「採用代行と人材紹介、どっちを選べばいいのか」に答えます

問い合わせをいただくときに、いちばん多い質問のひとつです。

先に結論を書きます。採用代行と人材紹介は「どちらを選ぶか」の関係ではありません

採用代行は、人材紹介・求人広告・ダイレクトリクルーティング(以下DR)をまとめて運用する上位レイヤー。人材紹介は、その中のチャネルのひとつです。

レイヤーが違うので、並べて比較して片方を選ぶ、という話にならないのです。

実際、採用代行を導入しても、紹介手数料はそのまま発生します。ただし紹介会社の選定・要件フィードバック・進捗管理・面接設定までを採用代行会社が一元化するので、同じ紹介料でも費用対効果が変わってきます。

建設業の有効求人倍率は5.18倍厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分)。全産業平均の1.19倍と比べて約4.3倍という水準です。

1人の求職者を5社以上で奪い合う市場で、人材紹介に丸投げすれば採用が進む、という時代はすでに終わっています。

この記事では、採用代行と人材紹介を役割・コスト・対応範囲・法令の4つの軸で整理したうえで、建設業では両者をどう組み合わせるのが現実的かをまとめます。

採用代行そのものの仕組みは、採用代行(RPO)とは?仕組み・業務範囲・選び方を徹底解説にハブ記事を置いています。はじめての方はそちらも。


採用代行と人材紹介は「対立」ではなく「レイヤーが違う」

まず役割の話から。比較軸を誤ると、その先の議論がすべてズレます。

人材紹介(有料職業紹介事業)は、候補者を紹介してもらうチャネルです。紹介会社が登録者プールから候補者を探し、企業に推薦する。採用が決まった時点で、理論年収の一定割合が成功報酬として発生します。

採用代行(RPO)は、採用活動全体を設計・運営するサービスです。求人票の作成、媒体運用、スカウト送信、応募者対応、面接日程調整。加えて、人材紹介会社の選定・交渉・管理(エージェントコントロール)まで、採用プロセスの上位レイヤーで動きます。

この違いを表で整理すると、こうなります。

採用代行と人材紹介の役割比較

比較項目人材紹介(有料職業紹介事業)採用代行(RPO)
サービスの本質候補者を紹介するチャネルの1つ採用活動全体を運営する上位レイヤー
報酬の発生タイミング成功報酬(採用成立時)月額固定が主流(採用成立に関わらず発生)
費用目安(施工管理)1名あたり約360万円(年収800万×45%)月額10万〜70万円(建設特化は10万〜30万円帯)
業務範囲候補者の推薦・面接設定の一部求人票・媒体・スカウト・エージェント管理まで横串
採用の主導権紹介会社側のプール・推薦に依存発注企業側が保持、運用は代行が担う
併存関係紹介チャネルとして採用代行に組み込まれる人材紹介を活用・管理する前提で設計される

各サービス公開情報および厚生労働省『職業紹介事業関係』を基に作成

ポイントは一番下の行です。

採用代行は人材紹介の代わりではなく、人材紹介を含めて運用する側です。「採用代行を入れたから紹介会社は切る」という発想で始めると、だいたいうまくいきません。

建設業のように有効求人倍率が5倍を超える市場では、紹介会社が抱える登録者プールに頼らないと母集団が作りきれない。これが実態です。

採用代行は人材紹介の代替ではなく、人材紹介を含む複数チャネルを横串で運用する上位レイヤー。両者のレイヤーが違うので、並べて片方を選ぶ、という話にならない。

コストの見方|採用代行を入れても、紹介手数料は同じだけ発生する

ここが一番誤解されやすい部分なので、数字で整理します。

施工管理クラスの人材紹介手数料は、理論年収の40〜50%が主流です。45%を基準に見ておくと大きく外しません(リクルートエージェント『人材紹介の料金相場』および各社公開情報)。1級保持の所長クラスや希少な特殊工種の経験者では、60〜70%まで上振れる紹介会社もあります。

全業界平均の紹介手数料率は30〜35%ですが、施工管理は難易度が高いため、手数料率が上振れするのが一般的です。

年収800万円の施工管理を1名採用すると、紹介手数料は1名あたり約360万円。3名なら1,080万円になります。

この手数料は、採用代行を入れても下がりません。なぜなら、採用代行は紹介会社と別レイヤーにいるサービスで、紹介会社との契約・料率交渉はあっても、成功報酬そのものを肩代わりする仕組みではないからです。

採用代行は「採用総コストに乗る」

ここで、採用総コストの考え方を整理します。

施工管理3名採用の年間コスト比較(年収800万円前提)

