書類選考の通過率は37.3%、建設・土木の職種では29.4%

転職した正社員の応募件数は1人あたり平均13.6件、書類選考を通ったのは平均5.1件でした。通過率は37.3%です。

前職の職種が「技能工・建築・土木」だった人は、応募が平均18.8件で通過が平均5.5件。通過率は29.4%でした。応募は5件ほど多いのに、通った件数は0.4件しか増えていません(株式会社マイナビ『転職活動実態調査(2025年)』。2025年7月の全国インターネット調査、20〜50代の正社員)。

読み方には注意が2つあります。求職者が自分で答えた件数で、企業が集計した通過率ではありません。応募先の業種ではなく前職の職種で分けた区分で、回答数も51人と少なめです(全体は467人)。

建設会社の側から見ると、入口はもっと細いです。直近3年間に34歳以下の常用の技能労働者を採用できたかを聞いた調査では、「採用できていない」が49.8%、「あまり採用できていない」が18.7%で、合わせて約7割でした(厚生労働省委託『建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和6年度調査)』。企業調査N=3,521)。

その細い入口に、人によって揺れる基準がかかっています。同じ書類を、ある週は通して別の週は落とす。見る人が変わると判断も変わります。

結論から言うと、通す基準を3つに絞り、結果連絡の期限とセットで決めるところから手を付けるのが早いです。落とす理由を増やすより、会う条件を減らすほうが社内でそろいます。


建設会社が落としている理由は、全業種とずれている

直近1か月の中途採用で書類選考を通さなかった理由(複数回答)

理由全業種不動産・建設・設備・住宅関連
募集職種に必要なスキルが不足していた37.0%29.8%
求める経験年数や経験内容と合わなかった30.8%38.3%
社風・価値観との適性が低いと判断した29.7%29.8%
募集要件を満たしていなかった28.8%19.1%
転職回数や在籍期間が採用基準と合わなかった25.4%21.3%
募集する業界での経験が不足していた25.1%25.5%
専門知識・資格が不足していた25.1%19.1%

株式会社マイナビ『2026年9月度 中途採用・転職活動の定点調査』より作成。2026年10月1〜5日調査、書類選考不通過者がいた採用担当n=354、不動産・建設・設備・住宅関連はn=47

全業種の1位は「募集職種に必要なスキルが不足していた」の37.0%ですが、この区分では29.8%に下がります。不動産・建設・設備・住宅関連の1位は「求める経験年数や経験内容と合わなかった」の38.3%でした。全業種の30.8%より7.5ポイント高く、順位も入れ替わっています。

この区分は不動産を含むくくりで、建設業だけを抜き出した数字ではありません。回答した採用担当も47人です。

「スキルが足りない」は技術そのものへの判断、「経験年数や経験内容が合わない」は何年どんな仕事をしてきたかへの判断です。建設側で多いのは後者でした。

求人票の側で、担当する工種と現場規模、経験年数ごとの年収例まで書いておくと、このズレは応募の段階で減ります。書き方は建設業の求人票の書き方のコツ1とコツ2に例文を置いています。

「専門知識・資格が不足していた」は、不動産・建設・設備・住宅関連では19.1%で、全業種より6ポイント低いです。資格の有無だけで切っている会社は、思われているほど多くありません。

判断の分かれ目は、書類の経験をどう読むかにあります。同じ「施工管理10年」でも、1現場に2年張り付いた人と半年ごとに応援で入っていた人は、書類の上では同じ行になります。

全業種では、「転職回数や在籍期間が採用基準と合わなかった」を選んだ割合は、従業員50名以下24.6%(n=57)、51〜300名24.0%(n=96)、301名以上26.4%(n=201)。会社の規模で差はありませんでした。

どの段階で人が減っているかの数え方は、建設業の採用の歩留まりに載せています。

青いファイルバインダーと書類の束、ペンが重なり置かれた机の上
写真: Willfried Wende / Pexels

施工管理の書類は、資格の等級と工事の規模で読む

1級と2級は、任せられる役割が違う

施工管理技士の等級は、資格の格の違いではなく、建設業法のうえで就ける役割の違いです。国土交通省の説明では、1級の技士は監理技術者または主任技術者に、2級の技士は主任技術者になることができます。

