「地域を支える仕事」と書いても、応募は来ません

結論から言うと、求人の一行で効くのは会社の思いではありません。職種名と、最初の数行に入れた具体です。

2026年8月、建設躯体工事従事者(とび、鉄筋、型枠など)の有効求人倍率は8.25倍でした。求職者1人を、8件を超える求人が奪い合っている状態です。

全職業をまとめた職業計は1.06倍。建築・土木・測量技術者は5.71倍、建設・採掘従事者は5.10倍、建設従事者(躯体工事を除く)は4.37倍です。

建設・採掘従事者で実数を見ると、有効求人115,371人に対して有効求職者は22,633人でした。いずれも常用(パートを含む)の数字で、2026年8月時点のものです(厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年8月分)』)。

パートを除いた系列では数字が変わります。他社の資料や業者の提案書と見比べるときは、系列と時点をそろえてください。

この倍率が意味するのは、求職者が選ぶ側だということです。

「未来をつくる仲間募集」「地域の未来を支える仕事」「人と街をつなぐ仕事」。建設業の求人を検索すると、こうした言葉が並びます。

1件だけ見れば悪くありません。社内の会議でも通ります。

ところが求職者の画面には、同じ地域の同じ職種の求人が5件並びます。そこで「地域を支える仕事」が3件重なります。

どれがどの会社か、区別がつきません。

区別がつかない求人は、開かれずに流れていきます。言葉が悪いのではなく、どの会社にも当てはまる言葉だから選ばれないだけです。

求職者が見ている場所と、会社が力を入れている場所がずれている、という調査もあります。

求人情報を見るときに重視する情報として「業種・職種・仕事内容」を挙げた求職者は75.8%。企業側が「求職者は重視しているだろう」と答えたのは64.8%でした。

逆に「給与・待遇」は、求職者35.5%に対して企業の認識が54.4%。入社先を決めるときの「仕事内容」も、求職者53.2%に対して企業の認識は34.5%です(株式会社学情『20代転職意識調査』(2026年9月28日発表))。

20代の転職希望者186件・企業281件の民間調査で、建設業に限った数字ではありません。そのまま自社に当てはめる数字ではないものの、会社は待遇の見せ方を気にして、求職者は仕事の中身を見ている、という傾向は読み取れます。

キャッチコピーの正体は、気の利いた一文ではありません。職種名と、そのすぐ下に並ぶ数行のことです。


求職者が最初に見るのは、職種名です

ハローワークの検索結果の一覧に出る情報は、決まっています。

職種、求人区分、事業所名、就業場所(市区町村まで)、仕事の内容、雇用形態、賃金、就業時間、休日、年齢など。このうち仕事の内容は、先頭から90文字分だけが表示されます(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『求人情報の入力のしかた』)。

求職者が一覧でスクロールしながら見ているのは、ほぼ職種名と、この90文字です。

求人票の本文をどれだけ丁寧に書いても、一覧の段階で開かれなければ読まれません。

青空を背景に見上げた建設現場の足場。鋼管が幾何学的に交差している
写真: David Underland / Pexels

アイコンで自動的に出る12項目に、枠を使わない

ハローワークの求人情報には、条件を満たすと自動でアイコンが表示される項目が12種あります。

経験不問、学歴不問、資格不問、時間外労働なし、週休二日制(土日休)、転勤なし、書類選考なし、通勤手当あり、駅近(徒歩10分以内)、マイカー通勤可、UIJターン歓迎、トライアル雇用併用。この12個です(同資料)。

ここが見落とされます。

「経験不問」「週休二日制(土日休)」「マイカー通勤可」は、求人票の該当欄を埋めれば、一覧の画面にアイコンとして出ます。

それを仕事の内容の冒頭に書き写すと、貴重な90文字がアイコンと同じことの繰り返しで埋まります。

90文字の使い分け

アイコンで表せる条件(経験不問・週休二日制・マイカー通勤可など)は、求人票の該当欄を埋めて終わりにします。

冒頭の90文字は、アイコンで表せないことに使います。担当する工事の種類、現場の場所、1日の動き方、入社後に誰が教えるか。この4つは、アイコンでは伝わりません。

厚生労働省が「専門用語や企業独自の呼称を避けた表現で」と書いています

【職種】欄について、公式の入力要領にはこうあります。

「どのような職業かを求職者がイメージしやすいよう、専門用語や企業独自の呼称を避けた表現で入力してください」(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『求人情報の入力のしかた』)

