建設業の有効求人倍率5.18倍、全産業平均の4倍超
建設業の有効求人倍率は5.18倍(厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分)。建築・土木・測量技術者は5.76倍、建設躯体工事従事者は8.01倍です。全産業平均1.19倍と比べて、職種によっては7倍近い水準で推移しています。
求人倍率は採用市場の難度を測るいちばん基本的な指標です。経営会議や採用計画の資料として使う場面、自社の採用難度を業界平均と比較する場面で、出典付きで参照できる数字をこの記事にまとめました。
人手不足の構造そのものは建設業の人手不足|2035年129万人不足の構造と打ち手、採用戦略の地図は建設業の採用戦略ガイドにあわせてまとめています。
有効求人倍率の最新値(2025年10月)
建設業の職種別有効求人倍率(2025年10月)
| 職種 | 有効求人倍率 | 全産業平均との差 | 採用難度の体感 |
|---|---|---|---|
| 建設躯体工事従事者 | 8.01倍 | 6.7倍差 | 求人1件に求職者0.12人 |
| 建築・土木・測量技術者 | 5.76倍 | 4.6倍差 | 求人1件に求職者0.17人 |
| 建設業全体 | 5.18倍 | 4.0倍差 | 求人1件に求職者0.19人 |
| 全産業平均 | 1.19倍 | — | 求人1件に求職者0.84人 |
求人倍率5倍は、求人1件に対して求職者が0.2人いる状態です。1人の求職者を5社が同時に追いかけているのと同じ意味で、面接設定の段階から競合5社と並ぶ前提で動く必要があります。
有効求人倍率と新規求人倍率の違い
求人倍率には2種類あります。
- 有効求人倍率: ハローワーク経由の有効求人数 ÷ 有効求職者数。在庫ベースで、市場の需給バランスを示す
- 新規求人倍率: 当月の新規求人数 ÷ 新規求職者数。フローベースで、需要の勢いを示す
建設業は新規求人倍率がさらに高く、月によっては7〜8倍を超えます。記事や資料で求人倍率を引用するときは、有効か新規かを明示しておくと議論がぶれません。
過去5年の推移
直近5年で、建設業の有効求人倍率は3つの段階を経ています。
建設業 有効求人倍率の推移(年度平均)
| 年度 | 建設業全体 | 主な背景 |
|---|---|---|
| 2020年度 | 5.90倍 | コロナ禍での求人減と求職者減が同時進行 |
| 2021年度 | 6.01倍 | インフラ投資・住宅需要の戻り |
| 2022年度 | 5.40倍前後 | 資材高騰と工事減速 |
| 2023年度 | 5.20倍前後 | 2024年問題に向けた採用前倒し |
| 2024年4月 | 4.77倍 | 残業上限規制の適用開始直後 |
| 2024年9月 | 5.20倍 | 規制適用後の再加速 |
| 2025年10月 | 5.18倍 | 直近の最新値 |
段階1|コロナ禍(2020〜2021)
求人と求職者の両方が減少した時期ですが、建設業は減少幅が浅く、相対的に倍率は高止まりしました。インフラと住宅の需要が下支えしています。
段階2|2024年問題前後(2023〜2024)
2024年4月の残業上限規制を見越して、採用を前倒しで動かす会社が増えました。一時的に倍率が落ちた後、規制適用で「同じ仕事量に対して人が多く必要」となり、再び上昇傾向に戻っています。
段階3|2025年以降
2025年は5.18倍前後で推移しています。日本建設業連合会の長期ビジョン2.0では、2035年に技能労働者129万人不足と試算されており、中長期では倍率が大きく下がる見通しは立ちません(日本建設業連合会『建設業の長期ビジョン2.0』)。
職種別の採用難度ランキング
職種ごとに難度のレンジが大きく違います。求人倍率を引くときは「建設業全体」だけでなく、自社が採りたい職種の倍率を見るのが要点です。
建設業 職種別 採用難度のレンジ
| 職種 | 有効求人倍率レンジ | 主な要因 |
|---|---|---|
| 建設躯体工事(鉄筋・型枠など) | 7〜9倍 | 資格+体力+現場経験の3条件、若手参入が薄い |
| 土木作業 | 5〜7倍 | 公共工事の繁閑差と地方偏在 |
| 建築・土木・測量技術者(施工管理) | 5〜6倍 | 1〜2級施工管理技士の有資格者層が薄い |
| 電気工事 | 3〜4倍 | 再エネ需要で他業界(半導体・データセンター)と競合 |
| 設備施工管理 | 3〜4倍 | 空調・配管・衛生の経験者層が広い |
| CADオペレーター | 2〜3倍 | 在宅勤務との相性が良くIT業界と競合 |
| 建設事務・経理 | 1〜2倍 | 一般事務職と同水準で募集しやすい |
