採用代行の効果は、採用人数より先に「応募の数」と「面接までの速さ」に出ます
結論から言うと、採用代行を入れて最初に動く数字は採用人数ではありません。
経路ごとの応募の数と、応募から面接までの速さです。
民間の大手調査では、2025年の中途採用の目標達成率は全体で73.3%でした。不動産・建設・設備・住宅関連は60.3%。調査対象の12業種のうち、もっとも低い数字です。
インターネット調査で、2025年に中途採用を担当し、採用費用の管理にも関わっている人事担当者1,500名が答えています。うち不動産・建設・設備・住宅関連は196名。達成率の集計は、「わからない」と不良回答を除いた1,327名(不動産・建設・設備・住宅関連は177名)が対象です(マイナビ『中途採用状況調査2026年版』(2025年実績))。
この達成率について、原典は個々の達成率を平均したものではなく、各平均値を使って計算した値だと注記しています。
中途採用の目標達成率(2025年実績・業種別)
出典: マイナビ『中途採用状況調査2026年版』(2025年実績)より作成
同じ調査の面接設定率を見ると、話の向きが変わります。応募者のうち面接を設定できた割合は、不動産・建設・設備・住宅関連が72.5%。全体は48.3%です。
来た応募者の7割以上には会えているということになります。
それでも目標には届いていません。同じ調査では、この区分の1社あたりの応募者数は25.8人で、全体の68.4人の4割ほどです。足りないのは面接の数ではなく、入口に来る応募の数です。
大手調査ではこの数字が出ます。ただし現場では「応募が月に1件も来ない」という話のほうをよく聞きます。平均値の裏には、応募ゼロの月を何か月も続けている会社が入っています。
採用代行の効果も、この入口から出ます。1か月目に経路ごとの応募数が動き、2〜3か月目に面接までの日数が縮む。採用人数が動くのはそのあとです。
3か月で「何名採れたか」だけを見ると、判定が早すぎます
「3か月やって1名も採れていない」という見方で契約を切る会社があります。
立ち上げの段取りそのものは採用代行の導入の流れに書きました。ここで見るのは、どの数字が何か月目に動くかです。
3か月での判定は早すぎます。建設業は、応募から入社までにかかる日数が他の業種より長いからです。
同じマイナビの調査で、応募から面接までの日数は、不動産・建設・設備・住宅関連がWEB面接で14.4日、対面で13.3日でした。全体はどちらも12.1日です。業種別でもっとも長い数字になっています。
応募の受付を始めてから内定の承諾までは、1次面接をWEBで行った場合、この区分が36.3日でした。業種別でもっとも長い数字です。全体の平均は、WEB面接で31.5日、対面での面接で30.2日です。
応募が来てから1人目の承諾まで、1か月以上かかります。募集を立ち上げてから最初の応募が来るまでの時間は、ここに入っていません。そこから入社日までさらに1〜2か月かかります。3か月目に採用人数がゼロでも、まだ途中の段階だということです。
会社の規模でも差が出ます。従業員3〜50名の目標達成率は58.7%、51〜300名は66.8%。301名以上はどの区分も74%台でした。300名までの会社が、全体の73.3%に届いていません。
採る力の差というより、採用にかけられる人と時間の差が出ています。

ここで押さえておきたいのは、採用代行が成果を約束できない契約だということです。
採用代行は業務委託契約です。採用人数を書面で約束することはできません。応募するかどうか、承諾するかどうかを、委託を受けた側が決められないからです。
約束してしまうと、許可のいる領域に踏み込みます。職業安定法は、自社の社員以外の人に報酬を与えて募集に従事させる場合(委託募集といいます)に、厚生労働大臣の許可を求めています(第36条第1項)。違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(第64条第7号。職業安定法(e-Gov法令検索))。
だから、効果の判定基準は会社側が自分で決めて持っておくことになります。業者から出てくる数字を待つのではなく、何か月目にどの数字を見るかを先に決めておきます。
何か月目に、どの数字を見るか
| 時期 | 見る数字 | この時期に採用人数で判定しない理由 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 経路ごとの応募数/応募者への返信までの時間 | 求人票の書き直しと経路の立ち上げに使う月。応募が来ない月もある |
| 2〜3か月目 | 応募から面接までの日数/面接設定率 | 応募から承諾まで、建設を含む区分はWEB面接で36.3日。1人目の内定がこの時期に入る |