【仕事の内容】欄についても、「求職者が最も重要視する項目の一つです。詳しく説明することで、求職者の方の疑問やとまどいを解消し、応募者が増えることにつながります」と明記されています(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『求人申込書の書き方』)。

社内で30年使ってきた呼び方は、社内では通じます。求職者の検索窓では通じません。

求人票の各欄をどう埋めるか、出し方の手順そのものは建設業のハローワーク求人の出し方にまとめています。この記事では、言葉の選び方だけを扱います。


職種名の言い換え|10職種の対応表

建設業10職種|社内の呼び方と、求職者が探している言葉

社内でよく使う呼び方求職者が探している言葉職種名に足す一言(自社の事実で埋める)
工事担当・主任・所長施工管理/現場監督担当する工事の種類(住宅リフォーム・内装・外構)と、1人が同時に持つ現場の数
監督・職長現場監督/施工管理/工事担当直行直帰ができるか、担当エリア(◯◯市内中心・車で30分以内)
鳶・足場屋とび職/鳶職/足場組立扱う足場の種類(くさび式・枠組)と、泊まりがけの現場があるか
大工・手間請け大工/造作大工/木工事新築か改修か、手刻みかプレカットか
鉄筋・結束鉄筋工/鉄筋施工加工場での作業か現場での作業か、資格取得の費用を会社が出すか
電工・電気屋電気工事士/電気工事/電気施工管理第二種で応募できるか、扱う物件(戸建・店舗・工場)
土工・手元・作業員土木作業員/土木スタッフ/現場スタッフ公共工事か民間工事か、作業の中身(掘削・舗装・管の布設)
CADオペ・図面屋CADオペレーター/建築CAD/製図使うソフトの名前、在宅勤務ができる日があるか
オペ・重機乗り重機オペレーター/建設機械オペレーター乗る機械(バックホウ・クレーン)と、免許の取得を会社が支援するか
測量班・外業測量士/測量補助/測量スタッフ外に出る作業か事務所での作業か、使う機器(トータルステーション・ドローン)

職種名の書き方の見本です。右の列は自社で確認できる事実に置き換えてから使ってください。求職者が使う語は厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『求人情報の入力のしかた』の【職種】欄の入力要領(専門用語や企業独自の呼称を避ける)をもとに当社が作成

真ん中の列は、検索窓に打ち込まれる言葉です。

「手元」で求人を探す人はいません。「土木作業員」「現場スタッフ」で探します。

右の列が、この記事でいちばん伝えたいところです。

職種名のうしろには、会社の思いではなく、自社で確認できる事実を足します。担当する工事の種類、現場の場所、資格の支援があるか、泊まりがあるか。

事実なので、盛りようがありません。盛りようがない言葉は、入社後にずれません。

職種名を変えて、応募0名が5名になった事例

兵庫県神戸市で小規模な修繕工事を手がけるA社の例です。

もとの職種名は「施工管理」だけでした。これを「【正社員】男女 現場担当・お客さま窓口/経験不問・資格不要」に変えたところ、応募が0名から5名に増え、面接3名、採用1名という結果になりました。

この例の出稿先はハローワークではないので、アイコンと重複する「経験不問・資格不要」も職種名に入っています。

同じ記事では、ほかの言い換え案も挙げられています。「工事管理アシスタント/未経験から施工管理を目指せる」「小規模修繕の現場担当(施工管理見習い)」「工事の手配・進行サポート」「建物修繕の現場管理アシスタント」(『施工管理』の募集事例から考える、仕事内容が伝わる募集職種名の付け方)。

ここは正直に書いておきます。これは求人広告代理店が自社サイトで紹介している事例で、会社名はA社と匿名、掲載した媒体名も期間も書かれていません。数字の裏取りはできません。

それでも参考になるのは、変えた中身がはっきりしているからです。

変わったのは職種名だけです。仕事の中身も、給与も、会社も同じです。「施工管理」という4文字に、誰が何をするのかという情報を足しただけで、画面の向こうの見え方が変わりました。

社内の呼び方は、検索に引っかかりません

求人票を書くのは、現場を知っている人です。だから社内の言葉がそのまま出ます。

「◯◯工事部 技能職」「作業員(手元)」「現場技術員」。社内では一発で伝わります。

転職サイトで「現場技術員」と検索する人は、ほとんどいません。求職者が打つ言葉で検索したときに、一覧に出てきません。

判断に迷ったら、自社の求人をスマートフォンで検索してみてください。自分の会社の求人が、求職者が打ちそうな言葉で出てこないなら、職種名から直す番です。


一行に入れるのは、会社の思いではなく、求職者の不安への答えです

職種名を直したら、次は90文字の中身です。

初めて勤めた会社をやめた理由(若年層・3つまで複数回答)