主任技術者は、工事現場の施工の技術上の管理をする人で、元請でも下請でも現場に置きます。監理技術者は、下請に出す金額が大きい元請工事で主任技術者の代わりに置く人です。

2級の技士は、監理技術者が要る規模の現場ではその役に就けません。元請で大きな工事を取り下請に多く出す会社なら、1級を持つ人の有無が受注の形にかかわります。下請中心なら、2級の技士で足りる現場が多くなります。

検定の名前にも注意が要ります。第一次検定の合格者は「技士補」、第二次検定の合格者が「技士」を称することができます。履歴書に「1級建築施工管理技士(学科合格)」と書かれていたら、技士補の段階です。監理技術者にはなれません。ここを読み違えると、採用後に配置できないという話になります。

令和7年度の第二次検定に合格したのは1級が30,849人、2級が27,623人でした(国土交通省『令和7年度技術検定の合格者数』)。ただし、その人たちが転職市場に出てくるわけではありません。

資格がなくても主任技術者になれる人がいる

資格欄が空の書類を自動で落としている会社は、ここで人を取りこぼしています。

主任技術者になれるのは検定の合格者だけではなく、指定学科を出ていて一定の実務経験がある人も対象になります。指定学科は工事の業種ごとに国が定めた学科で、土木工学科や建築学科が入り、工業高校の土木科・建築科も含まれます。

指定学科を出た人が主任技術者になるために要る実務経験の年数

最終学歴必要な実務経験
大学・短期大学・高等専門学校・専門学校(専門士・高度専門士)の指定学科を卒業卒業後3年以上
高等学校・専門学校(上記以外)の指定学科を卒業卒業後5年以上
指定学科を出ていない10年以上

国土交通省近畿地方整備局 建政部 建設産業第一課の建設業許可関係資料(最終改訂 令和7年4月)「Ⅱ.営業所専任技術者・現場技術者(主任技術者・監理技術者)となるための要件」より作成

指定学科を出ていない人でも、10年以上の実務経験があれば主任技術者になれます。登録基幹技能者(職長の上に立って現場を回す技能者の資格)の講習を修了した人にも道があります。

工業高校の土木科を出て5年現場に出ている人の書類に、資格の記載が1つもないことはよくあります。その人は主任技術者になれる人です。

見るのは資格欄の空白ではなく、学科名と実務年数の組み合わせです。履歴書に学科名がなければ、そこを問い合わせるだけで判断が変わります。

経験した工事は、金額と元請・下請で読む

職務経歴書に並んだ現場名からは、規模が読めません。金額と立場を見ます。

建設業法には、現場に置く技術者の条件が金額で決められている線が2本あります。令和7年2月1日に引き上げられたので、社内の選考基準の紙に古い金額が残っていないかも見ておいてください。

1本目は、技術者を専任で置く請負代金額です。4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上が対象になります。

専任は、その現場に常時いてほかの現場を兼ねない形です。この規模を回した経験は、1つの現場に張り付いて最後まで見た経験を意味します。

2本目は、特定建設業の許可と監理技術者の配置、施工体制台帳の作成が要る下請代金額です。5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上を下請に出す元請工事が対象です(国土交通省『建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します』)。

専任が要る規模を元請側で回していた人は、下請の管理と工程の調整まで経験しています。下請として自社の持ち場だけを見ていた人は、同じ年数でも経験の幅が違います。どちらが上という話ではありません。

業種の一致も見ます。主任技術者の資格と実務経験は工事の業種ごとに判定され、2級土木施工管理技士は土木工事の主任技術者にはなれますが建築工事では使えません。

専任が要る現場でも、条件を満たせば1人の技術者が2つの現場を兼任できるようになったのは2024年12月13日からです。改正建設業法そのものが全面施行されたのは2025年12月12日ですが、兼任の仕組みはその1年前に先行して動き出しています(国土交通省『監理技術者等の専任義務の合理化・営業所技術者等の職務の特例』、国土交通省『改正建設業法について』、国土交通省『持続可能な建設業の実現のため、建設業法等改正法が完全施行されます』)。

