求人広告代理店は出稿まで、採用代行は応募が来た後まで。分かれ目はここです
結論から言うと、求人広告代理店が引き受けるのは求人広告を出すまで、採用代行が引き受けるのは応募が来た後の実務までです。
2026年9月の求人広告の掲載件数は、全体で2,900,314件でした。前の月より5.4%、前の年の同じ月より34.5%増えています。
このうち建設・採掘は158,662.5件でした。全体に占める割合は5.47%で、前の年の同じ月より31.8%増えています。
建設・採掘のうち正社員は142,105.75件で、建設・採掘全体の約89.6%です。全体の正社員比率は69.9%ですから、建設の求人広告は正社員募集に寄っています(89.6%と69.9%は同資料より算出。公益社団法人全国求人情報協会『求人広告掲載件数等集計結果(2026年9月分)』)。
この件数は、調査に協力した企業の主要15媒体から提供を受けた週平均値で、すべての求人広告を数えた統計ではありません。
一方、2026年8月の建設・採掘従事者の有効求人倍率は5.10倍でした。新しく出た求人だけで見る新規求人倍率は7.63倍、職業計の有効求人倍率は1.06倍です。職業別で、季節調整をしていない常用とパートを合わせた数字です(厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年8月分)』)。
募集は出ています。前の年より3割増えて出ています。それでも採りきれていません。
「もっと出稿を増やそう」と考えれば求人広告代理店に、「出した後の対応が追いつかない」と考えれば採用代行に相談が行きます。
求人広告代理店は何を引き受けるのか
求人広告代理店は、求人媒体への広告掲載を仲立ちする会社です。仕事は次の4つです。
- 媒体の選定と提案(どの求人サイトに、どのプランで、いくらで出すか)
- 原稿制作(仕事内容・給与・休日・応募資格を媒体の書式に合わせる。取材や撮影をする代理店もあります)
- 出稿(入稿の手続きと掲載開始までの調整)
- 掲載後の効果分析(何回見られたか、何件応募が来たか。次の原稿や媒体の提案まで)
掲載料と代理店の手数料は分けて見る
掲載料そのものは、媒体社の料金表に沿うのが一般的です。代理店は媒体社から手数料を受け取る仕組みで動いています。
ただし代理店によっては、手数料が別に乗ることもあります。見積もりで内訳を確かめてください。
クリックされた回数に応じて費用がかかる型の求人広告を運用してもらう場合は、別に運用手数料がかかります。広告費の20%程度が相場といわれています(1社が公表している相場で、官公庁の統計ではありません。レジェンダ・コーポレーション『求人広告代理店と採用代行(RPO)の違いとは?』)。

掲載先の求人サイト側にも決まりがある
求職者から情報を集めて運営する求人サイトには、厚生労働大臣への届出が要ります(職業安定法第43条の2第1項)。届出をして事業概況報告書を出した事業者は1,283事業者で、前の年より11.2%増えました(厚生労働省『特定募集情報等提供事業の令和7年6月1日現在の状況等(速報)』)。
届出が要るのは、求職者の情報を集めるしくみを持つ求人サイトなどです。求人広告代理店そのものが届出制になった、という話ではありません。
採用代行は何を引き受けるのか
採用代行(RPOとも呼ばれます)が引き受けるのは、応募が来た後も含む採用の実務です。
- 求人票の作成と改訂(応募が来なければ書き直して出し直す)
- 求人媒体の運用(掲載内容の差し替え、効果の確認、プランの見直し)
- スカウトの送信と応募者への返信(当日または翌営業日までに返す)
- 面接の日程調整と、紹介会社のとりまとめ(推薦への返信、合否の理由の返却)
このうち応募者への返信、日程調整、紹介会社のとりまとめは、代理店の契約には入らないことが多い作業です。
採用代行を使うときの役割分担
| 誰が | 何を |
|---|---|
| 社内と採用代行で一緒に | 求める人物像と採用要件の整理。どの現場に入ってもらうか、どの資格が要るかは社内の知見が要ります |
| 社内 | 面接、最終判断、内定承諾の最後のひと押し |
| 採用代行 | 運用全般。求人票、求人媒体、スカウト、応募者への返信、日程調整、紹介会社とのやり取り |
当社の支援経験をもとに作成
面接と最終判断は社内に残ります。現場に合う人かどうかは、社内でしか判断できないからです。
採用代行の仕組みと費用の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
2つの違いを1枚で見る
求人広告代理店と採用代行の違い
| 見る点 | 求人広告代理店 | 採用代行 |
|---|---|---|
| 目的 | 求人広告を出して応募を集める | 応募が来た後まで含めて採用を決める |
