建設業で試用期間を設ける会社は88.9%、中途の長さは3か月が67.3%

試用期間を設けている企業は全体で86.9%。建設業は88.9%(n=422)で、全体より少し高い水準です。

中途採用で設けている長さは、建設業では3か月が67.3%、6か月が21.1%でした。2か月が4.9%、1か月が4.3%、7か月から1年までが0.9%で、1年を超える会社は0.0%です(n=346)。全産業(中途 n=4,688)では3か月が65.7%、6か月が16.5%でした。

延長についても差が出ます。「試用期間を延長することがある」と答えた企業は全産業で44.0%ですが、建設業は28.8%。「延長することはない」が70.4%でした(n=375)。

3か月で区切って延長しないのが、建設業で多数派のやり方です。

その3か月で何を見るかが決まっていないと、満了する週に慌てます。現場からは「まだ分からない」と言われ、本人には何も伝えていません。

結論から言うと、長さを先に決めるのではなく、その期間で何を見るかを3つに絞り、求人票に書ける形にするところから手を付けるのが早いです。

数字の出どころを断っておきます。常用労働者50人以上の民間企業20,000社に郵送した調査で、有効回収は5,964件、回収率29.8%。調査は2012年10月の実施で、報告書は2014年3月に出ています(独立行政法人労働政策研究・研修機構『従業員の採用と退職に関する実態調査』(2014年3月))。

十数年前の調査で、最新の実態とは言えません。ただ、試用期間の長さと延長の有無を業種別にここまで細かく取った公的な調査は、この後に出ていません。


法律が決めていることと、会社が決めること

長さに決まりはない

労働基準法には、試用期間の長さを定めた条文がありません。

出てくるのは第21条第4号の「試の使用期間中の者」という言葉だけです。上限も下限もありません(労働基準法(e-Gov法令検索))。

厚生労働省のモデル就業規則も、そう書いています。

試用期間を設ける場合にその期間の長さに関する定めは労基法上ありませんが、労働者の地位を不安定にすることから、あまりに長い期間を試用期間とすることは好ましくありません。

(厚生労働省『モデル就業規則』(令和7年12月版) 第6条の解説)

では長いほど安全なのか。裁判例は両方あります。

1年の試用期間を認めた例があります(大阪読売新聞社事件 大阪高判 昭45.7.10)。一方で、6か月から1年3か月の見習い社員期間を置いたあとに、さらに6か月から1年の試用期間を課した事例を「合理的な範囲を超え公序良俗に反し無効」とした例もあります(ブラザー工業事件 名古屋地判 昭59.3.23。いずれも大阪府『労働相談Q&A Ⅲ-14 試用期間』より)。

長さそのものを罰する決まりはありませんが、長すぎる設計は無効と判断されることがあります。業種の実態から外れた長さは避けます。

14日を超えたら解雇予告が要る

労働基準法第21条は、第20条の解雇予告を適用しない人を並べた条文です。その第4号に「試の使用期間中の者」が入っています。

ただし但書に、「第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合」は除外しないと書かれています。14日を超えて働かせた時点から、通常どおり第20条が適用されます。

第20条は、解雇しようとする場合は「少くとも三十日前にその予告をしなければならない」、「三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と定めています。

日数は暦日で数えます。大阪府の労働相談Q&Aにも「採用後14日(暦日数)を超えて就労した者には解雇予告制度の適用がある」とあります(昭24.5.14基収1498号)。

試用期間が3か月なら、ほぼ全期間が解雇予告の対象に入ります。「試用期間中だから予告なしで帰ってもらえる」という理解は、15日目以降は通りません。

社会保険・雇用保険・労災は入社と同時

ここを誤解している会社が残っています。大阪府の労働相談Q&Aは、こう説明しています。「試用期間を定めた労働契約は、実態として『期間の定めのない労働契約の初期の期間』に当たる。このため、試用期間中の社員も社会保険の適用上は期間の定めのない正社員と変わりなく、入社と同時に被保険者の資格取得手続きを行うことが必要となる」。