| 4〜6か月目 | 内定の承諾と入社 | 承諾から入社までに1〜2か月かかる。採用人数が見えるのはここから |
| 7〜12か月目 | 1名あたりの採用単価/入社した人の定着 | 1名あたりの金額は、複数名の入社がそろってから計算する |
当社の支援経験をもとに作成
1か月目に見るべきものは応募数と返信の速さです。採用人数は4か月目以降の数字です。
効果を測る6つの数字
見るのは次の6つです。
1. 経路ごとの応募数
合計の応募数だけを数えると、どこを足せばいいか分かりません。求人媒体、スカウト、人材紹介、ハローワーク、社員からの紹介(リファラル。社員の知り合いを紹介してもらう採用)の5つに分けて数えます。
月ごとに並べると、反応のない経路と伸びている経路が見えてきます。予算を動かす判断はここから出ます。
2. 応募者に返信するまでの時間
24時間以内に返っているかを見ます。土日や夜間に来た応募が、月曜の夕方まで止まっていないかどうかです。
在職中の候補者は何社かを同時に受けています。返信が2日遅れると、別の会社の面接が先に入ります。
3. 応募から面接までの日数
応募を受け付けてから、面接を実施するまでの日数です。建設を含む区分の平均は、1次面接をWEBで行った場合で14.4日、対面で13.3日でした。
採用代行を入れて最初に縮むのがここです。面接の候補日を出す人が、社内の予定がそろうのを待たずに動けるようになるためです。
4. 面接設定率
面接を設定した数を、応募者数で割ります。建設を含む区分の平均は72.5%です。
これが72.5%より低いなら、応募の中身が要件とずれているか、日程調整の段階で落ちています。求人票の書き方か、面接枠の押さえ方のどちらかを直します。
5. 内定承諾率
内定を承諾した数を、内定を出した数で割ります。内定の辞退率は全体で15.0%。前の年の9.3%から5.7ポイント上がりました。
従業員51〜300名の企業は18.9%で、規模別ではもっとも高い数字です。この規模で、出した内定が承諾まで届きにくくなっています。
承諾率が落ちているなら、条件の出し方と、最終面接のあとの動き方を見直します。
6. 社内が採用に使っている時間
社長と担当者が、1週間のうち何時間を採用に使っているかを見ます。ざっくりした数字でかまいません。
ここが減っていれば、採用代行の効果はもう出ています。採用人数よりも早く動く数字です。

1と2と6は1か月目から動きます。3と4が2〜3か月目、5は4か月目以降に形が見えてきます。
効果を測る6つの数字と、その数え方
| 見る数字 | 数え方 | 目安 |
|---|---|---|
| 経路ごとの応募数 | 求人媒体・スカウト・人材紹介・ハローワーク・社員からの紹介に分けて月ごとに数える | 合計ではなく経路別。前月と比べて動いた経路を見る |
| 応募者への返信までの時間 | 応募を受けてから最初の返信を出すまでの時間 | 24時間以内 |
| 応募から面接までの日数 | 応募の受付日から面接の実施日まで | 建設を含む区分はWEB面接14.4日・対面13.3日。ここより短くなっているか |
| 面接設定率 | 面接設定数 ÷ 応募者数 | 建設を含む区分の平均は72.5% |
| 内定承諾率 | 承諾した人数 ÷ 内定を出した人数 | 全体の辞退率は15.0%、従業員51〜300名は18.9% |
| 社内が採用に使っている時間 | 社長と担当者の1週間あたりの作業時間 | 導入後に減っているか。1か月目から動く |
数え方は当社の支援経験をもとに作成。目安の数値はマイナビ『中途採用状況調査2026年版』(2025年実績)より
いちばん早く出る効果は、社内の時間が空くことです
1か月目には経路ごとの応募数も動きます。ただ、それより先に目に見えて変わるものがあります。社長や工務部長の机から消える作業量です。
大手求人サービスのIndeed Japanが行った調査では、採用担当者の72.4%が採用・人事以外の業務も兼務していました。従業員300名以下の企業では、採用に割けている時間が業務全体の35.5%にとどまります。
さらに、採用の仕事のうち面接そのものにかけている時間は16.1%。面接までの各種調整業務に52.4%がかかっていました。
企業で直近1年間に採用実務に従事した1,647名への調査です(2021年。Indeed Japan『採用担当者の業務実態に関する調査』)。
中小企業では、その作業を役員が抱えています。従業員99名までの企業では、採用の主担当者は役員と管理職で85%以上を占めていました(中小企業の採用担当者297名への調査。株式会社ネットオン『採用係長』調査)。
社長と部長が、面接ではなく日程調整に時間を使っている状態です。