厚生労働省『一般職業紹介状況』および建設業採用支援の実務ベースで作成
施工管理の採用難度の構造解説は施工管理の採用が難しい5つの理由、現場監督採用の確保策は現場監督が採れない原因と確保する5つの方法に踏み込んでいます。
全産業との比較で見る建設業の採用難度
建設業の倍率は、他業種と比べてどの位置にあるのか。求人倍率を経営側に説明するときに、この比較が伝わりやすい資料になります。
主要産業の有効求人倍率比較(2025年水準・概算)
| 産業 | 有効求人倍率 | 建設業との差 |
|---|---|---|
| 建設業(躯体) | 8.01倍 | —(最大値) |
| 建設業(技術者) | 5.76倍 | 建設業全体より高い |
| 建設業全体 | 5.18倍 | 基準 |
| 医療・福祉(介護関連) | 3〜4倍 | 建設業より低い |
| 運輸・郵便 | 2〜3倍 | 2024年問題の対象 |
| 製造業 | 1.5〜1.8倍 | 建設業の3分の1程度 |
| 情報通信 | 1.5倍前後 | 平均並み |
| 全産業平均 | 1.19倍 | 建設業の4分の1 |
厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分および各種公開統計より作成
人手不足の代名詞のように語られる介護・福祉や運輸でも、建設業の倍率には届きません。建設業の採用難度は、業種別で見ると常に上位水準にあります。
自社の採用難度を、業界データと並べて壁打ちしませんか?
建設業特化の採用コンサルタントが、御社の規模・職種・地域に合わせた採用難度の評価と打ち手を無料でご提案します。求人票・媒体・紹介会社運用・採用代行の選択肢を、現状の数字に基づいて一緒に整理します。
無料で相談する中小建設会社が体感する「実質倍率」のずれ
求人倍率5.18倍は全国平均です。実際に中小建設会社の現場で感じる難度は、この数字よりさらに上がるケースが多くなります。
中小視点で倍率が「実質」上がる3つの理由
- 大手・準大手が同じ求職者を取りに行く: 表面倍率は同じ5倍でも、その5社の中に大手や準大手が入ると、給与・福利厚生・知名度で中小が後手に回りやすい
- 紹介会社の優先度が下がる: 紹介会社は数百社の顧客の中で、決まりやすい会社の優先度を上げる。中小で運用が手薄だと推薦自体が回ってこない
- 採用専任者を置けていない: 建設業の37.3%が採用専任者なしと回答(厚生労働省『建設雇用改善対策』)。応募が来ても初動で取りこぼすことが起きやすい
5.18倍という数字を起点に、中小では「自社にとっての実質倍率は7〜8倍」と捉えて打ち手を組むほうが、現場の動き方と合います。
助太刀総研の現場感
助太刀総研の調査では、建設業の中途採用担当のうち43%が直近1年で1人も採用できなかった、3名以下しか採れていない会社まで含めると90%に達します(株式会社助太刀『建設業の中途採用状況調査』2024年9月)。
求人倍率と現場の採用結果を重ねると、「倍率の数字以上に採れていない会社が多数派」という実態が見えてきます。
求人倍率を踏まえた採用チャネル設計
倍率5倍超の市場では、1つのチャネルに頼り切る運用は成立しにくくなります。求人広告・人材紹介・ダイレクトリクルーティング・ハローワーク・リファラル・自社採用サイトの6カテゴリを、職種と規模で組み合わせる発想が起点です。
倍率レンジ別の打ち手の方向性
倍率レンジ別の採用設計の方向性
| 倍率レンジ | 主な該当職種 | 推奨チャネル構成 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 7倍以上(極端に高い) | 躯体工事・1級施工管理 | 建設特化紹介+DR+リファラル+未経験育成 | 経験者だけでは母集団が埋まらない |
| 5〜6倍(非常に高い) | 建築・土木技術者 | 求人広告+紹介+DR+採用代行 | 運用設計の精度勝負 |
| 3〜4倍(高い) | 電気・設備 | 求人広告+紹介+リファラル | 給与・キャリアパスで差別化 |
| 2〜3倍(中) | CADオペ | 総合転職サイト+自社採用サイト | 在宅・リモートで母集団拡大 |
| 1〜2倍(並) | 建設事務 | ハローワーク+地元媒体 | 低コスト運用が可能 |
建設業採用支援の実務ベースで作成
倍率が高い職種ほど、単一チャネルでは母集団が埋まりません。媒体カテゴリの組み合わせは建設業の採用媒体完全比較ガイドに6カテゴリの比較を載せています。
倍率を踏まえた中途採用の戦略は建設業の中途採用を成功させる5つの戦略、新卒採用の戦略は建設業の新卒採用を成功させる5つの戦略、求人票の作り方は建設業の求人票の書き方が次のステップです。