出典: 厚生労働省『令和5年若年者雇用実態調査の概況』より作成

やめた理由の1位は労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった(28.5%)でした。人間関係がよくなかったが26.4%、賃金の条件がよくなかったが21.8%、仕事が自分に合わないが21.7%と続きます。

これは全産業の数値で、この表に建設業の内訳はありません(厚生労働省『令和5年若年者雇用実態調査の概況』)。

とはいえ、上位4つのどれも、求人の一行で触れられる話です。

賃金より先に休日と時間が来ている点は、覚えておく値打ちがあります。「高収入」と書くより、「土日休み。繁忙期の土曜出勤は月◯回まで」と書いたほうが、やめた理由の1位に直接答えています。

「同年代がいないのでは」という不安に、人数で答える

建設業の就業者は477万人(令和6年平均)。このうち55歳以上が36.7%で、全産業の32.4%より高くなっています。

29歳以下は建設業が11.7%、全産業が16.9%でした(国土交通省『建設業を巡る現状と課題』(令和7年9月)。総務省『労働力調査』をもとに国土交通省が作成)。

若い応募者は数字を知りません。それでも「入ったら自分1人だけ若いのでは」という不安は持っています。

ここに効くのは、自社の人数です。

「20代が3名、30代が4名います」「直近2年で入社した5名のうち、4名が未経験でした」。こう書けば、不安への答えになります。

数えればわかる事実なので、手間もかかりません。

白い図面の上で定規とペンを持ち線を引く両手のクローズアップ
写真: SHVETS production / Pexels

「週休2日」と書くなら、自社の実績が要ります

日本建設業連合会の調査では、2025年度上半期に4週8閉所以上を達成した作業所が全体の66.4%でした。前年同期より5.3ポイント増えています。

土木は75.8%、建築は57.4%。調査期間は2025年4月から9月、会員141社のうち95社が回答し、11,590現場が対象です(日本建設業連合会『週休二日実現行動計画 2025年度上半期フォローアップ報告書』)。

この数字の読み方には、2つ注意が要ります。

1つは、日建連の会員企業、つまり大手ゼネコンの作業所を数えたものだという点です。中小の建設会社の実態ではありません。

もう1つは、これが「現場が閉まっていたかどうか」を数えたもので、「社員1人ひとりが休めたかどうか」ではないという点です。現場が閉所でも、事務所で図面を引いていた人はいます。

業界全体で週休2日に向かっているのは確かです。ただ、自社の求人に「完全週休2日制」と書けるかどうかは別の話です。

書けるのは、自社のタイムカードで数えられる数字だけです。「年間休日105日」「4週6休。2026年度中に4週8休へ移行予定」。この書き方なら、入社後に食い違いません。


実態とずれると法律に当たる言葉

採用に困っている会社ほど、言葉が強くなります。そこに落とし穴があります。

職業安定法第5条の4第1項は、求人や募集に関する情報について「虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない」と定めています(厚生労働省『職業安定法』)。

厚生労働省の運営要領には、キャッチコピーに直接関わる留意点が2つ挙がっています。

1つは、月給・時間給などの賃金形態、基本給、定額の手当、通勤手当、昇給、固定残業代などを、実際よりも高額であるかのように表示してはならないこと。

もう1つは、職種や業種について、実際の業務の内容と著しく乖離する名称を用いてはならないことです(厚生労働省『職業紹介事業等の業務運営要領』、厚生労働省『求人企業の皆さまへ』)。

