建設業の離職率は8.7%、高卒3年以内だけ41.4%

2025年(令和7年)の調査では、建設業の離職率は8.7%でした。産業計の13.7%より5.0ポイント低い水準です。

パートを含まない一般労働者だけで見ると7.9%でした(厚生労働省『令和7年雇用動向調査結果の概況』)。

統計の上では、建設業は人が辞めにくい業界です。

ところが、学校を出てすぐ入った人の3年以内離職率では並びが変わります。大卒は30.5%で、全産業の33.8%を下回ります。高卒は41.4%で、全産業の37.9%を3.5ポイント上回ります(厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)』高卒、同 大卒)。いずれも令和4年3月に卒業した人を3年追った数字です。

結論から言うと、「建設業だから辞める」のではありません。全体の離職率は低いのに、高卒で入った人だけが3年以内に4割辞めています。

手を入れる先は、若手、とくに現場で手を動かす職種です。


会社が挙げる「定着しない理由」の中身

若年技能労働者が定着しない理由(建設業・複数回答・回答の多い8項目)

出典: 厚生労働省委託『建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和6年度調査)』図表31(N=785)より作成

若手の職人が定着していないと答えた建設会社785社の回答です。1位は「作業が身体的にきつい」44.8%でした(厚生労働省委託『建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書』)。

2位の「職業意識が低い」30.4%は、会社側が若手を見てつけた評価です。辞めた本人に聞いた答えではありません。

「入職者のイメージと実際の業務のギャップ」は19.0%。20の選択肢のうち、7番目に多い回答でした(「賃金が低い」と同率です)。

辞めた理由を会社の側から挙げると、原因は本人の資質や仕事の過酷さに向きます。求人票を書いた人と若手を受け入れた現場が別なら、「説明が足りなかった」という答えは社内で出てきません。この19.0%は小さく出やすい数字だと考えています。

上位に並ぶのは、仕事の中身や職場の顔ぶれそのものを変える話です。すぐには動きません。

このギャップだけは、入社前の伝え方で縮められます。ここから先に手を入れられます。


ズレ1: 募集のやり方を決めずに採っている

若手の職人(若年技能労働者)の募集のやり方を聞くと、ハローワークが47.2%、縁故頼みが28.9%でした。そして「募集を行っていない」が23.1%です。

応募を増やすための取組では、「特に取組を行っていない」が73.7%でした。職場見学会は6.8%、インターンシップは5.2%にとどまります。

直近3年の採用状況は、「採用できていない」49.8%、「あまり採用できていない」18.7%でした。合わせて7割近くが採れていません。ただし「採用したいと考えていない」が14.8%あり、募集していない会社のすべてが手を打てずにいるわけではありません(いずれも前掲の実態調査報告書)。

4社に1社が募集していません。7割強が応募を増やす手を打っていません。

そこに応募が1件来たとき、会社は選びません。来た人を採ります。

ミスマッチの出発点はここです。求人票の文言より前に、応募が1件しかない状態そのものがズレを生みます。

建設中の高層ビルの屋上に並ぶ5基のタワークレーンと青空
写真: Taro Ohtani / Unsplash

ズレ2: 求人票の「週休2日」で、入社前からズレが決まる

完全週休2日制の普及率は、建設業が45.9%、全産業が56.7%です。

一方、「週休2日制」まで含めると建設業92.4%、全産業90.9%で、建設業のほうが上になります。

年間総実労働時間は建設業1,938時間、全産業1,643時間で、差は295時間です(厚生労働省『建設労働をめぐる情勢について』。完全週休2日制は令和6年・就労条件総合調査の企業規模30人以上、労働時間は令和6年・毎月勤労統計調査の事業所規模5人以上)。

「週休2日制」は、月に1度でも2日休みの週があれば書ける表記です。毎週2日休める「完全週休2日制」とは別のものです。

求職者はこの違いを知っていて応募し、入ってから4週6休だと分かります。それで辞めます。

公的統計では建設業の年間労働時間は1,938時間ですが、この数字は事務職も含めた建設業全体の平均です。施工管理職や繁忙期の現場では、月の残業が40時間を超えることもあります。

求人票の書き方を実態に寄せる

項目よくある書き方実態に寄せた書き方
休日週休2日制現場勤務は4週6休(土曜は月2回出勤)、本社勤務は土日休み
残業残業あり(手当全額支給)繁忙期は月40〜50時間、閑散期は月10時間前後。全額支給
勤務時間8:00〜17:00現場朝礼7:50。社用車での移動は7:20出発、直帰可
仕事内容施工管理業務全般改修工事2〜3件を担当。写真整理と日報で1日およそ1時間