項目自社運用のみの場合採用代行を上位レイヤーに入れた場合
人材紹介手数料(3名)約1,080万円約1,080万円(そのまま発生)
求人広告(Indeed等)年間約360万円年間約360万円(運用改善で応募数2〜3倍)
DR媒体費年間約240万円年間約240万円(スカウト運用を巻き取り)
採用代行の月額月額20万円 × 12ヶ月 = 年間240万円
採用担当の兼務工数年間約300万円相当年間0〜100万円(本業に戻せる)
合計(年間)約1,980万円約1,920〜2,020万円

厚生労働省『一般職業紹介状況』BOXIL『採用代行(RPO)費用実態調査』2025年を基に当社試算

合計金額だけ見ると、ほぼ横ばいに見えます。ここが大事なところです。

採用代行の効果は、「費用を削る」ことではなく「同じ費用でアウトプットを増やす/質を上げる」方向に出ます。

具体的には次のような形で効いてきます。

  • 求人広告: 原稿改善・入札調整で応募数が2〜3倍
  • DR: スカウト200通を確実に送り切れて返信対応の抜け漏れがなくなる
  • 人材紹介: エージェント選定・要件フィードバックの強化でミスマッチ辞退・初期離職が減る
  • 採用担当: 兼務していた週10時間の工数が本業に戻る

費用単体ではなく、採用スピード・定着率・工数削減の3軸で見るのが、採用代行のROIの正しい評価の仕方です。

料金体系と料金の分解は、採用代行の費用相場ガイド|料金体系と採用総コストの考え方に詳しくまとめています。

「紹介手数料を交渉で下げられる」はほぼ幻想

採用代行を検討する方から「採用代行が入れば紹介手数料を交渉で下げてもらえますよね?」と聞かれることがあります。

結論、個別案件の手数料率を大きく下げる交渉は現実的ではないことが多いです。紹介会社の料率は各社の基本方針で決まっていて、長年の取引や年間保証人数の約束などがない限り、45%を40%にする、といった大幅な値引きは通りにくい。

採用代行がやるのは、料率そのものの交渉よりも、紹介会社の使い分け設計です。

  • 施工管理の有資格者は手数料率が高くても使う価値のある紹介会社を2〜3社
  • 事務・若手技術系は手数料率が低めの中堅紹介会社
  • 急ぎ1〜2名だけスポットで使うヘッドハンター系

こうした使い分けを設計し、月次で効果を測って入れ替える運用が本来の仕事です。料率で1〜2%の値引きを取りにいくより、紹介会社のポートフォリオを組み直すほうが、採用総コストへのインパクトはずっと大きい。

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定着率の見方|誰が「採用基準」を設計するかが違う

次に定着率の話です。

人材紹介と採用代行では、入社後の定着に関わる責任の持ち方がそもそも違います。

人材紹介の保証期間は短め

人材紹介には返金規定があり、入社1ヶ月以内の退職で手数料の80%、3ヶ月以内で50%といった条件が一般的です。ただし保証期間は3〜6ヶ月で終わります。

厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によれば、建設業の新規高卒者の3年以内離職率は43.2%(令和3年3月卒)、大卒者は30.7%です(厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況』)。中途採用でも、入社1〜2年目で辞めるケースは珍しくありません。

保証期間を過ぎてから辞められると、手数料は1円も戻らない。建設業の離職タイミングと、紹介の保証期間には、そもそもズレがあります。

これは紹介会社が悪いのではなく、成功報酬モデルの構造上、成約時点でインセンティブが完結するということです。入社後の定着を紹介会社の責任で追いきれる仕組みではない。

採用代行は「採用基準の設計」から関わる

採用代行は候補者を推薦するサービスではなく、採用プロセスを設計するサービスです。

ターゲット人材の定義、求人票の書き直し、スクリーニング基準の整理、面接での見極めポイントの設計。ここを丁寧にやると、紹介会社への要件伝達も具体的になります。

「施工管理で年収500万円まで」ではなく、「現場代理人経験3年以上、RC造/S造経験、夜勤対応可、自社は日勤中心で家族との時間を大事にする会社文化」という粒度で要件を紹介会社に渡す。これがエージェントコントロールの中身です。

