電気工事士の有効求人倍率3.81倍、第一種は2万人不足

電気工事士の有効求人倍率は3.81倍です。全業種の平均は1.17倍ですから、3倍以上の開きがあります(厚生労働省『一般職業紹介状況』2025年6月分・パート除く)。

経済産業省の試算では、第一種電気工事士はベテランの一斉退職により、2020年ごろから約2万人が不足しています。第二種電気工事士も入職者が減り、約3千人の不足が見込まれています(経済産業省『電気工事士に関する報告書』)。

太陽光発電、蓄電池、EV充電設備。新築やリフォーム以外の電気工事の仕事が、ここ数年で増え続けています。

求人倍率が当面下がる見通しは立ちません。

結論から言うと、電気工事士の採用は第二種の未経験/第二種の有資格者/第一種の経験者の3つの層に分けて考えます。同じ求人票と同じ媒体で3層すべてを狙うと、どの層にも届きません。

採用の全体設計は建設業の採用戦略ガイド、媒体の組み合わせ方は建設業の採用媒体完全比較ガイドもあわせてご覧ください。


電気工事士の採用が難しい3つの理由

理由1|50歳以上が5割超、若手が薄い

経済産業省の電気工事業実態調査では、電気工事士の50歳以上が全体の約5割を占めます。20代以下は約1割です。

建設業全体は55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%(国土交通省『最近の建設産業行政について』)。それと比べても、高齢化が一段進んだ職種だとわかります。

10年後にベテランが一斉に引退すれば、人手不足はさらに進みます。

理由2|資格のハードルが思い込みになっている

電気工事士は国家資格が要ります。ただ、第二種の合格率は筆記が約60%、技能が71.4%。決して低い数字ではありません(電気技術者試験センター)。

問題は求職者側の思い込みです。「資格がないと応募できない」と考えて、応募の入口で手を止めてしまいます。

入社後に第二種を取らせる会社は増えています。それが求人票で伝わっていないと、取りこぼしになります。

理由3|再生可能エネルギーとEVの需要で他業界とも取り合いになる

太陽光や蓄電池、EV充電設備、データセンターや半導体工場に関わる電気工事の仕事が、ここ数年で大きく増えました。

電気工事士の取り合いは、もう建築の電気工事だけの話ではありません。エネルギー業界やIT業界とも競合します。

「給与を上げても採れない」「他社に持っていかれる」。この実感の裏には、こうした需要の広がりがあります。

壁のコンセントとスイッチをペンチで結線している電気工事の手元
写真: Ksenia Chernaya / Pexels

資格と経験で分ける3つの層

資格と経験で分けた採用の進め方

主な採用方法採用単価の目安育成にかかる時間
第二種・未経験新卒・第二新卒+資格取得支援30〜70万円1年で第二種取得・3年で戦力化
第二種・有資格・経験浅め業界特化型サイト+ハローワーク+社員紹介20〜80万円入社後すぐ現場に入れる
第一種・経験者人材紹介+ダイレクトリクルーティング(直接スカウト)+業界特化型サイト250万円前後すぐ戦力になる

経済産業省の公開データおよび建設業採用支援の実務をもとに作成

第二種・未経験の層

候補がいちばん広い層です。工業高校や専門学校の卒業生、他業種からの転職組が中心になります。

  • 求人票に「第二種は入社後の取得でOK」「受験費用は全額会社負担、合格祝い金5万円」と書く
  • 入社6か月で第二種、3年で第一種に挑戦、という道筋を求人票で見せる
  • 工業高校や職業訓練校との付き合いを続け、毎年の応募につなげる

第二種の有資格者で経験が浅い層

第二種を取って2〜5年の若手です。業界特化型の求人サイト、ハローワーク、社員紹介で会いやすい層になります。

  • 工事士.comやGATEN職など、電気工事に絞ったサイトに掲載する
  • ハローワーク経由で30〜40代の転職者に届ける
  • 社員紹介の制度を作り、「同じ現場で見知った人」を呼び込む

第一種の経験者の層

いちばん採りにくく、費用も上がる層です。

  • 人材紹介で年収550万〜700万円の層を取りに行く
  • ダイレクトリクルーティングで、転職サイトに登録していない層へ直接声をかける
  • 給与の幅、残業時間、直行直帰の可否を求人票に書く