雇用保険と労災も同じです。「『試用期間中の者』は、雇用保険法上の適用除外要件に該当せず、また、労災保険は雇用形態にかかわらず保険の保護対象となる」と書かれています。

日本年金機構も「試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められることとなります」と説明しています(日本年金機構『適用事業所と被保険者』)。試用期間が終わってから入れる、という扱いはできません。

試用期間中に労災で休業した場合は、労働基準法第19条第1項の解雇制限がかかります。休業している期間とその後30日間は、原則として解雇できません。

試用期間の決まりと、会社が決める範囲

項目法律の定め会社が決めること
試用期間の長さ上限も下限もありません。長すぎる設計が無効とされた裁判例はあります何か月にするか。建設業の中途では3か月が67.3%
期間中の賃金最低賃金を下回る額にするには都道府県労働局長の許可が要ります本採用後と同じにするか下げるか。下げるなら就業規則か契約に書いておきます
延長の有無定めはありません延長するかどうか。するなら事由と期間を就業規則に書いておきます
本採用の判断客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が求められます何を見て判断するか。基準を就業規則に書くか、その時点で判断するか
社会保険・雇用保険・労災入社と同時に加入します。試用期間中も正社員と同じ扱いです会社が選べる余地はありません
14日を超えた後の解雇30日前の予告、または30日分以上の平均賃金が要ります会社が選べる余地はありません

大阪府『労働相談Q&A Ⅲ-14 試用期間』、労働基準法(e-Gov法令検索)より作成

決まっているのは真ん中の列だけです。揉めるのは、右の列を決めていなかったときです。

夕暮れの建設中のビル屋上で鉄筋の間に立って作業する3人の作業員のシルエット
写真: Kawser Hamid / Pexels

3か月と6か月をどう分けるか

建設業の中途採用で設けている試用期間の長さ(%)

出典: 独立行政法人労働政策研究・研修機構『従業員の採用と退職に関する実態調査』(2014年3月)より作成。2012年10月調査、建設業n=346

長さを決める前に、3か月では腕は測れないことを押さえておきます。

国土交通省が示す技能者のレベル分けでは、レベル1の初級技能者が経験年数3年まで、レベル2の中堅技能者が4年から10年です。

レベル2の説明はこうです。「職長から分担された作業を、手順に基づき正確に実施する能力を持つ」(国土交通省『技能者のレベル分けについて』)。

分担された作業を手順どおりにこなせる段階まで、4年から10年という目安です。これは能力評価の区分で、試用期間の基準ではありません。それでも、3か月で腕を見切ろうとすると無理が出ます。

だから試用期間で見るのは腕ではなく、現場に出られるか、続けられるか、教えたことが入るかの3点です。

遅刻や欠勤の多さ、安全のルールを守るかどうか、注意したことが翌週に直っているかどうかは、3か月でも見えます。

経験者は3か月、未経験者は6か月から考える

自社と同じ工種の経験者なら、3か月で足りることが多いです。段取りの組み方や道具の扱いは、1か月もあれば現場から声が上がります。

未経験者は6か月にしておきます。入って2か月は体を慣らす期間になるので、教えたことが入っているかを見られるのは3か月目からです。

延長を前提にした決め方は避けます。延長して粘るやり方は建設業では少数派で、延長することはないと答えた会社が70.4%でした。

はじめから6か月にしておくほうが揉めません。延ばすという連絡は、本人にとって「見送られるかもしれない」という通告になります。

延長するなら、就業規則に根拠を置く

それでも延長が要る場面はあります。入社直後に長期の休みが入って、判断する材料が集まらなかったときなどです。裁判例は2つあります。

1つは、就業規則に延長の可能性・事由・期間が明定されていて、当初の期間で調査を尽くしたが判断が難しい場合などに限られるとした例です(大同信用組合事件 大阪地判 平28.11.18)。もう1つは、就業規則に根拠がなくても、労働者の利益のためにさらに調査を尽くして職務能力や適格性を見出すことができるかを見極める必要があるなどのやむを得ない事情が認められる場合に限って、本人の同意があり必要最小限度の期間を設定した延長を有効とした例です(明治機械事件 東京地判 令2.9.28。いずれも前掲の大阪府『労働相談Q&A Ⅲ-14』)。