| やること | 媒体の選定と提案、原稿制作、出稿、掲載後の効果分析 | 求人票の改訂、媒体の運用、スカウト送信、応募者への返信、日程調整、紹介会社のとりまとめ |
| 手を動かす人 | 出稿までは代理店。応募が来た後は会社の人 | 面接と最終判断は会社の人。それ以外は引き受けた側 |
| 返ってくるもの | 掲載された求人広告、応募件数と閲覧数のレポート | 出し直した求人票、送ったスカウト、日程の決まった面接、月次レポート |
| 費用の形 | 掲載料は媒体社の料金表に沿うのが一般的。代理店の手数料が別に乗ることもある。運用型は広告費の20%程度の運用手数料 | 月額固定。これに求人媒体の掲載費が別でかかる |
| 社内に残る作業 | 応募者への返信、書類選考、日程調整、面接、最終判断がすべて残る | 面接、最終判断、内定承諾の最後のひと押し |
当社の支援経験およびレジェンダ・コーポレーション『求人広告代理店と採用代行(RPO)の違いとは?』より作成
返ってくるものの違いを見てください。代理店から返ってくるのは、掲載された求人広告と、何件応募が来たかのレポートです。採用代行から返ってくるのは、日程の決まった面接です。
お金の払い方が違う
採用を外に頼むときの費用の形
| 頼む先 | お金の払い方 | 採用できなかったとき |
|---|---|---|
| 求人広告代理店(掲載課金型) | 掲載する期間とプランに応じて掲載料を先に払う。掲載料は媒体社の料金表に沿うのが一般的だが、代理店の手数料が別に乗ることもある | 払った掲載料は戻らない |
| 求人広告代理店(運用型) | クリック回数などに応じて広告費がかかる。これに広告費の20%程度の運用手数料が乗る(1社が公表している相場) | 使った広告費は戻らない |
| 人材紹介 | 採用が決まった時点で手数料を払う。常用就職1件あたりの平均は約103万円(令和6年度) | 費用はかからない |
| 採用代行 | 月額固定。当社は月額20万円(税別)〜。これに求人媒体の掲載費が別でかかる | 月額はかかる。業務の量は毎月のレポートで確認する |
厚生労働省『令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』およびレジェンダ・コーポレーション『求人広告代理店と採用代行(RPO)の違いとは?』より作成
人材紹介の手数料は、常用就職1件あたり約103万円でした。前の年度より10.9%増えています(厚生労働省『令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』)。
ただしこれは全職種をならした平均です。建設業の施工管理では採用した人の年収の45%が主流で、1級の資格を持つ所長クラスや急ぎの募集では60〜70%まで上がることもあります。この水準は当社が建設業の採用で見てきたもので、公的な統計ではありません。
掲載料を先に払うか、決まってから払うか、毎月払うかで、採用できなかったときの損の出方が違います。
まとまった人数を採っている会社でも、4割が1名100万円以上
2025年に施工管理職を10名以上中途採用した、従業員1,000名未満の建設業の採用担当者102名への調査があります。
1名あたりの採用コストは「100万円以上」が38.2%、「50〜99万円」が28.4%です。前の年と比べて採用コストが「増加した」と答えた会社は57.9%でした。
使っている採用手法は、求人媒体が43.1%、人材紹介が39.2%、自社の採用ホームページが35.3%です(ネオキャリア「みんなの採用部」『施工管理職の採用に関する実態調査』)。年に10名以上を採れていて、採用に慣れている会社でも、4割近くが1名あたり100万円以上と答えています。
採用代行の月額だけを比べると総額が見えない
当社は月額20万円(税別)〜です。ただしここに求人媒体の掲載費が乗ります。実際に出ていくのは月額20万円〜+媒体費です。
採用代行に頼んでも、求人広告を出す費用はなくなりません。月額だけを他社と並べても、1年の総額は見えません。
手法ごとの費用の目安は建設業の採用媒体完全比較ガイドに具体例を置いています。

建設業は職種で分かれる
有料の人材紹介で決まった件数(令和6年度・常用就職)
| 職種 | 決まった件数 |
|---|---|
| 建築・土木・測量技術者 | 26,230件(前年度比32.9%増) |
| 施設機械設備操作・建設機械運転の職業 | 595件 |
| 電気・通信工事の職業 | 562件 |
| 土木の職業 | 8件 |
| 建設の職業(建設躯体工事を除く) | 5件 |
| 建設躯体工事の職業 | 0件 |
施工管理や設計を含む建築・土木・測量技術者は、1年で26,230件が人材紹介で決まっています。前の年度より32.9%増えました。
