複数の手法を試しながら効く手法を見極める組み方が合います。2年目以降は、効く手法に固定費を寄せて、変動費のピークを抑える設計に寄せていくイメージになります。

人材紹介を軸に、他の手法で母集団を補う

人材紹介は、建設業の有資格者を確実に採れる主力です。ただ、紹介「だけ」に頼ると、コスト構造的に早晩苦しくなります。

1名360万円前後で年間10名すべてを紹介で採ると、手数料だけで3,600万円。紹介を主力に置きつつ、求人広告・DR・リファラルでも母集団を作っておくと、紹介会社には「本当に紹介でしか採れない人材」に集中してもらえます。紹介を減らすというより、紹介が活きる状態を整えるイメージです。

求人費用の比較と配分の考え方は建設業の求人費用ガイド|手法別コスト比較と費用対効果に整理しています。採用代行を使った総コストの組み立ては採用代行の費用相場ガイドが参考になります。


ステップ4|運用体制を社内か外部委託かで決める

戦略と手法と予算が決まっても、運用する人がいなければ絵に描いた餅になります。建設業の37.3%が採用専任者を置けていない実態を踏まえると、ここの設計はとても大事です。

社内運用で回せる条件

まずは社内運用で回せるかどうかのチェックから入るのが自然です。次の条件が複数そろっていれば、外部委託より社内運用のほうが合うケースが多いです。

  • 採用専任者が1〜2名いる(兼任でも稼働の半分以上を採用に充てられる)
  • 年間採用人数が10名未満で、職種が1〜2種類に絞れる
  • 使う媒体が2〜3に絞れて、運用ノウハウが社内にある
  • 人材紹介会社とのやり取りが継続的に回せる

逆に言うと、このうち2つ以上が欠けているなら、社内運用だけで戦略を回しきるのは厳しい場面が増えます。

外部委託(採用代行)が向くケース

採用代行(RPO)は、採用業務の一部または全部を外部の専門チームに委託するサービスです。建設業では以下のケースで相談が増えています。

  • 採用専任者がおらず、他部署の兼任で採用が回っていない
  • 媒体が増えすぎて運用が追いつかない
  • 複数の人材紹介会社と契約したのに、紹介数が伸びない
  • スカウト送信の工数が確保できない
  • 応募者対応や面接調整のスピードが落ちて、内定辞退が増えている

採用代行は人材紹介や求人広告の代わりではなく、それらをまとめて動かす役です。導入後も紹介手数料や媒体費は発生しますが、これは"上乗せ"ではありません。どの手法にいくら使い、どの紹介会社をどう使うかという全体の組み立てを外部チームが引き受けることで、払ったのに採れないムダ——紹介会社に丸投げして決まらない、ミスマッチで早期離職する——を減らせます。結果として、1名あたりの実質コストはむしろ下がります。

採用代行の仕組みや業務範囲の詳細は、採用代行(RPO)とは?仕組み・業務範囲・選び方を徹底解説でハブ記事として整理しています。建設業向けの選び方は建設業の採用代行サービスの選び方に事例と共にまとめています。

紹介会社の使いこなしで紹介数が変わる

運用体制で見落とされがちなのが、紹介会社の使いこなしです。

人材紹介会社は、契約した全案件を同じ優先度で扱うわけではありません。「この会社に紹介すれば決まる」「返事が速い」「面接設定がスムーズ」と感じる案件に、良い登録者が優先的に回っていきます。

建設特化の採用代行が担う役割の1つが、この紹介会社のとりまとめです。紹介会社との窓口を一本化し、要件の伝え方・返信スピード・合否フィードバックの質を上げることで、同じ紹介会社からの紹介の数と質を押し上げます。

「紹介会社を契約したのに紹介が来ない」という声の多くは、紹介会社側の問題ではなく、発注側の使い方が整っていないために優先度が下がっているケースが多いです。

社内運用と外部委託の中間という選択肢

いきなり全部を任せなくても、「求人票の改善だけ頼む」「スカウト送信の運用だけ任せる」という部分的な委託から始める会社も増えています。月額20万円〜の最小構成で、核になる業務から巻き取るケースが建設特化の採用代行では多いです。