求人でよく見る書き方と、書き換えの例

よくある書き方何に当たるか書き換えの例
高収入・好待遇・業界トップクラスの給与職業安定法第5条の4第1項。賃金を実際より高額であるかのように表示することは認められていません「月給25万円〜32万円(入社3年目のモデル月給28万円)」と実額で示す
建設プロデューサー・施工アドバイザー(実際は現場作業)同項。実際の業務の内容と著しく乖離する名称にあたります「土木作業員(掘削・舗装)」のように、実際にやる作業で示す
完全週休2日制(実際は4週6休)同項の誤解を生じさせる表示。入社後に食い違いが出ます「4週6休・年間休日105日。2026年度中に4週8休へ移行予定」と現状で示す
体力自慢歓迎・力仕事に自信のある方男女雇用機会均等法第7条(間接差別)。合理的な理由がないのに体力を要件にすることは認められていません「30kg程度の資材を1日に数回運ぶ作業があります」と業務内容で示す
男性歓迎・◯◯マンなど性別を表す職種名男女雇用機会均等法第5条。一方の性を優遇する表現や、性別を表す名称での募集は違法事例に挙げられています「営業スタッフ」「現場スタッフ」と、性別に触れず職種で示す
35歳まで・若い方歓迎労働施策総合推進法第9条。募集・採用では原則として年齢を問わないことが求められます「年齢不問。資材の上げ下ろしがあるため、持久力と筋力が要ります」と業務と能力で示す
アットホームな職場・やりがいのある仕事法律には当たりません。ただし同じ地域の同業他社も同じ言葉を使っています「入社1年目は先輩と2人1組で現場に入ります」と、社内で確認できる事実で示す

厚生労働省『職業紹介事業等の業務運営要領』、厚生労働省『男女均等な採用選考ルール』、厚生労働省『その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?』をもとに当社が作成

虚偽の広告には罰則があります

職業安定法第65条第9号は、「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集…を行い、又はこれらに従事したとき」に、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金を定めています(厚生労働省『職業安定法』)。

インターネット上の解説では「第65条第8号」「6月以下の懲役」と書かれたものが多く残っています。条番号も刑の名称も改正されているため、現行は第65条第9号・拘禁刑です。

「体力自慢歓迎」が建設業に直撃する理由

男女雇用機会均等法第7条は、間接差別を禁じています。合理的な理由がない場合に、募集・採用で労働者の身長・体重・体力を要件とすることは違法です。

厚生労働省のパンフレットは、違法となる例としてこう挙げています。

「荷物を運搬する業務で、すでに運搬等をするための設備や機械等が導入されていて、日常業務を行う上では筋力は必要ないのに、一定以上の筋力があることを要件とする」(厚生労働省『男女均等な採用選考ルール』)。

建設業の求人でよく見る「体力自慢歓迎」「力仕事に自信のある方」は、ここに引っかかる可能性があります。

線引きは、実際にその筋力が要る業務かどうかです。重機や揚重設備で運んでいるのに「体力」を条件にすると、合理的な理由を説明できません。

書き方は、能力の有無ではなく作業の中身にそろえます。「30kgの資材を人力で上げ下ろしする作業が1日数回あります」と書けば、求職者も自分でできるか判断できます。

年齢で切らず、業務と必要な能力を書く

労働施策総合推進法第9条により、募集・採用の際は原則として年齢を問わないことになっています。求人広告だけでなく、自社の採用ホームページで直接募集する場合も対象です。雇用の形態も問いません。

厚生労働省のリーフレットは、違反例として「ハードな重労働。高齢者には到底無理!40歳以下で募集します」を挙げています。

そのうえで、書き換えの例をこう示しています。

長距離トラック運転者(年齢不問)/長距離トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復。資材(50kg程度)を上げ下ろしする業務であるため、この業務を継続していくためには、持久力と筋力が必要です。

年齢で切る代わりに、業務の中身と必要な能力を書く。これが厚生労働省の示した型です(厚生労働省『その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?』)。

このリーフレットは旧「雇用対策法」の名称で作られていますが、2018年の改正で労働施策総合推進法に改称され、旧第10条が現行の第9条にあたります。

年齢を問わないのは原則であって、例外も定められています。同じリーフレットに挙がっているもののうち、建設会社に関わるのは2つです。

1つは、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(例外事由3号イ)。もう1つは、技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合(例外事由3号ロ)です。

共通する条件は、期間の定めのない雇用で募集・採用することです。職種ごとに年齢層が薄くなりがちな建設の技能職は、3号ロに当てはまることがあります。

3号イの「若年者等」について、リーフレットには注記があります。基本的には35歳未満の若年者を想定しているものの、35歳未満に限られるものではありません。ただし定年を定めている場合、勤続可能期間が極端に短くなるような上限年齢を設定しての募集・採用は認められず、おおむね45歳未満が目安とされています(同リーフレット)。


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写真も表現のうちです

見落とされやすいのが画像です。

男女雇用機会均等法第5条の違法事例として、厚生労働省のパンフレットは「男女のいずれかを採用する方針で、写真やイラストにおいて、一方の性に偏った職場を強調する等の表現をすること」を挙げています(同パンフレット)。