その一方で、建設躯体工事の職業は0件でした。土木の職業が8件、建設の職業(躯体を除く)が5件です。
とび、鉄筋、型枠、土木の技能者を人材紹介で採ろうとしても、紹介できる登録者がほとんどいないということです。
足りていない度合いは、技能者のほうが大きい
2026年8月の有効求人倍率で、建設躯体工事従事者は8.25倍、土木作業従事者は6.71倍でした。
建築・土木・測量技術者は5.71倍、電気工事従事者は3.23倍で、職業計は1.06倍です。いずれも職業別で、常用とパートを合わせた数字です(厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年8月分)』)。
人は足りていません。それでも紹介では出てきません。
技術者は紹介、技能者は媒体と応募後の運用
施工管理と技術者は、人材紹介で採用が決まっています。人材紹介は建設業の有資格者を確実に採れる主力の手法で、使い方しだいで結果が変わります。
求める人物像をどう伝えるか、推薦に何時間で返すか、見送った理由をどこまで紹介会社に伝えるか。この3つで、同じ手数料でも採用できる人数が変わります。
とび、鉄筋、型枠、土木の技能者は、紹介の市場がほぼありません。自社で求人を出して、来た応募をどう回すかで決まります。
出稿だけを頼むと、応募後の作業が社内に残ります。日中は現場に出ている会社では、ここが止まりやすくなります。
技能者の採用では、出稿だけでは足りません。応募が来た翌日までに電話をかける人がいるかどうかで結果が変わります。
代理店に任せても、会社に残るもの
中小企業が「負担が大きい」と答えた採用業務(%)
出典: Cavitte『中小企業の「採用活動」に関する調査』より作成
求人広告代理店が引き受けるのは、3本のうち色の付いた1本、39.8%の「求人広告作成・出稿」だけです。
上の2本、面接・選考の実施(56.8%)と応募者管理(45.8%)は、出稿を外に出しても会社に残ります。負担が大きいと答えた割合も、この2本のほうが高い数字でした(2024年11月・中小企業の経営者334名への調査のうち、採用業務の負担が大きいと答えた層への設問。Cavitte『中小企業の「採用活動」に関する調査』)。
同じ調査で、採用担当者は「1人」が34.7%、「専任の採用担当者はいない」が14.7%で、合わせて49.4%でした。「2〜3人」は37.1%です。
半数近くの会社が、採用担当1人か専任なしで回しています。この状態で出稿だけを外に出しても、応募者への返信と書類選考と日程調整が社長や工務部長の手元に残ります。
法律上の義務も、募集を出す会社の側に残る
働く条件を求職者に示す義務があります。賃金、労働時間、業務内容、就業場所などを明示する決まりです(職業安定法第5条の3第1項)。
義務がかかる相手として法律が挙げているのは、ハローワーク、特定地方公共団体、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者です。求人サイトのような募集情報等提供事業を行う者は入っていません。
求人情報を正確かつ最新の内容に保つ義務もあります(第5条の4第2項)。この義務の相手は「労働者の募集を行う者及び募集受託者」です(職業安定法(e-Gov法令検索))。
採用が終わった職種の募集を閉じないまま掲載していたり、2年前の給与額のまま出し続けていたりすることがあります。この責任は、代理店に出稿を頼んでいても会社の側にあります。
求人サイトの側にも、苦情を適切かつ迅速に処理する決まりはあります(第43条の7)。ただし条件の明示と情報の更新は、募集を出す会社の仕事です。
両方を使うときの分担と、実際に動いた例
代理店と採用代行は、どれか1つだけを選ぶものではありません。建設業では両方を使う形が多くなります。
求人広告代理店と採用代行を両方使うときの分担
| 誰が | 引き受ける範囲 |
|---|---|
| 求人広告代理店 | 媒体の選定と提案、原稿の制作、出稿の手続き、掲載後の閲覧数と応募件数のレポート |
| 採用代行 | 求人票の改訂と出し直し、応募者への返信、書類選考の下ごしらえ、日程調整、紹介会社のとりまとめ、月次レポート |
| 社内 | 求める人物像の決定(採用代行と一緒に)、面接、最終判断、内定承諾の最後のひと押し |
当社の支援経験をもとに作成
分担がはっきりしていれば、二重に払う部分は出ません。掲載料と月額は、別の作業に対する費用です。
実際に動いた例
1つ目は、出稿量を増やす方向で動いたある工務店です。注文住宅を中心に手がける会社で、代理店の提案で複数のネット媒体に出稿し、総額は100万円を超えました。
応募は増えました。ただし採用はゼロで終わっています(BRANU『失敗例から学ぶ、建設業における人材確保の最強対策』)。
2つ目は、従業員51〜200名規模のある総合建設会社です。求人票の改善と継続的な更新、求人媒体と紹介会社の選定、ハローワークでのスカウト運用を外部に委託しました。