結果として、要件の合わない候補者の乱送が減り、書類通過率・面接設定率・入社後の定着率が揃って動きます。

紹介会社が「勝手にやる」状態から、「要件に沿って動く」状態に切り替わる。ここが採用代行の運用価値です。


対応範囲の見方|「採用代行は面接まで代行できるのか」

「採用代行 面接」で検索する方が一定数いらっしゃいます。どこまで任せられるのかを整理します。

人材紹介の対応範囲は限定的

人材紹介の業務範囲は、候補者のサーチ・推薦・日程調整(推薦候補者分)までが基本です。

求人票の作成や媒体運用は対象外。ほかのチャネル経由(自社サイトや別エージェント経由)の応募者への対応もしてくれません。1社の紹介会社は、その会社経由の候補者にしかタッチしない、と考えてください。

採用代行の対応範囲は広い

採用代行の業務範囲はぐっと広がります。代表的なものは次のとおり。

  • 採用戦略の立案(ターゲット設定・チャネル選定)
  • 求人票の作成・最適化
  • 求人媒体の選定・掲載・運用管理(Indeed・求人ボックス・engageなど)
  • スカウトメール送信(ビズリーチ・doda Recruitersなど)
  • 応募者受付・一次スクリーニング
  • 面接日程調整・候補者対応
  • 月次レポートによる効果測定・改善提案
  • 人材紹介会社の選定・交渉・管理(エージェントコントロール)

媒体の使い分けまで踏み込んで比較したい方は、建設業の採用媒体完全比較ガイドもあわせてご覧ください。

面接代行はできるが、最終判断は自社に残す

「一次面接まで採用代行に任せたい」というニーズは、一定数あります。

結論、会社によっては一次面接の代行も可能です。ただし運用上、最終的な採用可否判断は自社で握るのがセオリーです。現場の空気感や自社文化との相性は、外部の人が100%把握しきるのは難しいためです。

採用代行で任せられること・残すこと

任せられる(例)
  • 求人票・スカウト文面の作成
  • 媒体選定と運用、掲載順位の管理
  • 応募者の一次スクリーニング
  • 面接日程の調整、リマインド送信
  • 紹介会社の選定・要件伝達・進捗管理
  • 一次面接の代行(会社による)
自社に残すのが望ましい
  • 最終的な採用可否の判断
  • 給与・待遇の最終決定
  • 現場の空気感・文化フィット感のジャッジ
  • 入社後のオンボーディング設計

具体的にどんな会社が建設業に合うかは、採用代行(RPO)おすすめ比較|建設会社が失敗しない選び方と主要サービスで整理しています。


建設業で人材紹介を使うときに押さえる法令

ここは外せない論点です。「建設業の人材紹介は禁止」という話を聞いたことがある方もいると思います。正確に整理します。

「建設業の人材紹介は全面禁止」は誤解

結論から言うと、禁止されているのは建設業務(現場作業)に就く職業の有料職業紹介です。建設業界全体で人材紹介が使えないわけではありません。

根拠条文は職業安定法第32条の11です。

有料職業紹介事業者は、…建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)に就く職業…を求職者に紹介してはならない。 出典: e-Gov『職業安定法』第32条の11

つまり、とび・鉄筋・型枠・大工・左官など、現場で直接作業に従事する職種への有料職業紹介は原則禁止、ということです。

禁止されているのは「現場作業員」への紹介

禁止の対象は「建設業務(現場作業)」に就く職業です。重層下請け構造のもとで労働者保護の責任所在が曖昧になりやすい、雇用が不安定になりやすい、といった理由が背景にあります。

ただし厚生労働大臣の認定を受けた全国3団体(建設業無料職業紹介事業)など、例外枠は存在します。詳細は職業安定局の通達を確認してください。

一方で、施工管理・設計・事務職・技術者など管理系・技術系の職種は、有料職業紹介で紹介可能です。建設業向けの人材紹介会社が多数あるのは、この「管理・技術系は紹介可能」という枠組みがあるからです。

建設業の人材紹介手数料が高い理由

施工管理など有資格者の手数料が高くなるのには、市場の需給が関係しています。

建設業の有効求人倍率は5.18倍、建築・土木・測量技術者は5.76倍、建設躯体工事従事者は8.01倍厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年10月分)。

1級施工管理技士のように取得に数年の実務経験と試験合格が必要な資格の保有者は、市場での希少価値が極めて高い。採用難易度が高いからこそ、紹介手数料率は40〜50%に上振れしやすいのです。