読み落とされやすいのは、冒頭の「男女のいずれかを採用する方針で、」という条件です。写真が偏っていること自体で違法になる、という話ではありません。片方の性だけを採る方針があるかどうかとセットで見られます。

とはいえ、求人ページの現場写真が全員男性というのは建設業ではよくあります。文章で「男性歓迎」と書いていなくても、画像が偏っていると、そういう方針の会社だと受け取られる余地が残ります。

女性社員がいるなら、その人が写っている写真を1枚入れます。いないなら、人が写っていない現場や道具の写真にする手もあります。違反を避けるためというより、誤解を招かないための工夫です。

盛った言葉は、入社後に返ってきます

実額より高く見せた給与、実態と離れた職種名、達成できていない週休2日。これらは応募の段階では効くことがあります。

効いたぶん、入社後に食い違いが出ます。

建設業(生産労働者。現場で作業にあたる人のことで、事務や技術、管理の社員は含みません)の年間賃金は432万円で、全産業の508万円より15.0%低い水準です。年間労働時間は2,018時間で、全産業の1,956時間より3.1%長くなっています(国土交通省『建設業を巡る現状と課題』(令和7年9月)。厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和5年、『毎月勤労統計調査』令和5年度をもとに国土交通省が作成)。

この数字が生産労働者に限ったものである点は押さえておいてください。それでも、業界の平均としては賃金が低く、時間が長いという前提があります。

この前提の上で「高収入・好待遇」と書けば、入社した人は入社初月に気づきます。

求人の言葉と入社後の食い違いをどこで潰すかは、建設業の採用ミスマッチに段階ごとの直し方を載せています。


一行が決まらないときの進め方

手が止まったら、ゼロから考えるのをやめて、順番に直します。

  1. 自社の求人を、求職者が打ちそうな言葉でスマートフォンから検索する
  2. 一覧画面で、自社の求人が他社と区別できるか見る
  3. 職種名を、社内の呼び方から求職者が探す言葉に替える
  4. アイコンで自動的に出る条件を、冒頭の文章から外す
  5. 空いた枠に、工事の種類・現場の場所・教える人・同年代の人数を入れる
  6. 法律に当たる言葉を落とし、実額と実績に置き換える

この6つは、今日の午後に社内でできます。

1つのコピーを使い回さない

媒体ごとに、一覧に出る項目も文字数も違います。

ハローワークでは、仕事の内容の90文字分と12種のアイコンが効きます。大卒等の求人申込書では、職種欄が全角40文字以内と様式に示されています(徳島労働局『求人申込書(大卒等)の書き方のポイント』)。

求人サイトやIndeedは、また別の見え方をします。表示される項目も並び順も、サービスごとに変わります。

同じ一行をすべてに貼り付けると、どこかで途中で切れます。自社の求人を実際に検索して、スマートフォンの画面でどこまで表示されるかを見てから、媒体ごとに作り分けてください。

屋外のテーブルに置かれた白いヘルメットとハンマー
写真: Nick Noyes / Pexels

職種別に作り分けた工務店の事例

静岡県下田市の工務店の例です。支援開始時の規模は4名でした。

採用ホームページと求人原稿を職種別に作り、ハローワークの求人票を改善し、Indeedと移住者向けサービスへ出稿。そのうえで運用と数値の分析を続け、地域でポスターも掲示しました。

2024年5月から約1年で、応募70名以上、採用13名という結果になっています(工務店の採用支援事例)。

支援会社が自社サイトで紹介している事例です。ここで出た結果は、キャッチコピー単体のものではありません。原稿、媒体、運用をひとそろいで動かした結果です。

読み取るべき点は、作り分けと継続のほうにあります。職種ごとに原稿を分け、1年かけて数字を見ながら直し続けています。

一度書いて貼りっぱなしの求人票とは、動かし方が違います。

誰がどこまでやるか

言葉を直す作業そのものは難しくありません。難しいのは、続けることです。

求人媒体は増え続け、表示の仕組みも毎年変わります。それを社長と工務部長が、現場の合間に追いかけるのは、荷が重い作業です。

当社としては、専任の人事を置くかどうかにかかわらず、建設特化の採用代行と組む形を基本線に置くことをおすすめしています。そのうえで、社内から誰を何時間出すかを考える順番です。