右の列のように書くと、応募は減ります。

減るのは、4週6休だと知ったら応募しなかった人です。

応募が数件減るより、その人を面接して採って3カ月で失う手間のほうが重くつきます。

書き方の型は建設業の求人票の書き方に例文つきで載せています。


ズレ3: 施工管理と技能職は、別の仕事です

辞めた理由を本人側から見た数字もあります。建設業単独の内訳は公表されていないので、全産業の男性の数字として読みます。

男性全体では「仕事の内容に興味を持てなかった」が5.2%、「能力・個性・資格を生かせなかった」が5.2%です。

男性25〜29歳では6.5%と5.6%です。男性30〜34歳では「仕事の内容に興味を持てなかった」が9.0%まで上がります(厚生労働省『令和7年雇用動向調査結果の概況』表5)。

20代後半から30代前半の男性で、仕事の中身が合わなかったという理由が増えます。建設業の中途採用で主力になる年代です。

施工管理は工程を組み、職人さんに段取りを渡し、写真と書類を揃える仕事です。技能職は手を動かして形にする仕事で、資格の取り方も評価のされ方も別です。

求人票に「建設業 施工管理・作業員」とまとめて書いてある会社があります。応募者は自分がどちらをやるのか分からないまま面接に来ます。

職種別の有効求人倍率(令和8年4月・パートを除く常用の求人)

出典: 厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年4月分)』参考統計表より作成。職業分類ベース

鉄筋工・型枠工・とび職などが入る建設躯体工事従事者は8.13倍です。

施工管理が含まれる建築・土木・測量技術者は6.14倍、建設・採掘の従事者全体は5.34倍。職業計は1.12倍です。

いずれも令和8年4月の数字で、パートを除きます。

同じ建設業の中でも、躯体と技術者で2ポイント近い差があります。

採りにくさが違えば、集め方も見せ方も変わります。1枚の求人票で両方を狙うと、どちらにも届きません。


ズレ4: 応募が少ないから、要件を下げて採ってしまう

マイナビが従業員3名以上の人事担当者1,500名に聞いた調査では、1社あたりの年間中途採用費用が平均609.9万円、中途採用者数が平均12.3人でした。

このうち『不動産・建設・設備・住宅関連』(n=177)は、中途採用者6.6人に対して退職者4.5人です。

同じ調査で、要件に届かない人を採った会社だけに理由を聞くと、この業種は「選べるほど応募人数が集まらなかったから」が全体を10ポイント以上上回りました(マイナビ『中途採用状況調査2026年版(2025年実績)』。2025年12月17〜22日調査)。

6.6人採って、別に4.5人が抜けていきます。

応募してくる人の数が足りないと、要件を下げる判断が先に来ます。合わない人が入れば、また抜けます。

ヘルメットと防塵マスクを着けてコテで壁を仕上げる作業員の後ろ姿
写真: Antoni Shkraba / Pexels

有料職業紹介で4か月以上の雇用が決まった就職1件あたりの手数料は約103万円で、前年度から10.9%増えました(厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』)。

これは全職種の平均で、建設業単独の数字は公表されていません。それでも、採り直し1回で100万円前後が動く目安になります。

2025年の建設業の倒産は2,021件で、そのうち人手不足倒産が113件でした(帝国データバンク『「建設業」の倒産動向(2025年)』)。

要件を下げないために要るのは、応募の数です。1件の応募を選ばずに採るしかない状態を変えるところから始まります。

求める人物像から、一緒に言葉にしてみませんか

施工管理と技能職のどちらを何人、いつまでに採るのか。ここが決まると求人票と面接の直し方も決まります。月額20万円〜の建設特化採用代行が、御社の採用の流れを拝見しながら無料でお話しします。売り込みはしません。

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ズレ5: 紹介会社に「求める人物像」が渡っていない

技術者で6倍を超える市場では、自社の募集だけで有資格者が集まることはまれです。資格と経験が要る求人で紹介会社を使うのは、正しい判断です。

手数料は高くつきます。

一般に言われる相場は、全業界で理論年収(内定者の想定年収)の30〜35%です。弊社が建設業の商談で見ている水準では、施工管理の紹介手数料は主流45%です。

1級保持の所長クラスや、急いで埋めたい希少な人材では60〜70%まで上振れるケースもあります。いずれも実際の商談で見る水準で、公的統計の数字ではありません。

高いから避ける話ではありません。使い方しだいで効き方が変わります。

紹介会社から出てくる候補者がずれる原因は、たいてい渡した情報の側にあります。

「施工管理、経験者、やる気のある方」。この3語で依頼を受けた担当者は、推測で候補者を選びます。

  • 必須条件と歓迎条件を分けて渡す(1級必須か、2級+実務5年でよいか)
  • 業務範囲を現場の言葉で伝える(「公共の道路改良を2〜3件、元請けで担当」)
  • 見送ったときは理由を返す
  • 推薦から24時間以内に可否を返す
  • 複数社に優先度をつけ、動いてくれた会社に情報を厚く渡す