外に出せるのは52.4%のほうの調整業務です。面接と最終判断は社内に残ります。
役割は3つに分かれます。
- 社内と採用代行で一緒に決める: 求める人物像と採用の要件
- 社内に残る: 面接、最終判断、内定承諾の最後のひと押し
- 採用代行が引き受ける: 求人票、求人媒体、スカウトの送信、応募者への返信、日程調整
人材紹介会社とのやり取りも、採用代行が引き受ける側に入ります。人材紹介は、建設業の有資格者に手が届く主力の手法です。減らす方向で考える話ではありません。
要件を伝え直し、推薦に早く返信し、落ちた理由を返す。この手間が社内から消えるぶん、推薦が動きやすくなります。
専任の人事を置くかどうかは、あとから決めてかまいません。まず建設特化の採用代行と組む形を基本線に置き、そのうえで社内から何人出すかを考える順番になります。
月額20万円が見合うかは、1名あたりの採用単価で見ます
金額の判断は1本の式で足ります。
1名あたりの採用単価 =(求人媒体の費用 + 人材紹介の手数料 + 採用代行の月額の合計)÷ その期間に入社した人数分母が入社人数なので、1名も入社していない時期には計算できません。だから金額の判定は7か月目以降になります。
マイナビの調査では、年間の中途採用費用は1社あたり平均609.9万円でした。予算は696.0万円です。費目のうち人材紹介にかける予算が最大で、平均391.5万円でした。いずれも全業種をならした数字です。
当社は月額20万円(税別)〜です。年間では240万円になります。これに求人媒体の費用が別でかかります。
採用代行の月額だけを他社と並べて比べると、見え方が狂います。どのサービスでも媒体費は別にかかるので、合計額で見てください。
人材紹介の手数料も別です。全業界で一般に言われているのは年収の30〜35%という水準です。建設業の施工管理は主流45%。1級の資格を持つ所長クラスや急ぎの募集では、60〜70%まで上振れるケースもあります。この45%と60〜70%は、当社が建設業の採用に立ち会ってきた範囲で見ている水準で、公的な統計ではありません。
高いから避ける、という話ではありません。同じ手数料でも、紹介会社を上手に使えるかどうかで結果が変わります。
採用代行の月額は、紹介料に乗る二重の費用ではありません。紹介も含めた採用全体を整えるための費用です。
丸投げで決まらない、条件の伝え方がずれて半年で辞める。こうしたムダが減るぶん、1名あたりの実質の負担はむしろ下がります。

料金の形ごとの違いと、他の手法とのコスト比較は採用代行の費用相場に載せています。
入社後6か月の定着まで見て、効果が決まります
採用代行の効果は、入社した時点では決まりません。入社6か月と1年の在籍まで見ます。
令和7年の建設業は、1年間に入ってきた人の割合(入職率)が10.4%、辞めた人の割合(離職率)が8.7%でした。離職率は産業計の13.7%より低い数字です(厚生労働省『令和7年雇用動向調査結果の概況』)。
辞める人が多い業界ではありません。それでも人が埋まらないのは、入口が細いからです。
建設業に入った人の約72%は、前の職場から移ってきた転職入職者です。経験者を同業と取り合う形になります。
就業者の年齢を見ると、55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%です(厚生労働省『建設労働をめぐる情勢について』(令和7年10月15日))。
公的統計ではこう出ますが、現場では「入って3か月でいなくなった」という話も聞きます。年間の平均と、入社直後の受け入れは別の話です。
半年で辞めているなら、求人票と面接で伝えた条件が現場と合っていなかったことを疑うのが先です。
休みの取り方や残業の実際、1人で持つ現場の数は、求人票の書き方でいくらでも良く見せられます。良く見せた分は、入社後に返ってきます。
採用代行に求人票を任せるときは、現場の実際を書いてもらう形にしてください。応募は減ります。半年後に残る人は増えます。
数字が動かないまま時間が過ぎている場合は、どの経路のどの段階で止まっているかを切り分けるところから始めます。
契約書に入れる数字は、採用人数ではなく業務の量にします
効果を測る土台は契約書にあります。入れておくのは、スカウトの送信通数、求人票の改訂本数、月次レポートの提出日の3つです。
この3つが書いてあれば、数字が動いていない月を後から指摘できます。書いていない契約書だと、動いた月と動かなかった月の区別がつきません。
なお「半年で3名の採用を保証します」と採用人数を約束してくる会社もありますが、業務委託の枠を超えた約束なので揉めやすくなります(採用代行で失敗する6つのパターン)。
よくある質問
効果が出るまでどのくらいかかりますか?