求人票の作り方は建設業の求人票の書き方に、7つのコツとビフォーアフターの例文を載せています。


採用単価の目安と手法ごとの違い

電気工事士1名あたりの採用単価は、業界全体でおよそ100万〜200万円です。第一種の経験者はこの水準を上回ります。使う手法によっても大きく変わります。

電気工事士 手法別の採用単価の目安

手法料金の形1名あたりの目安
人材紹介決まったときに支払う年収550万円で手数料45%なら約250万円
総合転職サイト(マイナビ・doda等)掲載料30〜70万円
業界特化型サイト(工事士.com・GATEN職)掲載料20〜55万円
Indeed・求人ボックスクリック課金10〜40万円
ハローワーク無料0〜10万円(社内の手間を金額に直した分)
社員紹介報奨金10〜30万円
採用代行月額固定月額20万円〜+媒体費。複数の手法をまとめて運用

各社の公開情報および業界相場をもとに作成

人材紹介の手数料は、建設業では45%が主流です。経験の長い有資格者や、急いで採りたい希少な人材では60〜70%まで上振れるケースもあります。

数字だけ見ると高く感じます。それでも人材紹介は、有資格者を確実に採れる主力の手法です。避ける対象ではなく、使い方しだいで効き方が変わる手法だと考えてください。

要件の伝え方、書類の返事の速さ、見送った理由のフィードバック。この3つを直すだけで、紹介会社から出てくる人の質は変わります。

第二種の若手であれば、業界特化型サイトと社員紹介を軸にすることで、1名100万円以下に収まる場合もあります。

媒体ごとの詳しい比較は建設業の採用媒体完全比較ガイドにまとめています。


採用単価を抑える4つの方法

方法1|業界特化型の求人サイトを軸にする

総合転職サイトは登録者が多い一方で、電気工事士を志望する人の割合は限られます。

工事士.com、GATEN職、建職バンクのような業界特化型は、登録者の関心が電気工事に絞られています。その分、応募から面接までの歩留まりが上がります。

初めて求人を出す中小の電気工事会社なら、業界特化型サイト+Indeedの有料枠+engageの無料枠の3つから始める形が扱いやすいです。月に数万円から10万円ほどの媒体費で、応募を集める土台ができます。

方法2|SNSと動画で職種そのものを知ってもらう

見落とされがちなのが、電気工事士という仕事の知名度です。親族や知人に同業者がいない限り、就職先の候補として思い浮かべてもらえません。

TikTokやInstagramのリール、YouTubeのショート動画で、現場の短い動画を週1〜2本出し続けます。半年ほど続けると、応募の入口の一つになります。

配線の美しさや、通電した瞬間の達成感、スマートホームの工事は、どれも画になる題材です。

電気工事の現場に置かれた工具箱と充電式ドリル
写真: Anete Lusina / Pexels

方法3|未経験から育てる仕組みを作る

第二種を入社後に取らせる前提にすると、候補は工業高校の卒業生や他業界からの転職組にまで広がります。

資格取得の道筋を求人票で見せられる会社は、未経験層からの応募率が一段上がります。

  • 入社6か月で第二種、3年で第一種に挑戦するという道筋
  • 受験費用は全額会社負担、合格祝い金は第二種3万円・第一種5万円
  • 資格手当は第二種が月1万円、第一種が月2万円

金額まで書くだけで、他社の求人票との差がつきます。

方法4|採用代行で複数の手法をまとめて回す

第二種の若手には業界特化型サイトと社員紹介、第一種の経験者には人材紹介とダイレクトリクルーティングを使います。層ごとに使う手法が変わります。

これを社内で同時に回すのは、採用の専任者がいない会社にはかなり重い作業です。媒体の仕様も紹介会社の顔ぶれも、毎年のように変わります。

そこでまず、建設業に特化した採用代行と組むのを基本線に置いてください。そのうえで、社内にどこまで人を割くかを考える順番をおすすめしています。

採用代行は求人票づくり、媒体の運用、スカウトの送信、応募者への連絡、日程調整までを引き受けます。紹介会社のとりまとめもここに含まれます。月額20万〜30万円の建設特化型から始められます。

紹介料に採用代行費が上乗せされて二重に高くなる、という話ではありません。丸投げで決まらない、ミスマッチで早期に辞める。こうしたムダが減るぶん、1名あたりの実質的な費用はむしろ下がります。

仕組みは採用代行(RPO)とは?、金額の目安は採用代行の費用相場ガイドにまとめています。

電気工事士の採用、資格層別の打ち手を壁打ちしませんか?