条件は、請負金額が1億円(建築一式工事は2億円)未満、兼任は2現場まで、1日で巡回できて現場間の移動時間がおおむね2時間以内、下請は3次まで、現場ごとに連絡員を置く、現場の様子を離れた場所から確認できる機器を置く、人の配置を書いた計画書を作って残しておく、などです。

主任技術者にも監理技術者にも使えます。1人で2現場を動かせるぶん、技術者を採れたときの効き方が大きくなりました。

施工管理の書類は「2級しかないから落とす」では読みません。自社が受ける工事の規模と業種から、どの等級が要るかを先に決めます。

選考全体のなかで書類がどこに来るかは、建設業の中途採用に段階ごとの手順を載せています。


技能者と未経験者の書類は、読む場所が違う

技能者は「何を何年やったか」で読む

技能者の書類に資格の記載が少ないのは、よくあることです。

技能者の就業履歴と持っている資格を登録しておく国の仕組みが、建設キャリアアップシステムです。その技能者登録は192万人。労働力調査(令和7年)が示す建設業の技能者数296万人に対して、約3分の2です(国土交通省『建設キャリアアップシステムの利用状況(2026年9月末)』)。

3人に1人は、経験を記録する仕組みに入っていません。書いていないから経験がない、とは読めません。

登録している人なら、能力評価のレベルが書類に出てくることがあります。4段階の目安は、レベル1が初級技能者(見習いの技能者)、レベル2が中堅技能者(一人前の技能者)、レベル3が職長として現場に従事できる技能者、レベル4が高度なマネジメント能力を有する技能者(登録基幹技能者等)です(国土交通省『建設技能者の能力評価制度における申請の手引き』)。

レベル3以上なら、班を任せられる段階まで来ている人だと読めます。評価の材料は就業日数と保有資格、職長・班長としての就業日数で、自己申告ではありません。

記載がない人は、職務経歴書を読みます。見るのは3つです。

1つ目は、どの作業を何年やったか。型枠、鉄筋、足場、内装、配管のどれか。同じ「建設業15年」でも、作業が変わっていれば1作業の年数は短くなります。

2つ目は、班を持ったことがあるか。職長、班長、世話役といった言葉があれば、人をつけて回した経験があります。

3つ目は、免許と、法律で決まった短い講習(特別教育や技能講習)です。玉掛け、小型移動式クレーン、高所作業車、足場の組立て等作業主任者など。現場で動いてもらうために要るものは、免許欄に出ます。

未経験者の書類は、そもそも書ける中身が少ない

未経験者の書類を経験者と同じ基準で読むのは難しいです。書けることが少ないからです。

建設業で働く技能者2,502人に業界へ初めて入ったきっかけを聞くと、1位は「親族が建設業で働いていたので興味を持った」の35.7%。34歳以下では46.3%まで上がります(厚生労働省委託『建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和6年度調査)』。従業員調査N=2,502)。

若年技能労働者の募集方法(複数回答・%)

出典: 厚生労働省委託『建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和6年度調査)』より作成。企業調査N=3,521

募集の方法は、ハローワークが47.2%、縁故を頼りに働きかけるが28.9%、募集を行っていないが23.1%でした。

知り合いと親族をたどって人が入ってきた業界です。公募に志望理由を自分で書く経験をしてきた人は、多数派ではありません。

そのやり方が効かなくなった話も出ています。長野県の山﨑建設株式会社の代表取締役、山﨑徳彦氏の言葉です。

以前はハローワークや地元の高校からの求人応募がコンスタントにありましたが、ここ数年は応募がない状況が続いてしまっているのです。

(国土交通省/建設業振興基金『中小建設業の多様な人材確保・定着のための柔軟な働き方事例集』)

入口が細くなり、公募で来る未経験者を見る機会が増えました。そこで書類の厚みで比べてしまう会社があります。志望理由が3行の人と15行の人を量で並べ、資格欄が空の人を先に外す。これをやると未経験者はほぼ全員が落ちます。