求人の言葉を直すときの役割分担

誰が何を
社内と採用代行で一緒に求める人物像と採用要件を決める。どの工事を任せるか、どの資格が要るかは、現場を知っている社内の知見が要ります
社内面接、最終判断、内定承諾の最後のひと押し
採用代行求人票の作成と改訂、求人媒体の選定と運用、スカウトの送信、応募者への返信、面接の日程調整

当社の支援経験をもとに作成

当社の料金は月額20万円(税別)〜です。ここに求人媒体の掲載費が別で乗ります。社内で比べるときは「月額20万円〜+媒体費」で見てください。

人材紹介を使っている会社も多いと思います。建設業の有資格者を確実に採れる主力の手法なので、減らす方向ではなく、上手に使いこなす方向で考えます。

複数の紹介会社をとりまとめ、求める人物像を同じ言葉で伝え、推薦への返信を早くする。ここが揃うと、同じ手数料でも返ってくる候補者が変わります。

求人票の各欄の埋め方は建設業の求人票の書き方に例文を載せています。


よくある質問

キャッチコピーは何文字くらいがいいですか?

媒体によって違うので、確認できている数字で答えます。

ハローワークの求人情報では、検索結果の一覧に仕事の内容が90文字分表示されます。大卒等の求人申込書では、職種欄が全角40文字以内と様式に示されています。

求人サイトはサービスごとに異なります。自社の求人を検索して、スマートフォンの画面で切れる位置を確かめるのが早いです。

未経験歓迎と書いても大丈夫ですか?

実際に未経験者を受け入れる体制があるなら、書けます。

ただしハローワークでは、経験不問の欄を埋めればアイコンで自動的に表示されます。冒頭の文章に同じことを書き写す必要はありません。

書くなら一歩先です。「入社1年目は先輩と2人1組」「直近2年で入った5名のうち4名が未経験」のように、受け入れた実績を添えます。

職種名に社内の呼び方を使ってはいけませんか?

使ってもかまいませんが、単独では使わないでください。

厚生労働省の記入要領は、職種欄について「専門用語や企業独自の呼称を避けた表現で」と求めています。求職者が検索する言葉を先に置き、社内の呼び方は仕事の内容の欄で説明する形にします。

他社と同じような言葉になってしまいます

抽象的な言葉を選んでいるのが原因です。

「地域に貢献」「若手が活躍」は、どの会社でも書けます。だから重なります。

自社でしか書けないのは、数えられる事実のほうです。担当する工事の種類、現場までの距離、20代の人数、年間休日の日数、教える人の名前。この5つを入れると、同じ文面にはなりません。

求人に載せる写真は、何でもいいですか?

気をつける点が1つあります。

男女雇用機会均等法の違法事例として、厚生労働省は「男女のいずれかを採用する方針で、写真やイラストにおいて、一方の性に偏った職場を強調する等の表現をすること」を挙げています。

写真が偏っていることだけで違法になる、という意味ではありません。片方の性だけを採る方針があるかどうかと合わせて見られます。

ただ、現場写真が全員男性ばかりだと、文章が問題なくても、そういう方針の会社だと受け取られることがあります。人が写っていない現場や道具の写真を混ぜるだけでも違ってきます。


まとめ|キャッチコピーは、職種名と最初の数行のことです

要点は5つです。

  1. 建設躯体工事従事者の有効求人倍率は8.25倍(2026年8月・常用/パートを含む)。求職者が選ぶ側なので、5件並んだときに区別がつかない言葉は開かれません
  2. ハローワークの一覧に出るのは、職種名と仕事の内容の90文字分です。経験不問や週休二日制などの12項目はアイコンで自動的に出るため、冒頭に書き写すと枠のむだ遣いになります
  3. 社内の呼び方は検索されません。「手元」ではなく「土木作業員」。職種名のうしろには、工事の種類・現場の場所・資格支援の有無といった自社の事実を足します
  4. 若年層がやめた理由の1位は労働時間・休日・休暇の条件(28.5%・全産業)。賃金より先に、休みと時間に答えるほうが届きます
  5. 「高収入」「体力自慢歓迎」「35歳まで」は、実態とずれたときに職業安定法・男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法に当たります。実額と作業内容に置き換えるのが安全です。年齢の制限には例外事由(3号イ・3号ロ)もあるので、自社が当てはまるか確かめてください

職種名を直すだけなら、今日できます。それを媒体ごとに作り分けて、数字を見ながら直し続けるところで、たいていの会社は手が止まります。

その部分を外に出す選択肢もある、という程度に受け取ってもらえれば十分です。


職種名と最初の90文字だけでも、書き直すところから始められます

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