求人倍率の見方 よくある質問
Q. 建設業の有効求人倍率は何倍ですか?
2025年10月時点で建設業全体5.18倍、建築・土木・測量技術者5.76倍、建設躯体工事従事者8.01倍です(厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分)。月次で公表されるので、最新値は厚労省のページで確認できます。
Q. 全産業平均と比べて何倍厳しいですか?
全産業平均1.19倍に対して、建設業全体で約4倍、躯体工事で約7倍の難度です。介護・福祉や運輸といった他の人手不足業界と比べても、建設業の倍率は上位に位置しています。
Q. 有効求人倍率と新規求人倍率の違いは?
有効求人倍率は在庫ベース(市場全体の需給バランス)、新規求人倍率はフローベース(需要の勢い)の指標です。建設業は新規求人倍率のほうが高く、月によっては7〜8倍を超えます。経営会議や資料に使うときは、どちらの指標かを明示するのがおすすめです。
Q. 都道府県別のデータは見られますか?
厚生労働省と労働政策研究・研修機構(JILPT)が都道府県別有効求人倍率を公表しています。ただし業種別×都道府県の細粒度データは限定的で、建設業特化の地域差を完全に把握するには各都道府県労働局のハローワーク統計を組み合わせる必要があります。
Q. 求人倍率は今後どう動きますか?
短期では2024年問題後の人員ニーズ増で高止まり、中期では日建連の長期ビジョン2.0が示す2035年129万人不足が前提になります。生産性25%向上+入職者68万人確保という業界全体の打ち手で吸収できなければ、倍率は維持〜上昇の見通しです。
まとめ|倍率5倍超の市場で勝つ採用設計
- 建設業全体5.18倍、建築・土木・測量技術者5.76倍、躯体工事8.01倍。全産業平均1.19倍の4〜7倍
- 直近5年の推移は5.0〜6.0倍のレンジで高止まり。2024年問題前後は前倒し採用と規制適用でペースが動いた
- 職種別では躯体・施工管理が最も難しく、CADオペ・建設事務は中程度
- 中小は表面倍率5倍より実質的に厳しい。大手競合・紹介会社の優先度・採用専任者なし37.3%が要因
- 倍率5倍超の市場では、1チャネル完結は不可能。媒体カテゴリの組み合わせと運用精度で勝負が決まる
求人倍率の数字は、自社の採用が「業界平均並みに難しい」のか「業界平均よりさらに厳しい」のかを判定する物差しです。データを根拠に経営会議で予算と体制の議論を動かすところから、採用設計の改善が始まります。
次の一歩として、人手不足の構造解説は建設業の人手不足|2035年129万人不足の構造と打ち手、採用戦略全体の地図は建設業の採用戦略ガイド、中途採用の打ち手は建設業の中途採用を成功させる5つの戦略、求人票の作り直しは建設業の求人票の書き方、媒体の組み合わせは建設業の採用媒体完全比較ガイドをあわせてご覧ください。
求人倍率データを採用設計に落とし込みませんか?
求人票の作り直しから媒体運用・紹介会社のエージェントコントロール・採用代行の活用まで、建設業特化チームが御社の規模に合わせてご提案します。月額10万円〜の建設特化採用代行で、データを採用設計に変える壁打ちからどうぞ。
サービス内容を見る