未経験者の書類で見られるのは、次のような点です。

  • 通える距離にいるか(住所は市区町村まで)
  • 働ける時間帯や曜日の制約が書かれているか
  • 前の仕事を何年続けていたか
  • 車の運転免許を持っているか
  • 建設業を選んだ理由が自分の言葉で書かれているか

このうち文章の出来で差が付くのは最後の1つだけです。志望理由を採点し始めると、書き慣れている人が有利になります。現場で動ける人かどうかとは別の軸です。

コンクリート躯体と赤レンガの壁面に沿って組まれた、錆びの浮いた単管足場
写真: pooliwattano P / Pexels

書類で見てはいけないことがある

厚生労働省は、公正な採用選考の基本的な考え方をこう示しています。

本籍地や家族の職業など「本人に責任のない事項」や、宗教や支持政党などの「本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)」は、本人が職務を遂行できるかどうかには関係のないこと・適性と能力には関係のないことであり、これらを採用基準にしないことが必要です。

(厚生労働省『公正な採用選考の基本』)

就職差別につながるおそれがある事項は14項目あります。そのうち建設会社で基準に入りやすいものは次のとおりです。

書類の段階で基準にしない項目

本籍・出生地/家族に関すること(職業、健康、学歴、収入、資産など)/住宅状況(間取り、部屋数など)/生活環境・家庭環境など/身元調査の実施。あわせて「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票」を提出させること、「現住所の略図など」を書かせることも、就職差別につながるおそれがあるとされています。

現住所の略図は、建設会社でやってしまいやすい項目です。送迎の経路や通勤手当を考えるためという理由で、応募時に書かせている会社があります。

家族の話も入りやすいところです。ハローワーク佐賀の資料にはこうあります。

応募者から「適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったもののうち「家族に関すること」の質問が多くを占めています。面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いようです

(ハローワーク佐賀『公正な採用選考について』(令和7年5月20日))

悪意があって聞いているわけではない、という指摘です。だからこそ、書類の様式と基準の紙の側で先に外すほうが確実です。

履歴書の様式も変わりました。令和2年7月に日本規格協会がJIS規格の解説から履歴書の様式例を削除したため、厚生労働省が新しい様式例を作っています。

1つは性別欄です。「性自認の多様な在り方に対応するため」、〔男・女〕の選択ではなく任意記載欄になりました。

もう1つは、「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の4項目を設けなかったことです。「特に応募者のプライバシーの要素が非常に高い情報であることなどを踏まえ」と理由が書かれています(厚生労働省『新たな履歴書の様式例の作成について』)。

通勤時間の欄がないと、遠方の人を書類で外せません。「片道1時間半だから続かないだろう」という判断ができなくなります。

削除した4欄に関する確認は、面接での質問として示されています。

「当社では時期により早朝出勤、深夜までの残業、休日出勤をお願いする場合がありますが、対応は可能でしょうか?」 「配置先は複数の営業所が候補となりますが、どの営業所でも勤務は可能でしょうか?」

住所から通勤時間を計算して落とすのではなく、働き方の条件を本人に直接聞きます。早朝の出勤や休日の出勤があることを先に伝えるので、入社後の食い違いも減ります。

遠方でも、車で通う前提なら距離の感覚は変わります。書類の段階で決めてしまうほどの材料ではありません。

求める人物像の決め方は、建設業の採用ミスマッチに載せています。


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基準を社内でそろえる3つの手順

1. 通す基準を3つに絞る

落とす理由を並べる形では、社内でそろいません。理由はいくらでも増やせるからです。

逆に、これが揃っていれば会う、という条件を3つだけ決めます。職種で見る場所が違うので、職種ごとに分けます。

施工管理の3つ。自社が受ける工事の業種で主任技術者になれる人か(検定の合格、または指定学科と実務年数)。担当した現場の規模が自社の工事に近いか。通える範囲に住んでいるか。