社内の作業量が減るのと、経路ごとの応募数が動き始めるのは1か月目です。応募から面接までの日数と面接設定率が動くのは2〜3か月目。採用人数が見えるのは4〜6か月目です。
1名あたりの採用単価と定着が計算できるのは、7か月目から1年のあいだになります。
採用できなかった場合、返金されますか?
業務委託契約なので、採用できなかったことを理由にした返金はありません。報酬は業務に対して払う形です。
そのかわり、契約書に業務の量が書いてあれば、動いていない月を指摘できます。契約前に、前の章で挙げた3つが入っているかを見てください。
成果報酬型のほうが安全ではないですか?
当社は建設業では勧めていません。
採用できなければ費用がかからない点は、表面的には利点です。ただし業者から見ると、決まらなければ売上にならない契約でもあります。
難易度の高い建設業の案件は後回しになり、月額固定で払っている他の顧客が優先されやすくなります。「契約したのに動いてもらえない」が起きるのはこの形です。
月額固定なら、毎月の売上が見える顧客として扱われます。優先度が落ちにくいぶん、建設業では月額固定を勧めています。
社内にノウハウは残りますか?
残ります。残るのは、求人票の書き方と、どの経路からどんな人が来るかという手応えです。
毎月のレポートに経路ごとの数字が載っていれば、社内でも同じ見方ができるようになります。当社の支援では、長野県の工務店(従業員15名)が最小構成から始めて、現場1名と事務1名を採用したあと代行を卒業した例があります。
いくらかかりますか?
当社は月額20万円(税別)〜です。これに求人媒体の費用と、人材紹介から採った場合の手数料が別でかかります。
金額だけを並べて比べず、その金額でどの業務がどれだけ動くのかを聞いてください。1名あたりの採用単価の出し方は、前の章に式を置いています。
まとめ|効果は、1か月目から順に6つの数字に出ます
要点は6つです。
- 採用代行の効果は、採用人数より先に社内の作業量と経路ごとの応募数に出ます。1か月目に見るのはこの2つで、応募から面接までの日数は2〜3か月目です
- 不動産・建設・設備・住宅関連の中途採用の目標達成率は60.3%で12業種中もっとも低い一方、面接設定率は72.5%で全体の48.3%を上回ります。来た応募の7割以上には会えています
- 応募から内定の承諾までが、WEB面接で36.3日と業種別で最長です。3か月で採用人数だけを見ると、判定が早すぎます
- 採用代行は業務委託契約なので、採用人数を書面で約束できません。だから判定の基準は会社側で先に決めておきます
- 社内の時間はいちばん早く空きます。採用の仕事のうち52.4%は面接までの調整業務で、ここを外に出せます
- 金額は1名あたりの採用単価で見ます。採用代行の月額に加えて媒体費と紹介手数料がかかる前提で、合計額を入社人数で割ります
当社が支援した福島県の総合建設会社(従業員50名)では、応募が2.4倍になり、年間13名の採用につながりました。
数字がそろうまでには時間がかかります。そのかわり、どの月に何を見るかが決まっていれば、途中で止める判断も続ける判断も根拠を持ってできます。
いまの応募数と採用数が分かる紙を1枚持ってきてもらえれば、どの数字から直すかを一緒に考えられます。こういう選択肢もある、という程度に見てもらえれば十分です。