大工は40年で68%減、2040年には13万人見通し

大工の採用は、建設業のなかでも最も難度が高い領域です。

総務省の国勢調査では、大工の就業者数は1980年の約93.7万人から2020年に約29.8万人へ。40年で68%減少しました(総務省『国勢調査』)。国土交通省の試算では2040年に約13万人まで減る見通しで、いま現役の大工の半分以上がいなくなる時代がすぐそこに迫っています。

平均年齢は54.2歳、60歳以上が43%、30歳未満は7.2%。建設業全体(29歳以下11.7%)と比べても若手の比率がさらに低い職種です。一人親方への外注に頼ってきた会社も、外注先の高齢化と日当上昇で限界を迎え始めています。

この記事では、大工不足の構造と、社員大工制度・学校連携・育成ロードマップ・待遇改善・建設特化媒体の5つの確保策を採用視点でまとめます。

採用戦略全体は建設業の採用戦略ガイド、人材育成は建設業の人材育成ガイド、求人票の作り方は建設業の求人票の書き方もあわせて参考になります。


大工不足の構造を3つの数字で押さえる

数字1|40年で68%減、2040年に13万人

大工就業者数の推移と将来見通し

就業者数ピーク比
1980年(ピーク)約93.7万人100%
2000年約60万人64%
2015年約35万人37%
2020年約29.8万人32%
2030年(試算)約21万人22%
2040年(試算)約13万人14%

総務省『国勢調査』・国土交通省試算より作成

業界全体の人手不足の中でも、大工の減少幅は突出しています。

数字2|平均年齢54.2歳、60歳以上43%

大工の年齢構成は、60歳以上が43%、50〜59歳が17%、30〜49歳が32.8%、30歳未満が7.2%(総務省『国勢調査』2020年)。

平均年齢54.2歳という数字は、建設技能者全体(平均48歳前後)よりさらに高く、今後10年で大量引退が現実になります。引退とほぼ同じペースで若手が入ってこなければ、現場が回らなくなるのは時間の問題です。

数字3|建設躯体工事の有効求人倍率8.01倍

厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分では、建設業全体の有効求人倍率は5.18倍、建設躯体工事従事者は8.01倍厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分)。大工を含む技能者の確保は、全産業で最も困難な領域です。

大手・中堅建設会社の調査でも、約7割が「2026年度内に大型工事を新規受注できない」と回答し、約4割が契約済み工事で工期遅れの可能性を指摘しています。大工不足は個社の経営課題であると同時に、業界全体の供給制約に直結しています。


大工の採用が難しい3つの理由

理由1|認知の入口で「大工」が候補に入らない

建設業全体で29歳以下が11.7%、大工に絞ると7.2%。求職者の親族や知人に同業者がいない限り、若者の就職候補に大工が入ってきにくい職種です。

総合転職サイトを使っても、「大工」を検索する求職者の絶対数が少ないので、母集団が物理的に埋まりません。

理由2|一人前まで5〜10年かかる育成期間

大工は技能を体得する職種で、一人前になるまで5〜10年かかります。「すぐ使える経験者を中途採用」というアプローチが極端に通りにくく、経験者は独立して一人親方になっているか、条件のいい現場に囲い込まれています。

未経験から育てる前提でないと、年単位での母集団形成が成立しません。

理由3|外注依存の限界

自社で大工を雇用せず一人親方に外注する構造に頼ってきた会社は、外注先の高齢化と日当上昇で打ち手が尽きつつあります。

  • 一人親方の平均年齢が上昇
  • 「日当が低い仕事は断る」という囲い込み構造
  • 外注費が年々上昇、20%以上の値上げ要請も
  • そもそも頼める大工が見つからない

外注一辺倒では中長期に持続しないので、社員大工に切り替える会社が増えています。


大工を確保する5つの方法

方法1|社員大工制度で自社育成に切り替える

正社員として大工を雇用し、自社で育成する社員大工制度を導入する会社が増えています。

社員大工 vs 一人親方外注

項目社員大工一人親方外注
コスト構造年収約448万円+社会保険日当12,700円〜(上昇傾向)
品質管理自社基準で統一職人ごとにばらつき
工期管理柔軟にスケジュール調整他現場との兼ね合いで困難
技術継承計画的に育成可能退職・引退で途絶えるリスク
中長期コスト育成投資後は安定外注費が年々上昇

厚生労働省『賃金構造基本統計調査』および建設業採用支援の実務ベースで作成

社員大工の平均年収は約448万円。一人親方の年収レンジ(522〜900万円)と比べると見かけ上は安いですが、外注費の上昇と工期管理の柔軟性を加味すると、中長期的には社員大工のほうがコスト効率が高い場面が増えています。