技能者の3つ。自社の主な作業の経験が3年以上あるか。現場で要る免許や特別教育を持っているか。通える範囲に住んでいるか。

未経験者の3つ。通える範囲に住んでいるか。車の運転免許を持っているか。前の仕事を1年以上続けていたか。

3つを満たしていれば会い、満たしていなければ見送ります。要点は、3つのうちに「文章の出来」を入れないことです。

絞りすぎの歯止めも要ります。いちばん改善したい選考プロセスを1つ選んでもらった調査では、1位が「応募数」の31.0%でした。書類選考通過率は11.0%、入社後の定着率は10.1%です(回答数840件、前掲マイナビ定点調査)。

多くの会社の悩みは、通す基準より手前の応募数にありました。もともと応募が月に2〜3件の会社で基準を締めると、会う人がゼロになります。3つに絞るのは、厳しくするためではありません。見る人が変わっても同じ判断になるようにするための作業です。

2. 結果連絡の期限を決める

基準と同時に決めるものがあります。書類の結果を何日以内に返すか、です。

選考辞退が起きるタイミングを企業に聞いた調査で、最多は「書類選考通過者による面接前の辞退」の60%でした。

辞退対策をしている企業の対策1位は「書類選考後、通過者への連絡を早くする」の85%でした。2位が面接日程を複数送るの76%です。

この85%は全体を母数にした割合ではありません。辞退対策をしていると答えた企業は全体の52%で、その中での割合が85%です(エン・ジャパン『「人事のミカタ」「中途採用の選考辞退」実態調査』。2024年6〜7月、中途採用を実施した企業293社)。

人事担当400名への調査では、内定までにかかる時間が原因で応募者に辞退された経験が「ある」32.5%、「まれにある」36.5%でした(マンパワーグループ『内定までのリードタイムが原因で、応募者に辞退された割合は8割超』)。2024年2月の調査で、対象は全業種の人事担当者400名です。建設業だけの内訳は出ていません。

基準が決まっていない会社では、書類が机の上で止まります。通すか落とすかを社長に聞きにいき、社長が現場に出ていて3日空く。そのあいだに他社の面接が入ります。

基準が3つに絞られていれば、その場で判断でき、返す日も約束できます。

決めるのは、応募を受け取ってから何営業日以内に結果を返すか、という1行です。3営業日でも5営業日でもかまいません。社内で守れる日数にします。

通した人だけでなく、見送る人への連絡も同じ期限にそろえます。連絡を止めたままにすると、その人が次に応募先を探すときに自社が候補から外れます。

3. 誰が見るかと、見きれないときの預け方

基準を決めても、見る人の手が空いていなければ止まります。

建設業で雇用管理責任者を選任している会社は41.8%、選任していないが56.1%でした。従業員2〜4人で26.8%、5〜9人で38.4%、10〜29人で54.7%、30人以上で69.5%です(N=4,449、前掲の雇用管理現状把握実態調査)。

この41.8%は、前年度の令和5年度調査の49.5%から下がっています。雇用管理責任者は、建設労働者の雇用の改善等に関する法律で事業所ごとに選ぶよう定められています。

担当を置いている会社でも、その人は別の仕事も持っています。採用実務に従事する人事・採用担当1,647名への調査では72.4%が人事・採用以外の業務と兼務していました(Indeed Japan『「採用担当者の業務実態」に関する調査』(2021年12月21日公表))。2021年の調査で対象は全業種、建設業だけの内訳は出ていません。

書類選考まわりの役割の分け方

誰が何を
社内+採用代行で一緒に求める人物像と採用要件の整理。通す基準の3つを言葉にする作業
社内面接、最終判断、内定承諾の最後のひと押し(社長や現場リーダーが出る場面)
採用代行運用全般。求人票、求人媒体、スカウト、応募者への返信、日程調整、書類の一次確認と期限内の結果連絡