延長する可能性を残すなら、事由と期間を就業規則に先に書いておくほうが早いです。

伝えているのは長さと賃金まで

同じ調査に、雇い入れ時に何を知らせているかを聞いた設問があります(全産業 n=5,183、複数回答)。全産業では「試用期間の有無」が92.1%、「試用期間の長さ」が86.8%、「試用期間中の処遇(賃金、労働時間等)」も75.6%と高い割合でした。

ところが、同じ全産業で「試用期間の延長の有無」は30.7%。「本採用を拒否する事由」は28.3%です。

長さと賃金は伝わっているのに、延長と見送りの条件は3割前後にとどまります。ここが抜けていると、満了直前の面談で初めてその話が出ます。本人は聞いていない条件で判断されたことになります。

伝えるのは2行です。延長があるかないか。見送る場合はどういうときか。これを入社時の書面に加えるだけです。


試用期間中の給与を下げられるか

下げられます。ただし条件があります。

大阪府の労働相談Q&Aは通達を引いたうえで、試用期間中の賃金を下げることは「労働契約時の合意や就業規則等の規定があれば適法であるが、業種・職種等の実情に照らし合理性があると認められる場合に限定して認められる」等とされている、と説明しています(昭34.10.28基発第747号、改正平20.6.1基発第0601001号)。

必要なのは2つです。契約か就業規則に書いてあること。業種や職種の実情から見て合理性があること。口頭で伝えただけでは足りません。

最低賃金は下回れない

最低賃金法第7条は、「使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたとき」に限って、最低賃金を下回る額にすることを認めています。その第2号が「試の使用期間中の者」です(最低賃金法(e-Gov法令検索))。

減額できる率の上限は100分の20です(最低賃金法施行規則第5条の表)。申請先は、事業場を管轄する労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長になります(同規則第4条)。

許可の基準は厳しいです。厚生労働省のマニュアルは、許可できる期間を最長6か月としたうえで、次のどちらかを満たす場合に限るとしています。この6か月は、最低賃金を下回る額を許可できる期間の上限です。

最低賃金の減額の特例が許可される要件

ア 当該地域における当該業種又は職種の本採用労働者の賃金水準が最低賃金額と同程度であること。
イ 当該地域における当該業種又は職種の本採用労働者に比較して、試の使用期間中の労働者の賃金を著しく低額に定める慣行が存在する等減額対象労働者の賃金を最低賃金額未満とすることに合理性があること。

(厚生労働省『最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアル』(平成22年3月24日基勤勤発第324001号))

アは本採用の人の賃金が最低賃金と同程度であること、イは試用期間中の賃金を著しく低く定める慣行があることを求めています。建設業の職人や施工管理で、本採用の賃金が最低賃金と同程度ということはまずありません。そうした慣行もありません。

この特例は建設会社ではまず当てはまりません。試用期間中でも最低賃金は下回れない前提で決めてください。

試用期間が終わったあとに下げるのは別の話

ここを混同している会社があります。試用期間が終わるときに新しい契約を結ぶわけではありません。大阪府の労働相談Q&Aはこう書いています。「試用期間終了後に新たな契約が締結されるわけではなく、採用時の契約で明示した労働条件を変更するには労使の合意が必要」(労働契約法第8条)。

採用のときに「本採用後は日給1万2,000円」と明示していれば、その条件が契約の内容です。試用期間中の働きぶりが思ったほどでなかったからといって、会社の判断だけで1万円に下げることはできません。