契約上の違法リスクの回避や業務委託の範囲設計については、採用代行は業務委託?雇用契約との違い・違法リスク・許認可を解説もあわせてご覧ください。


「どちらを選ぶか」ではなく「どう組み合わせるか」

ここまで来ると、両者を並べて比較する質問自体が、実は無理筋だったとわかります。組み合わせの話に切り替えましょう。

典型的なパターンを3つ紹介します。建設業の採用現場で、実際によく見る構成です。

パターン1: 年間1〜2名の即戦力採用 → 採用代行でエージェントを動かす

年間採用人数が1〜2名で、その1名がどうしても即戦力の有資格者、という場合。

「紹介会社を契約したのに紹介が来ない」「たまに来ても要件外の候補者ばかり」という悩みは、建設業の中小企業で本当によく聞きます。紹介会社は数百社の顧客を抱えていて、そのなかで自社の優先度が上がらないと、そもそも紹介が回ってきません。

採用代行の価値は、この紹介会社の優先度を上げるノウハウにあります。要件シートの作り方、返信の早さと質、合否フィードバックの出し方、面接設定のスピード。紹介会社の担当者が「この会社に送れば決まる」と感じる状態を作るのが、エージェントコントロールの仕事です。

結果として、今まで紹介が来なかった会社にもしっかり候補者が回ってくるようになります。月額10万円〜の採用代行費用がかかっても、年1〜2名の採用が確実に決まれば、採用できずに1年過ごすリスクのほうがずっと大きい、という判断になります。

パターン2: 年間3名以上の継続採用 → 採用代行を上位に、人材紹介を組み込む

施工管理を年3名以上採用したい、求人広告も出している、スカウトも打ちたい、という場合。

このレンジは採用代行の真価が出るゾーンです。月額10万〜30万円の建設特化採用代行を上位レイヤーに入れて、求人広告・人材紹介・DRをまとめて運用する。紹介会社は2〜3社を並列で使い分けます。

採用総コストの例は、さきほどのComparisonTableに整理しました。見かけは費用増でも、応募数・採用スピード・定着率の改善で、採用1名あたりの実質コストは下がる設計です。

パターン3: 採用体制を社内に作りたい → 採用代行で仕組み化

「数年後には採用を社内で回せるようにしたい」というパターン。

採用代行を月次レポートつきで導入し、6〜12ヶ月かけて自社に採用ノウハウを移植していくやり方です。スカウト文面・応募者対応スクリプト・媒体運用ルール・紹介会社の管理方法が、月次レポートを通じて社内に蓄積されます。

いわゆる「採用代行を卒業する」使い方で、中長期で見ると採用代行費用は採用体制への投資になります。

建設業の採用は「複合戦略」が基本

求人媒体で母集団を形成し、スカウトで潜在層にアプローチし、人材紹介で即戦力を確保する。この3チャネルの複合戦略を、採用代行が横串で運用する——これが建設業の採用で現実的に機能する型です。

単一手法に絞ると、どこかで詰まります。

導入事例

福島県の総合建設業A社(従業員50名規模) は、もともと求人広告と人材紹介を別々に運用していましたが、紹介会社からの候補者が途切れがちで、採用が思うように進んでいませんでした。

採用代行(月額20万円)を上位レイヤーに導入し、求人広告の原稿改善・応募者一次対応・紹介会社2社のコントロールを一括委託したところ、年間で13名の採用に到達。

紹介手数料はそのまま発生していますが、求人広告経由の応募数が約2.4倍に増えたことで、中期的には紹介依存度が下がっていく見通しです。

建設業の採用代行の導入ステップと実例深掘りは、建設業の採用代行サービスの選び方|費用相場と導入事例にまとめています。


まとめ|採用代行と人材紹介は「レイヤーが違う別物」

要点を整理します。

  1. 採用代行と人材紹介は並べて比較するものではない。採用代行は上位レイヤー、人材紹介はその中のチャネルの1つ
  2. 採用代行を入れても、紹介手数料(施工管理は年収の45%が主流)はそのまま発生する
  3. 採用代行の価値は「費用を削る」ことより「同じ費用でアウトプットを増やす」こと。紹介会社の使い分け設計・運用管理を担う
  4. 建設業務(現場作業)への有料職業紹介は職業安定法第32条の11で原則禁止。ただし施工管理・技術・事務は紹介可能
  5. 建設業の採用は、人材紹介・求人広告・DRの3チャネル複合運用が基本。その運用を担う選択肢が採用代行

「採用代行か人材紹介か」という二項対立の問いを、「両者をどう組み合わせるか」に切り替える。これだけで、採用活動の設計が一段変わってきます。

次の一歩として、採用代行そのものの仕組みをあらためて押さえるなら採用代行(RPO)とは?仕組み・業務範囲・選び方を徹底解説、費用の具体像を詰めるなら採用代行の費用相場ガイドをあわせてご覧ください。

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