当社の支援経験をもとに作成

基準を決めるのは会社です。どの規模の工事を受けるか、どの作業の人が足りないかは、社外の人間には決められません。

外に出せるのは、決まった基準で書類をさばいて期限内に結果を返すところです。

専任の人事を置くかどうかは、あとから考えてかまいません。まず建設特化の採用代行と組む形を基本線に置き、社内から何人出すかはそのあとで決める順番です。

当社は月額20万円(税別)〜で、これに求人媒体の費用が別でかかります。他社と並べるときは「月額20万円〜+媒体費」の合計で見てください。

採用代行は業務委託契約なので、採用人数を書面で約束することはできません。書面に入れられるのは業務の量で、書類の一次確認を何営業日以内に返すか、応募者への連絡までの時間などです。

人材紹介からの推薦も、同じ基準で見ます。紹介会社は、建設業の有資格者に確実に手が届く主力の手法です。

推薦が来てから返事をしないままだと、紹介会社は次の候補者を他社に回します。基準が3つに決まっていれば返事も早く出せますし、見送る理由を1行添えれば次の推薦の精度も上がります。紹介会社とのやり取りのとりまとめも、採用代行が引き受ける側に入ります。

屋外の資材置き場で木製パレットに積み上げられた橙色のセメント袋
写真: Aliaksei Smalenski / Pexels

よくある質問

通過率はどのくらいが普通ですか?

業種別の目安になる数字は公表されていません。求職者側の自己申告では、転職者全体が37.3%、前職の職種が技能工・建築・土木だった人が29.4%でした。ただし全産業の数字です。

他社と比べるより、月ごとの推移で見るほうが使えます。応募が何件来て何件通したかを3か月並べれば、基準が揺れた月は数字に出ます。

転職回数が多い人は落としたほうがいいですか?

回数だけでは判断材料になりません。

「転職回数や在籍期間が採用基準と合わなかった」を落とす理由に選んだ採用担当は、全業種では25.4%で、不動産・建設・設備・住宅関連では21.3%でした。会社の規模による差はありませんでした。

建設業では、現場の受注状況で会社が変わることがあります。元請の工事が切れて移った、応援で入った先に引き抜かれた、といった動きです。

見るのは回数ではなく、1社あたりの在籍年数と、やっていた作業が続いているかです。作業が同じなら、会社が変わっても経験は積み上がっています。

書類選考は誰がやるのがいいですか?

基準を決めるのは社長か工務部長です。どの規模の工事を受けるかを知っている人でないと決められません。

書類を基準に当てて分ける作業は別の人でかまいません。3つの条件に照らすだけなら、総務の担当者でも、外に出しても同じ結果になります。

まず「基準を決める人」と「基準に当てる人」を分けてみてください。

書類選考だけを外に頼めますか?

できます。そこから始める会社もあります。決まった基準で書類を分け、期限内に結果を返すところまでを外に出し、面接と最終判断は社内に残す形です。

ただ、通す基準が言葉になっていない状態では外に出せません。基準をつくる作業は社内の人と一緒にやる範囲で、当社の場合も最初の数週間はここに時間を使います。


まとめ|見る場所は職種で違い、決めるのは条件3つと返事の期限です

畳むと2点です。1点目は、見る場所が職種で違うことです。

施工管理は資格の等級と工事の規模で読みます。1級の技士は監理技術者または主任技術者に、2級の技士は主任技術者になれます。指定学科と実務年数でも主任技術者になれる人がいるので、資格欄が空の書類を自動で外すと取りこぼします。技能者は、作業の種類と年数、班を持った経験、免許の3点で読みます。

建設キャリアアップシステムに登録していない技能者が3人に1人いるので、記載がないことは経験がないことを意味しません。未経験者は、通える距離や免許など事実の確認に寄せます。

2点目は、決めるものが2つだということです。

通す条件を職種ごとに3つだけ決める。そして書類の結果を何営業日以内に返すかを決める。この2つをセットで紙に書きます。落とす理由を増やすより、会う条件を減らすほうが社内でそろいます。

当社が支援した福島県のA社(総合建設・従業員50名)では、応募が2.4倍になり、年間13名の採用につながりました。

直近1年の応募書類の束と、採用した人の職種が分かる紙があれば、通す条件の3つを一緒に言葉にできます。こういう選択肢もある、という程度に見てもらえれば十分です。

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