これを続けると、紹介担当者は良い候補者を先に持ってきます。返信が遅い会社は推薦の順番が後ろになります。

まず建設に特化した採用代行と組み、そのうえで社内にどれだけ人を割くかを考えます。弊社はこの順番をおすすめしています。

採用のどこを誰が担うか

やること担い手
求める人物像・採用要件の整理社内と採用代行で一緒に
求人票の作成、求人媒体の運用、スカウト送信、応募者対応、日程調整採用代行
紹介会社のとりまとめ(要件の渡し方・返信の速さ・合否の理由返し・優先度づけ)採用代行
面接、最終判断、内定承諾の最後のひと押し社内

求める人物像だけは社外に丸投げできません。現場を知っているのは社内です。ここだけ一緒にやって、残りの手を動かす部分を外に出します。

違いは採用代行と人材紹介の違いで比べています。


入社前にズレを潰す3つの手順

1. 求める人物像を現場の言葉で1枚にする

「やる気のある人」では誰も選べません。「2級施工管理技士を持ち、改修工事の段取りを1人で組める人」。ここまで具体的に書くと、求人票も面接も紹介会社への依頼も1枚から書けます。

2. 求人票の条件を実態に合わせて直す

4週6休なら4週6休と書きます。繁忙期の残業が月45時間なら、その数字を出します。

3. 入社前に現場を見せる

職場見学会の実施率は6.8%です。見せるのは片づけた日ではなく、いつもの現場です。朝礼から昼休みまでの数時間で、本人の受け取り方が変わります。

床に広げた間取り図の上に置かれた水準器と白いヘルメット
写真: Pavel Danilyuk / Pexels

福島県の総合建設会社A社(社員50名)は応募が2.4倍になり、年13名を採用しました。新潟県の総合建設会社B社(社員90名)は応募1.8倍、採用単価が30%減です。

どちらも新しい手法は足していません。誰を採るのかを決めて、求人の中身を合わせ直しただけです。

入社後の受け入れは建設業の離職率を下げる定着施策に具体例を載せています。


働き方を変えて、定着と採用が同時に動いた会社

株式会社長岡塗装店(島根県松江市・塗装工事・社員30名)は、制度の利用で負担が増える社員を優先して導入の意義を説明しました。介護が必要な社員も制約のない社員も使える制度を、ほぼ同時期に入れています。1998年から2009年の11年のうち8年は退職者ゼロで、Uターン人材や新卒の採用も進みました。

株式会社マツミ(大阪府茨木市・建築一式工事と塗装工事・社員31名)は、工程表や図面データを扱う施工管理専用の情報共有アプリを導入し、スマートフォンとノートパソコンを支給して時差出勤を認めました。残業時間は約30%削減、2022年に新卒5名、2023年に新卒3名を採用しています。

山﨑建設株式会社(長野県安曇野市・土木一式・社員32名)の代表取締役の声です。

以前はハローワークや地元の高校からの求人応募がコンスタントにありましたが、ここ数年は応募がない状況が続いてしまっているのです

いずれも国土交通省・建設業振興基金『中小建設業の多様な人材確保・定着のための柔軟な働き方事例集』からの引用です。

制度を作った月に応募が増えた会社はありません。長岡塗装店は11年、マツミは浸透まで約3年かかっています。


よくある質問

Q. 人材紹介に頼むと、採用代行と費用が二重になりませんか?

二重のコストではなく、紹介を含む採用全体を良くするための費用です。

紹介会社に丸投げしても決まらない月があり、合わない人を採って3カ月で抜ける採り直しも起きます。このムダが減ると、1名あたりの実質コストは下がります。

就職1件あたりの手数料は平均で約103万円です。月額20万円の委託費なら、採り直し1回ぶんで5か月分にあたります。

Q. 紹介会社には何社まで声をかけるべきですか?

数を増やすより、返しきれる数にとどめるほうがうまくいきます。

推薦に24時間以内で可否を返せないなら、社数が多すぎます。2〜3社に絞って見送りの理由まで返すほうが、良い候補者が先に回ってきます。


入社前に潰せるのは、この5つです

募集のやり方が決まらないまま、来た1件をそのまま採っていないでしょうか。求人票の「週休2日」で、入る前に誤解させていないでしょうか。

施工管理と技能職を1枚の求人票にまとめ、応募が少ないからと要件を下げ、紹介会社には求める人物像を渡さないまま推薦を待っていないでしょうか。

建設業全体の離職率は8.7%と低い一方で、高卒で入った人の3年以内離職率は41.4%です。若手の定着に絞って手を入れるのが早道になります。

誰を採るのかを決め、求人票を実態に合わせ、入社前に現場を見せます。この3つで採り直しが減ります。

どこから手をつけるか迷っているなら、一度お話を聞かせてください。

求人票と採用要件を、一度見せていただけませんか

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