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求人票で応募率を上げる5つの項目

電気工事士の求職者が求人票で見るのは、判断に使える具体的な情報です。

電気工事士の求人票チェックリスト

項目NG例OK例
年収・月給月給25〜45万円経験3年・第二種で月給28万円(年収の目安400万円)/経験10年・第一種で月給40万円(年収の目安580万円)
資格手当資格手当あり第二種は月1万円、第一種は月2万円、認定電気工事従事者は月5,000円
仕事の中身電気設備工事全般住宅と小規模店舗の屋内配線が中心。新築7割、リフォーム3割
1日の流れ記載なし8:00 朝礼・現場入り→12:00 昼休憩→17:00 撤収。直行直帰OK
応募のしやすさ要履歴書・要面接履歴書なしのWeb応募、LINE応募、30分の面談から

建設業採用支援の実務をもとに作成

現場で長く働いてきた人ほど、書類作成やスーツでの面接をおっくうに感じます。応募の入口を軽くするだけでも、応募数は変わります。

応募の条件を緩めたら、0件が6件になった

神奈川県の電気工事会社(従業員20名)が求人票の応募条件を緩めたところ、それまで0件だった応募が6件入りました。求人票の条件だけで、応募の入口はここまで動きます。


中小の電気工事会社が採用に成功した2社の事例

会社名は伏せ、都道府県と業種と規模でご紹介します。

大阪府の設備工事D社(従業員30名規模)

電気工事士を年2〜3名採りたいのに、Indeedと求人ボックスで応募が月1件あればいいほう、という状態でした。

写真ゼロだった求人票に、現場の作業風景、工具、社員の集合写真を5枚追加。資格手当(第二種月1万円・第一種月2万円)と直行直帰可を書き足しました。

3か月で応募が月5件に増え、半年で2名の採用に至っています。求人票の作り直しだけで、応募の入口が動いた例です。

福島県の総合建設業A社(従業員50名規模)

電気工事士の社員紹介を制度にしたところ、年2名の紹介採用が安定して出るようになりました。報奨金は入社時に10万円、3か月定着でさらに10万円。社内チャットで毎月声をかけ続けたことで、紹介が途切れない状態になっています。

あわせて採用代行(月額20万円)で求人広告と紹介会社の運用も並行し、年間13名(うち電気工事士4名)の採用に至りました。

配電線が張られた電柱を見上げたところ
写真: Matthias Schleiden / Pexels

よくある質問

Q. 電気工事士の有効求人倍率はどれくらいですか?

2025年6月時点で3.81倍です(パート除く)。全業種平均の1.17倍と比べて3倍以上の水準になります(厚生労働省『一般職業紹介状況』)。

Q. 採用単価はいくらくらいかかりますか?

業界の平均でおよそ1名100万〜200万円です。第一種の経験者を人材紹介で採る場合、年収550万円に対して手数料45%なら約250万円になります。第二種の若手を業界特化型サイトと社員紹介で採るなら、100万円以下に収まる場合もあります。

Q. 未経験者でも採用できますか?

採用できます。第二種を入社後に取らせる会社が増えています。受験費用の全額負担、合格祝い金、資格手当をひとまとめにして求人票に書くと、未経験層からの応募が増えます。工業高校や職業訓練校とのつながりも役に立ちます。

Q. 第一種の経験者を採るにはどうすればいいですか?

人材紹介とダイレクトリクルーティングを組み合わせる形が基本です。建設業に特化したスカウトのサービスを使うと、汎用のビズリーチより出会える人の濃さが上がります。年収、残業時間、直行直帰の可否を求人票に書くと、応募率も上がります。

Q. 社員紹介は本当にコストが下がりますか?

下がります。報奨金は1名10万〜30万円で、人材紹介の200万円台と比べれば桁が違います。定着率も高い傾向があります。

ただし社員数に応募数が左右されるため、年5名以上を続けて採る規模には届きません。求人広告や紹介会社と組み合わせて使う形になります。


まとめ|電気工事士の採用は資格層と手法の組み合わせで決まる

  • 有効求人倍率は3.81倍。第一種は約2万人不足で、再生可能エネルギーやEVの需要で他業界とも取り合いになる
  • 打ち手は第二種の未経験/第二種の有資格者/第一種の経験者の3層で分ける
  • 採用単価の目安は100万〜200万円。第一種の経験者を人材紹介で採ると250万円前後、第二種の若手なら業界特化型サイトと社員紹介で抑えられる
  • 4つの方法は業界特化型サイト/SNSと動画/未経験の育成/採用代行で手法をまとめる
  • 求人票には資格手当の金額、1日の流れ、応募の入口の軽さを書く
  • 社員紹介は1名10万〜30万円で定着率も高い。求人広告や紹介会社と組み合わせる

同じ手法をすべての層に当てるのではなく、層ごとに使い分けてください。ここが採用単価を抑える出発点になります。

次の一歩として、費用の全体像は建設業の求人費用、他社の動き方は建設業の採用成功事例5選もあわせてご覧ください。

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