勤務評価が低いことを理由に本採用時に減額や降格をするには、あらかじめ就業規則に定めがあることが前提になります。そのうえで、労働者の自由な意思による同意が要ります。

試用期間中を低く、本採用後を高く設定する場合は、両方の額を採用の段階で示す必要があります。


求人票に書く義務がある

見落とされやすいところです。試用期間は、求人票に書く義務がある事項です。

職業安定法第5条の3は、求人の申込みや労働者の募集に当たって「従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。

明示する事項は同法施行規則第4条の2第3項に並んでいて、その第2号の二が「試みの使用期間に関する事項」です(職業安定法施行規則(e-Gov法令検索))。

さらに同条第6項に、こう書かれています。

法第五条の三第一項から第三項までの規定による明示は、試みの使用期間中の従事すべき業務の内容等と当該期間が終了した後の従事すべき業務の内容等とが異なる場合には、それぞれの従事すべき業務の内容等を示すことにより行わなければならない

試用期間中と終了後で条件が違うなら、両方を書くことになります。指針でも努力義務でもなく、省令で決まっています。

厚生労働省の要領も同じ内容です。「試用期間中と試用期間終了後の従事すべき業務の内容等が異なるときは、それぞれの従事すべき業務の内容等を示すことにより行わなければならないこと」(厚生労働省職業安定局『募集・求人業務取扱要領』(令和7年6月))。

賃金も同じ扱いです。大阪府の労働相談Q&Aは「試用期間中と試用期間終了後の賃金額が異なるときは、それぞれの賃金を労働者の募集時に明示しなければならない」と書いています(職業安定法第5条の3第1項)。

ハローワークの求人申込書にも欄がある

ハローワークの求人申込書には【試用期間】の欄があります。労働局の記入要領はこう案内しています。「試用期間が『あり』の場合はその期間を記入してください。試用期間中の労働条件が『異なる』場合は『試用期間中の労働条件の内容』に試用期間中の条件をできる限り詳しく記入してください」(広島労働局『求人申込書の書き方 事業主の方へ』)。

ハローワークインターネットサービスでも、「試用期間を設ける場合には、『試用期間』の欄に試用期間中の賃金額などの条件をできるだけ詳しく記載してください」と案内されています(ハローワークインターネットサービス『求人申込みに当たっての注意事項』)。

この明示の義務化は2018年1月からです。2024年4月に加わったのは別の3点で、業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期契約の更新上限でした(厚生労働省『2024(令和6)年4月1日施行 改正職業安定法施行規則』)。

書き方は2通りしかない

条件が違うなら両方を書きます。「試用期間3か月(期間中の日給は12,000円、本採用後は14,000円)」のような形です。

条件が同じなら、同じと書きます。「試用期間3か月(期間中も労働条件は本採用後と同じ)」で足ります。

避けたいのは、空欄にすることと「応相談」で逃げることです。空欄のままだと、応募者は試用期間がないものとして読みます。入社後に「試用期間中は日給を下げる」と言われれば、話が違うという反応になります。採用はそこで止まり、紹介会社経由なら会社の評判にも残ります。

手当と休日も同じです。試用期間中は資格手当を出さない、現場手当の単価が違うといった扱いをしているなら、その内容も書いておきます。

求人票全体の書き方は建設業の求人票の書き方に例文を載せています。ハローワークの申込書に落とす手順は建設業のハローワーク求人の出し方のほうに置いています。

室内のテーブルに広げた施工図を、安全ベストを着た2人が後ろ姿で覗き込んでいる様子
写真: ThisIsEngineering / Pexels

本採用を見送るのは、思っているより難しい

試用期間中も、労働契約は成立しています。試用期間が終わるときに本採用を拒否することは、法律の上では解雇です。

この契約の性質を「解約権留保付労働契約」と呼びます。会社が解約する権利を留保したまま結んだ労働契約、という意味です(三菱樹脂事件 最大判 昭48.12.12)。

判示の骨子はこうです。

解約権の留保は、採用当初は、その資質・性格・能力その他いわゆる管理職要員としての適格性などを判定する資料を十分に蒐集することができないため、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨でされるものであるが、これを行使できるのは、解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合に限られる