方法2|工業高校・職業訓練校と連携する

大工志望の若手にもっとも近い場所が工業高校と職業訓練校です。

  • 年2〜3回の学校訪問・出張授業
  • インターンシップの受け入れ(半日〜1週間)
  • 就職指導の先生との関係構築
  • 共同研究や校内合同説明会への参加

相羽建設(東京)では工業高校からインターン経由で5名の社員大工を採用、若い世代同士のコミュニケーションを重視した職場が定着率につながっています。平成建設は大卒の新卒を大工として採用・育成する独自モデルを構築し、「大工=大卒が目指すキャリア」という新しいイメージを作っています。

新卒採用の打ち手は建設業の新卒採用を成功させる5つの戦略、若手採用は建設業の若手採用ガイドにまとめています。

方法3|育成ロードマップを可視化する

「何年で一人前になれるか」が見えないと、若手は将来不安で辞めていきます。

大工のキャリアパスモデル(5年で一人前)

年次役割主な習得スキル年収モデル
入社1年目道具の扱い・補助刻み・墨付けの基礎350〜400万円
2〜3年目小規模現場の補助継手・仕口・建て方420〜480万円
4〜5年目一現場を任される施主対応・工程管理500〜580万円
6〜10年目棟梁候補若手指導・伝統技術600〜700万円
10年以上棟梁・現場代理人設計連携・経営参加700〜850万円

建設業採用支援の実務ベースで作成

岡崎工務店(富山)は「成長ステップシート」で5年で一人前になるロードマップを可視化。イムラ(奈良・大阪)は2014年から大工育成制度をスタートし、6年間棟梁のもとで伝統技術を修業する仕組みを作っています。

人材育成の打ち手は建設業の人材育成ガイド、定着施策は建設業の離職率を下げる定着施策5選にまとめています。

方法4|待遇改善と求人票の具体化

大工の採用で応募率を動かすのは、求人票の中身です。

大工の求人票で書く具体項目

項目NG例OK例
年収月給25万円〜経験3年で月給28万円(年収目安420万円)/経験10年・棟梁で月給45万円(年収目安650万円)
社会保険完備健康保険・厚生年金・雇用保険・労災・建退共・中退共すべて加入
資格手当記載なし建築大工技能士1級 月3万円・2級 月1.5万円
年間休日週休2日年間休日110日(土曜は月2回出勤、日祝休み、夏季5日・年末年始6日)
キャリアパス記載なし5年で一現場任される/10年で棟梁/15年で現場代理人

建設業採用支援の実務ベースで作成

「大工 募集」「職人 求む」だけの求人では応募が動きません。経験別の年収モデル・社会保険の中身・資格手当の金額・休日数・キャリアパスを具体的に書くだけで、応募率が一段上がります。

求人票の作り方は建設業の求人票の書き方に7つのコツとBefore/After例文を載せています。

方法5|建設特化型の採用チャネルを使う

大工採用は総合転職サイトでは候補者がほとんど見つかりません。建設業に特化したチャネルを軸にします。

  • 助太刀: 建設業特化のマッチングアプリ。20万以上の事業者が利用
  • GATEN職: 月額23,100円〜。現場系職種に特化、低価格
  • POWER WORK: 紙媒体も展開、ベテラン職人にもリーチ
  • ハローワーク: 完全無料、地場の中高年大工に届く
  • リファラル: 既存社員・職人ネットワークからの紹介

媒体の選び方の全体像は建設業の採用サイトおすすめ12選、媒体6カテゴリの組み合わせは建設業の採用媒体完全比較ガイドにまとめています。

大工確保の打ち手、自社育成と外部活用を一緒に設計しませんか?

建設業特化の採用コンサルタントが、社員大工制度の導入・学校連携・育成ロードマップ・建設特化媒体の運用までを御社の規模に合わせて無料でご提案します。月額10万円〜の建設特化採用代行で、大工確保を仕組み化するご相談からどうぞ。

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大工育成で使える公的支援

国・自治体の支援制度

国土交通省は「大工を育てるNET」というポータルで、大工育成に取り組む企業の情報発信や制度設計を支援しています(国土交通省『大工を育てるNET』)。

自治体レベルでも独自支援が広がっています。山形県の「若手大工技能習得サポート事業」では、新規入職から5年間の資格取得・技能習得を支援。地域の制度を併用すれば育成コストを抑えられます。

助成金活用

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)は、技能講習や資格取得の研修費用が経費の3/4補助されます。建設労働者認定訓練コース、若年・女性建設労働者向けトイレ整備助成も組み合わせ可能です。