ステップ5|採用の指標づくりと月次の振り返り

戦略と運用体制が決まったら、最後に、採用の指標と振り返りの仕組みを決めます。ここがないと「やっているけど進んでいるか分からない」状態になります。

建設業の採用で見るべき主な指標

指標を全部追うと逆に動けなくなるので、まずは次に絞るのが現実的です。

  • 応募数(媒体別・紹介会社別)
  • 書類通過率(要件マッチの質)
  • 一次面接設定率(対応スピードの指標)
  • 内定率(一次面接から内定までの転換)
  • 入社率(内定から入社までの歩留まり)
  • 早期離職率(3ヶ月・6ヶ月・1年)

建設業の場合、一次面接設定率が指標として抜群に効きます。ここが低いと、応募があっても採用には繋がりません。面接設定までの対応スピードは48時間以内を目安に置いている会社が多いです。

月次レポートの型(例)

月次で振り返るときのシンプルな型を示します。

  • 全体サマリー: 応募数・面接数・内定数・入社数の前月比
  • 手法別の内訳: 媒体・紹介・DR・リファラルの応募内訳と単価
  • 紹介会社別の内訳: 契約紹介会社ごとの紹介数・書類通過率・採用数
  • 詰まっている箇所: どの歩留まりが落ちているか
  • 翌月の打ち手: 詰まりを解消する具体施策

指標の設計を外部に任せる場合も、レポートの見本を事前に見せてもらい、自社の判断に使える細かさかどうかを確かめるのがおすすめです。

最低限見るべき3指標

指標を全部追うのが難しければ、まず応募数・一次面接設定率・入社率の3つを月ごとに見るところから始めるのがおすすめです。この3つが動けば、採用総数は自然と積み上がります。


建設業の採用戦略が成果に繋がった3社の実例

ここまでの5ステップを、実際に建設会社がどう回しているのか。当社が採用代行としてご支援させていただいた3社のケースを、都道府県・業種・規模ベースでご紹介します。

建設中の木造住宅の骨組み
写真: Pexels

福島県の総合建設業A社(従業員50名規模)

課題は「求人広告を出しても応募がほぼ来ない」「紹介会社2社と契約したが紹介も途切れがち」という典型的なパターンでした。

ステップ1の現状分析で、応募〜採用の流れと紹介会社ごとの書類通過率を整理したところ、詰まっていたのは要件の言語化不足と面接設定スピードでした。求人票の書き直し、紹介会社2社への要件シート再提出、面接設定48時間ルールの導入で、半年後には応募数が約2.4倍に到達。年間で13名採用まで積み上がりました。

紹介会社2社にきちんと要件を伝え、優先度を上げてもらう運用に変えたことで、良い人材が安定して紹介されるようになった——「媒体と紹介の比率を5:5から3:7に寄せ、紹介を活かす」という運用設計が効いた形です。

新潟県の総合建設業B社(従業員90名規模)

中堅クラスで採用人数が多く、媒体費と紹介料の年間合計が1,500万円を超えていました。採用単価が読めず、経営側から「このままのコスト構造で続けるのは厳しい」と判断が出たタイミングでのご相談でした。

ステップ3の予算設計を見直し、求人広告の運用改善とDRスカウト設計を巻き取り、紹介会社は「即戦力枠」に集中させる運用に変更。求人広告経由の応募数は約1.8倍に増え、効きの悪い媒体費を削ったことで、媒体費ベースで見た1名あたりの採用単価は従来比30%減まで改善しました。

紹介を減らしたのではなく、紹介が最も活きる枠に絞り、その他をDRと媒体で補う配分にしたのが肝でした。

長野県の工務店C社(従業員15名規模)

小規模な工務店で、最初は「うちに採用戦略というほどのものは必要ないのでは」と懸念されていました。

月額20万円の最小構成で採用代行を導入し、求人票の作成・Indeed運用・応募者一次対応だけを外注。戦略レベルの伴走と月次レビューを通じて、半年で現場1名・事務1名の採用に成功。12ヶ月目には自社運用に戻せるところまでノウハウが社内に蓄積されました。