(厚生労働省『確かめよう労働条件』裁判例 採用の自由 に掲載された判示の骨子より)

本採用の拒否が認められるのはどういう場合か。前掲の三菱樹脂事件の判示として、大阪府の労働相談Q&Aは「企業が採用後の調査により、または試用期間中の勤務状態等により、採用時に知ることができない事実を知り、その事実に照らし、引き続き雇用することが適当でないと判断することが解約権留保の趣旨、目的に照らし合わせて客観的に相当であると認められる場合」と説明しています。

書類と面接で分かっていたことを理由にはできません。採用後に分かった事実が要ります。

問われるのは、見送る理由より指導の記録

能力や適性を理由にした場合、何が争点になるか。大阪府の労働相談Q&Aにこうあります。

「能力や適性の欠如を理由として本採用を拒否した事例においては、能力等が不足していることの立証の程度や、不足と判断した評価の妥当性、指導・研修等改善のための努力が尽くされたかが問題とされることが多い」。

3つです。足りないことを示せるか。評価が妥当か。改善のために指導したか。

行政の紛争処理でも同じ点が問われています。中央労働委員会のあっせん事例です。

電子部品製造業で従業員145人のY会社が、試用期間3か月で一般事務員としてXを採用しました。そして満了の直前に、会社の役員が本採用を拒否することを告げました。

あっせん員はY会社に対して、「試用期間中のXに対する上司の指導等に不十分な点が見られることなどから、本件解雇理由は過去の判例に照らすと合理性がないと判断される可能性がある」と説明しました。

Y会社は勤務成績から判断して本採用はできないとしたうえで、金銭による解決を希望し、解決金の額を調整して解決しています(中央労働委員会 あっせん事例[10]試用期間終了後の本採用拒否)。

建設業の事例ではありませんが、見送る理由より先に「指導した記録があるか」を問われるところは業種を問いません。

現場で「使えない」という評価が出ていても、記録がなければ説明できません。注意した日付と内容を1行残しておけば、それだけで話が変わります。

建設業では57.4%が「本採用しないことがある」

同じ調査に、本採用の運用を聞いた設問があります。

「本採用しないことがある企業」は全産業で63.1%、建設業は57.4%でした(n=375)。

一方で、打ち切りの基準を「設けている」のは全産業39.3%、建設業36.8%。「その時点で判断することで、特に基準は設けていない」が全産業55.9%、建設業58.4%です。

見送ることがある会社は57.4%、基準を決めていない会社は58.4%で、どちらもおよそ6割です。

基準を決めている会社の規定形式は、全産業で就業規則が88.2%(n=2,037)でした。

通知の時期は、全産業で「その期間が終わる前に余裕をもって伝える」が59.2%、「ケース・バイ・ケースで異なる」が34.5%でした。こちらは「本採用しないことがある」と答えた企業を母数にした割合です(n=3,273)。

就業規則に書く中身の手がかり

何をどう書くか迷ったら、厚生労働省のモデル就業規則が手がかりになります。

第6条はこうなっています。「労働者として新たに採用した者については、採用した日から か月間を試用期間とする」。続けて「試用期間中に労働者として不適格と認めた者は、解雇することがある。ただし、入社後14日を経過した者については、第53条第2項に定める手続によって行う」。

そして「試用期間は、勤続年数に通算する」とあります。勤続年数を数えるときに試用期間を除外しない、という条文です。退職金や勤続手当を勤続年数で決めている会社は、ここの扱いが変わります。

解雇事由の例は第53条第1項に挙がっていて、その⑤が「試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格であると認められたとき」です(厚生労働省『モデル就業規則』(令和7年12月版))。