ハローワークのスカウト経由で5名に内定を出し、うち土木施工管理職2名が承諾しています(マルゴト『採用代行(RPO)の導入事例』)。求人票を1回書いて終わりにしなかった点が効いています。
3つ目は、社員60名ほどのある建設・住宅施工会社です。応募者対応、日程調整、一次面接、紹介会社との連携、進捗管理まで委託しました。
総合職5名の採用に至り、現場対応と採用の兼務を両立できるようになっています(アールナイン『採用代行(RPO)の導入事例』)。
1つ目の工務店について、出典の記事は、出稿を増やすより給与額の見直しが要ったと振り返っています。2つ目と3つ目は、応募が来た後を誰が回すかを決めてから動いた例です。
詰まっている場所は、出稿の量か、給与額か、応募が来た後の運用かのどれかです。そこで頼む先が変わります。

契約前に確かめる3つと、よくある質問
見積もりを取る前に確かめる3点
1つ目は委託の範囲です。出稿までなのか、応募が来た後の返信や日程調整まで入るのかを、契約書の業務範囲の欄で確かめます。口頭だと、あとから線が引けません。
2つ目は職業紹介の許可の要否です。候補者を連れてくる業務まで頼むなら、有料職業紹介事業の許可番号を出してもらい、番号が実在するかを確認します。
3つ目は、採用人数を書面で約束してこないかどうかです。約束してくる業者は避けたほうが安全です。
許可が要る形と、要らない形
報酬を受けて会社の代わりに求職者を勧誘する形は、委託募集にあたります。募集を依頼する会社の側が、自社の社員以外の人に報酬を与えて募集に従事させるには、厚生労働大臣の許可が要ります(第36条第1項)。
求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんする形は、有料職業紹介にあたります。これにも厚生労働大臣の許可が要ります(第30条第1項)。
どちらも許可なく行った場合の罰則は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第64条第1号が第30条第1項違反、第7号が第36条第1項違反。職業安定法(e-Gov法令検索))。
一方、会社の指示のもとで求人票を書き、応募者に返信し、日程を押さえるだけなら、雇用関係の成立をあっせんしていません。許可は要りません。
「代行だから許可は不要」と決めつけることはできません。任せる業務の中身で決まります。
許認可と契約書の書き方は採用代行は業務委託?違法リスク・許認可・契約書の押さえどころに具体例を置いています。
採用人数の約束ができない理由
採用代行は業務委託契約です。応募するかどうか、内定を承諾するかどうかは引き受けた側で決められないので、採用人数や応募件数を書面で約束することはできません。
書面にできるのは業務の量です。スカウトの送信通数、求人票の作成と改訂の本数、月次レポートの提出日、応募者への返信の期限。この4つは契約書に書けます。
採用人数を約束してくる業者は業務委託の枠を超えており、あとで揉めやすくなります。
よくある質問
求人広告代理店に頼んでいれば、採用代行は要りませんか
応募が来た後の返信と日程調整を社内で回せているなら、代理店だけで足ります。返信が翌週に回っているなら、出稿を増やしても採用までつながりにくくなります。
いくらくらいかかりますか
代理店は掲載料が中心で、クリック課金型を運用してもらう場合は広告費の20%程度の運用手数料が乗ります。採用代行は月額固定で、当社は月額20万円(税別)〜に求人媒体の掲載費が別でかかります。
人材紹介は決まった時点で手数料が発生し、常用就職1件あたりの平均は約103万円でした。
代理店を通すと掲載料は高くなりますか
掲載料そのものは、媒体社の料金表に沿うのが一般的です。ただし代理店によっては手数料が別に乗ることもあるので、見積もりで内訳を確かめてください。
複数の媒体を比べてもらえる分、1社だけ見て決めるより選びやすくはなります。
まとめ
要点は4つです。
- 代理店は媒体の選定、原稿制作、出稿、効果分析まで。採用代行は求人票の改訂、応募者への返信、日程調整、紹介会社のとりまとめまで
- 掲載料は媒体社の料金表に沿うのが一般的ですが、代理店の手数料が別に乗ることもあります。採用代行は月額20万円〜に媒体費が乗ります
- 令和6年度に人材紹介で決まったのは建築・土木・測量技術者が26,230件、建設躯体工事の職業は0件。技術者は紹介を上手に使い、技能者は媒体と応募後の運用で決まります
- 条件の明示と求人情報の更新の義務は、募集を出す会社の側に残ります(職業安定法第5条の3第1項、第5条の4第2項)
出稿が足りないのか、応募が来た後が止まっているのか。ここが分かれば、頼む先は決まります。
こういう選択肢もある、という程度に受け取ってもらえれば十分です。