小規模な会社ほど、戦略設計の伴走を短期で受けるほうがリターンが出やすいケースです。

他の成功事例は建設業の採用成功事例5選|中小でも人が集まる会社の共通点に5社分まとめています。


採用戦略を実行するときの落とし穴

最後に、戦略を作ったあとの実行段階で詰まりやすいポイントを正直に書きます。

落とし穴1: 手法だけ増えて運用が追いつかない

戦略会議で「媒体を3つ追加、紹介会社を2社増やす」と決めたものの、運用する人の手が増えていないケースです。

結果として、どの手法も中途半端な運用で終わり、費用だけが増えます。手法を追加するときは、誰が運用時間を確保するのかをセットで決めるのが大事です。

落とし穴2: 短期の採用人数だけで判断する

1ヶ月目・2ヶ月目の採用人数だけを見て「この戦略は効いていない」と打ち切ってしまうケース。

建設業の採用は、母集団づくりが積み上げ型で効いてきます。紹介会社との関係性、媒体の運用最適化、スカウト文面の改善は、どれも3〜6ヶ月かけて効いてきます。短期判断で戦略をコロコロ変えると、何も積み上がらずに終わります。

落とし穴3: 定着施策を後回しにする

採用人数だけ追いかけて、定着施策を後回しにすると、翌年の採用目標がさらに膨らみます。

高卒3年以内離職率が42.7%というデータを踏まえると、採用戦略と定着戦略は同時並行で設計するのが自然です。入社後のメンター制度、3ヶ月・6ヶ月の面談設計、キャリアパスの可視化といった施策を戦略に組み込んでおくと、翌年以降の採用がぐっと楽になります。


よくある質問

Q. 採用戦略は何人規模の会社から必要ですか?

規模に関わらず必要です。ただし、従業員10名未満で採用が年1〜2名なら、戦略というよりは「求人票の作り方と媒体の選び方」を詰めるレベルで足ります。30名を超えて年3〜5名採用するあたりから、手法の組み合わせ・予算・運用体制を含めた戦略設計の必要性が明確になってきます。

Q. 戦略設計にどれくらい時間がかかりますか?

現状分析〜運用開始までで、6〜10週間が目安です。内訳は、現状分析に2〜4週間、手法・予算・運用の設計に3〜4週間、指標設計と初期運用で2週間ほど。ここを飛ばして2週間で戦略を作ると、ステップ2以降で詰まるケースが多いです。

Q. 採用戦略と採用計画は何が違うのですか?

採用計画は「いつまでに何人採用するか」の数字目標で、採用戦略は「その数字を達成するための手法・予算・運用の設計」です。計画だけ先に決めて、戦略が空白になっているケースがとても多く見られます。

Q. 自社だけで戦略を作るのは難しいですか?

不可能ではありませんが、建設業の採用市場の最新動向(紹介手数料率、媒体別の応募単価、DRの運用相場)をキャッチアップする手間がかかります。短期集中で戦略を作りたいなら、建設業に詳しい外部パートナーと一緒に組み立てるほうが早いです。

Q. 戦略を作ったあとに採用代行を使うべきですか?

戦略があれば、採用代行を使うかどうかの判断軸が明確になります。「運用する人の手が足りない」「紹介会社の使いこなしを自社で回す工数がない」なら、採用代行は有効な選択肢です。採用代行の選び方は建設業の採用代行サービスの選び方を参考にしてください。


まとめ|戦略なき採用は消耗する

建設業の採用戦略を作るときの要点をまとめます。

  • 有効求人倍率5.18倍・採用専任者なし37.3%という市場で、場当たり的な採用は消耗戦になる
  • 戦略は現状分析・手法の組み合わせ・予算・運用体制・指標づくりの5ステップで組み立てる
  • 1つの手法依存ではなく、規模と採用人数に合わせた複数手法の比率設計が基本
  • 社内運用で回せる条件が揃わなければ、採用代行を含めた外部委託を現実的な選択肢として持つ
  • 採用代行は人材紹介や求人広告の代わりではなく、媒体・紹介・DRの運用そのものをまとめて設計する役割
  • 戦略の効果は3〜6ヶ月スパンで判定する。短期判断は避ける

「採用戦略」という言葉は抽象的ですが、分解するとこの5ステップに落ちます。各ステップの難所は、外部パートナーとの伴走で時間短縮できる部分も多いです。

次の一歩として、手法別の詳しい比較は建設業の採用媒体完全比較ガイド、採用代行の仕組みを詰めたい方は採用代行(RPO)とは?、建設会社の実例で深掘りしたい方は建設業の採用成功事例5選へお進みください。

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