作業能率と勤務態度の2つです。自社で見る3項目を決めるとき、この言い方を借りてもかまいません。

ここまでは一般的な決まりと裁判例の話です。実際に1人を見送るかどうかは勤務の中身で変わるので、社会保険労務士や弁護士に相談してから動いてください。


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辞められるのは、試用期間が終わる前

会社が見送るより前に、本人が辞めていくこともあります。

富山県建設業協会が会員企業513社に配った調査があります。374社が答え、回答率は72.9%。令和6年9月から10月の実施でした。

入社から1年以内の離職率は、令和4年度採用が7.8%(新卒7.1%、中途8.1%)。令和5年度採用が15.4%(新卒13.7%、中途16.1%)。令和6年度採用は調査時点で11.6%(新卒5.6%、中途16.4%)でした。

いずれの年度でも、中途が新卒を上回っています。令和4年度採用の3年以内の離職率は22.8%でした(一般社団法人富山県建設業協会『令和6年度 建設業の雇用実態と経営状況に関する調査報告書』)。

富山県の協会会員企業に限った調査です。建設業全体の数字ではありません。

同じ調査で、調査期間中の離職率を職種別に見ると、令和5年度採用では技術職が15.2%に対して技能職が33.9%でした。技能職のほうが2倍を超えています。

「建設業は離職率が高い」と一括りにはできない

全国の数字を見るときは、全産業と並べて確かめます。

就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が全産業(報告書の表記は「調査産業計」)36.9%に対して建設業は40.9%でした。建設業のほうが4ポイント高いです。

ところが新規大卒就職者では逆になります。全産業31.2%に対して建設業は26.8%で、4.4ポイント低いです(令和5年3月卒業者。厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)』)。

高卒では建設業のほうが高く、大卒では逆に低くなっています。建設業は離職率が高い、と一括りにする言い方は正確ではありません。

1年目だけを見ると、全産業で高卒17.4%、大卒11.0%です。高卒の3年以内離職36.9%のうち、半分近くが1年目に起きています。この報道発表には産業別の年次ごとの内訳が載っていないので、ここでは全産業の数字です。

事業所の規模でも差が出ます。高卒(令和5年3月卒)の3年以内離職率は、5人未満が61.3%、5人から29人が53.3%、30人から99人が45.5%、100人から499人が36.4%でした。小さい事業所ほど高いです。

そして建設業は小さい事業所に人が集まっています。30人未満規模の事業所で働く雇用者の割合は、2019年で59.9%。全産業では26.1%です(厚生労働省『建設雇用改善計画(第十次)』(令和3年4月)参考資料)。高卒の離職率が全産業より高い背景には、この規模の分布もあります。

辞めるのは3か月未満が最多

どの時期に辞めやすいと企業が見ているかを聞いた民間調査もあります。中途入社者が退職に繋がりやすい時期は「3ヵ月未満」が26%で最多でした。「1ヵ月未満」の8%を合わせると34%になります(エン・ジャパン株式会社『中途入社者の定着』実態調査(2024年))。

2024年10月から11月の調査で、対象は同社の採用サービスを使っている企業451社です。自社サービスの利用企業への任意回答なので、偏りがあります。全業種の数字でもあります。

企業が辞めやすいと見ている時期は、試用期間と重なります。会社が3か月で判断するより前に、本人が判断していることもあります。

入社3か月に面談を1本入れている会社がある

打ち手として公的な事例集に載っているものを2つ紹介します。

1つは京都市の会社です。施工管理の書類業務を請け負っていて、正社員は270人。正社員採用のうち中途が約98%で、未経験者が大半を占めます。

この会社は入社3か月程度の段階で人事が面談をしています。本人が抱えている課題について助言をしたり、望んだ働き方ができているかを確認する場です。入社3年後の定着率は5割から6割程度で、主な理由は仕事内容などのミスマッチだとされています(厚生労働省職業安定局『人材の確保・定着に成功した企業の取組事例集 〜採用活動のコツ〜』(2025年3月))。