詳しい助成金は建設業の助成金ガイドにまとめています。

改正建設業法の追い風

2025年12月に全面施行された改正建設業法では、技能者の処遇改善や労働環境整備が強化されています。標準労務費・原価割れ契約禁止の枠組みを、大工の待遇改善と採用強化に活かす流れが進んでいます。詳しい背景は建設業の賃上げ動向にまとめています。


中小工務店が大工確保に動いた3社の事例

会社名は伏せて、都道府県・業種・規模ベースでまとめます。

福島県の総合建設業A社(従業員50名規模)

外注大工に頼ってきたが、外注先の高齢化で工事が止まる場面が増えてきた状態。社員大工制度を新設し、求人票で「年収420〜650万円・年間休日110日・資格取得支援1級5万円」を全面訴求。採用代行(月額20万円)で求人運用と紹介会社のコントロールを一括化したところ、年間で社員大工2名を含む13名の採用に到達。外注費の削減と品質管理の安定が両立したケースです。

新潟県の総合建設業B社(従業員90名規模)

工業高校2校との関係を3年かけて深耕し、年1回のインターンと出張授業を継続。SNSで現場のショート動画を週1〜2本続けたところ、高卒新卒の大工候補2名を確保しました。育成ロードマップを5年で一人前に揃え、3年定着率は業界平均より大幅に高い水準で推移しています。

長野県の工務店C社(従業員15名規模)

小規模で「大工は採れない」と諦めかけていた会社。月額10万円の最小構成の採用代行で、助太刀+GATEN職+ハローワークの3チャネル運用を外注。1年で経験5年の大工1名と未経験第二新卒1名の2名採用に成功し、育成投資(資格取得支援・メンター制度)と並行して仕組み化しました。

事例の詳細は建設業の採用成功事例5選にまとめています。


よくある質問

Q. 大工は本当に減っているのですか?

総務省の国勢調査で、1980年の93.7万人から2020年に29.8万人へ40年で68%減少。国土交通省の試算では2040年に13万人まで減る見通しで、平均年齢は54.2歳、60歳以上が43%です。減少と高齢化は確実に進んでいます。

Q. 一人親方への外注のままではダメですか?

一人親方の平均年齢も上昇していて、「日当が低い仕事は断る」「そもそも頼める大工が見つからない」状況が増えています。外注費の上昇と工期遅れリスクを考えると、社員大工への切り替えと併用が中長期で見ると安定します。

Q. 未経験から大工に育てられますか?

育てられます。一人前まで5〜10年かかりますが、5年で一現場を任せられるレベルまで育てている会社も多数あります。育成ロードマップ(年次×役割×年収)を求人票で見せると、未経験層の応募が増えます。

Q. 大工の年収はどれくらい必要ですか?

社員大工の平均年収は約448万円(厚労省『賃金構造基本統計調査』)。求人票では経験3年で年収420万円、棟梁候補で650〜700万円のモデルを並べると応募率が動きます。一人親方の年収レンジ(522〜900万円)と比べて見かけは低いですが、社会保険・退職金・有給を含めた総額で説得します。

Q. 採用代行で大工も採れますか?

採れます。建設特化媒体(助太刀・GATEN職)の運用、学校との関係構築、求人票の刷新まで、月額10万〜30万円の建設特化採用代行で巻き取れます。仕組みは採用代行(RPO)とは?にまとめています。


まとめ|大工確保は「採る」と「育てる」の同時設計

  • 大工は40年で68%減、2040年に13万人見通し。平均年齢54.2歳、60歳以上43%
  • 採用が難しい3つの理由: 認知の入口に入らない/一人前まで5〜10年/外注依存の限界
  • 5つの確保策: 社員大工制度/学校連携/育成ロードマップ/待遇改善と求人票具体化/建設特化媒体
  • 求人票では年収・社会保険・資格手当・年間休日・キャリアパスを具体的に書く
  • 国・自治体の支援制度(大工を育てるNET・若手大工技能習得サポート)と助成金(人材開発支援・認定訓練)を活用
  • 中小は採用代行で求人運用を巻き取り、社内のリソースを育成と現場運営に振り向ける設計が現実的

大工確保は短期的な手法だけでは解決しません。採用と育成を同じ設計に組み込み、5年スパンで一人前を輩出する仕組みを作るのが、中長期で現場を回し続けるための前提条件です。

次の一歩として、採用戦略全体は建設業の採用戦略ガイド、人材育成は建設業の人材育成ガイド、求人票の作り直しは建設業の求人票の書き方、媒体の組み合わせは建設業の採用媒体完全比較ガイド、採用代行は採用代行(RPO)とは?、助成金は建設業の助成金ガイドをあわせてご覧ください。

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