もう1つは福岡県久留米市の土木工事会社で、従業員27名です。

きっかけは、就職担当の高校教員から言われた一言でした。「休日を確保できないと、誰も見向きもしない」。

この会社は採用の時点では専門知識を問わず、未経験者を入社後に育成する方針に切り替えました。休日が増えたことで、2020年から2023年に10代から30代の9名を採用しています。

育成の進め方も決めています。いつ誰がどの資格の受験資格を得られるかを事前に計画しておき、時期が来たら挑戦するよう促す形です(令和5年度 厚生労働省委託『地域の中小企業における人材確保方策に係る事例収集事業』成功事例集(2024年3月))。

青空の下でタワークレーンのブームと鉄骨の足場、足場の上に後ろ姿で立つ作業員
写真: Abdhul Masyh / Pexels

どちらも入社後に何をするかを先に決めています。長さを3か月にするか6か月にするかより、最初の3か月に何をするかを決めるほうが効果が出ます。

重いことをしなくてかまいません。入社3か月の時点で面談を1本入れます。そのうえで、教えたことの確認を工程に入れておきます。この2つからで足ります。

辞める理由ごとの打ち手は建設業の離職率を下げる定着施策に載せています。入社前に潰せるズレについては建設業の採用ミスマッチのほうです。


決めることを1枚にまとめる

決める項目は7つです。

  • 試用期間の長さ(経験者と未経験者で分けるか)
  • 期間中の条件。賃金、手当、休日が本採用後と同じか違うか
  • 延長の有無と、延長する場合の事由と期間
  • 本採用の判断で見る3項目
  • 判断を伝える時期と、伝え方
  • 求人票への書き方。違うなら両方、同じなら同じと書く
  • 就業規則への記載

A4で1枚に収まります。これがあると、求人票を直すときも面接で説明するときも同じ内容を使えます。

試用期間の決め方は社外に出せないが、運用は任せられる

7つのうち、社外に出せないものがあります。長さをどうするか。何を見て判断するか。これらは自社の工事の内容と現場の回し方で決まるので、社外の人間には決められません。

外に出せるのはそのあとです。決まった条件を求人票にどう書くか。応募者にどう伝えるか。入社後3か月の面談をどう回すか。ここは任せられます。

建設業の採用は、1つの手法では母集団ができない

試用期間の決めごとを直しても、応募がなければ使う場面が来ません。建設業の採用は、求人媒体と人材紹介とスカウトを組み合わせないと母集団ができません。どれか1つだけを選ぶものではありません。

人材紹介は、建設業の有資格者を確実に採れる主力の手法です。1級の施工管理技士や経験のある職長に手が届きます。手数料は全業界平均で30〜35%、建設業の施工管理では主流45%。1級保持の所長クラスや急募の希少人材では60〜70%まで上振れることがあります。

金額だけ見ると高く感じますが、使い方しだいで効き方が変わります。要件の伝え方や返信の早さ、見送ったときのフィードバック、複数社への優先度のつけ方が揃っている会社には、良い候補者が先に回ってきます。

紹介会社の契約社数は増やす方向で考えてかまいません。手数料は採用が決まったときに払う形が主流なので、契約するだけなら費用はかかりません。ヘッドハンター系には着手金があるので、そこは確認が要ります。

社数が増えればやり取りも増えます。社内の窓口を1人に決めて、全社に同じ要件の1枚を渡して回します。手が足りなければ、そのとりまとめを採用代行に任せます。

役割の分け方

専任の人事を置くかどうかは、あとから考えてかまいません。まず建設特化の採用代行と組む形を基本線に置き、社内から何人出すかはそのあとで決める順番です。

試用期間まわりを含めた採用の役割分担

誰が何を
社内+採用代行で一緒に求める人物像と採用要件の整理。試用期間で見る3項目を言葉にする作業
社内面接、最終判断、内定承諾の最後のひと押し。本採用の判断も社内で行います
採用代行運用全般。求人票の作成と改訂、求人媒体、スカウト、応募者対応、日程調整、紹介会社のとりまとめ

当社の支援経験をもとに作成

当社は月額20万円(税別)〜で、これに求人媒体の費用が別でかかります。他社と並べるときは「月額20万円〜+媒体費」の合計で比べてください。

採用代行は業務委託契約なので、採用人数を書面で約束することはできません。書面に入れられるのは業務の量で、スカウトの送信通数、求人票の改訂本数、応募者への連絡までの時間、紹介会社との定例の頻度などです。

当社が支援した福島県のA社(総合建設・従業員50名)では、応募が2.4倍になり、年間13名の採用につながりました。

試用期間の条件を決める作業そのものは、社外に丸投げできません。そのうえで、求人票への書き方から応募者対応までを外に出します。こういう選択肢もある、という程度に見てもらえれば十分です。法律の個別の判断は、社会保険労務士や弁護士に確認してください。


よくある質問

試用期間は3か月と6か月のどちらがいいですか?

自社と同じ工種の経験者なら3か月で足ります。未経験者は6か月にしておくほうが、判断する材料が集まります。建設業の中途採用では3か月が67.3%、6か月が21.1%でした。

職種で分けるのが分かりやすいです。施工管理の経験者は3か月、未経験の技能者は6か月とし、求人票にもそのとおり記載します。

試用期間を延ばしてもいいですか?

できますが、条件があります。1つは、就業規則に延長の可能性と事由と期間を書いておくことです。もう1つは、さらに調査を尽くして職務能力や適格性を見極める必要があるなどのやむを得ない事情が認められる場合に、本人の同意を得て必要最小限度の期間にとどめることです。裁判例はこの2つの線で判断しています。

ただ、建設業で延長する会社は28.8%で、「延長することはない」が70.4%でした。はじめから6か月にしておくほうが揉めません。

試用期間中の日給を下げられますか?

下げられます。契約か就業規則に書いてあり、業種や職種の実情から見て合理性があることが条件です。

最低賃金は下回れません。下回るには都道府県労働局長の許可が要りますが、許可の要件は本採用の人の賃金が最低賃金と同程度であることなどで、建設会社ではまず当てはまりません。日給制なら、日給を所定労働時間で割った額で確認します。

下げるなら、求人票に試用期間中の額と本採用後の額の両方を書く義務があります。

求人票に試用期間を書かないとどうなりますか?

職業安定法第5条の3と同法施行規則第4条の2が、試用期間に関する事項を明示するよう定めています。書く義務がある事項です。

実務で先に起きるのは、入社後の食い違いです。空欄のままだと応募者は試用期間がないものとして読みます。入社初日に「3か月は日給を下げる」と言われれば、話が違うという反応になります。

ハローワークの求人申込書には【試用期間】の欄があり、試用期間中の労働条件が異なる場合はその内容を詳しく記入するよう案内されています。


まとめ|3か月で判断し切る前提で、見る3項目と求人票の書き方を先に決めます

まとめると2点です。

1点目は、法律が決めていることと会社が決めることの切り分けです。法律が決めているのは、14日を超えて働かせたあとの解雇予告と、入社と同時の社会保険・雇用保険・労災の加入です。予告は30日前か、30日分以上の平均賃金が要ります。試用期間の長さに決まりはなく、そこは会社が決めます。

2点目は、決めるものが2つあることです。その期間で見る3項目を決めます。そして求人票への書き方を決めます。試用期間中と終了後で条件が違うなら両方を書く義務があり、同じなら同じと書きます。

建設業では延長しない会社が70.4%です。3か月で判断し切る前提なら、その3か月に面談を1本入れておくほうが、長さを6か月に伸ばすより効果が出ます。

自社の求人票と就業規則の試用期間の記載があれば、どこを直すかを一緒に見られます。

試用期間の書き方から応募者対応まで、どこを任せるか一緒に決めませんか?

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