建設業の29歳以下11.7%、高卒3年以内離職率43.2%

建設業の若手不足は、業界全体の構造になっています。29歳以下は就業者全体の11.7%、55歳以上が36.7%国土交通省『最近の建設産業行政について』)。10年後にベテラン層が一斉に引退する一方で、若手の流入は追いつきません。

高卒で建設業に入った人の3年以内離職率は43.2%と全産業平均より5ポイント以上高い水準(厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況』)。採用しても定着しないなら、毎年の採用は補充で終わります。

ただし、「Z世代は全員が建設業を避けている」わけではありません。BRANU株式会社の調査では、18〜39歳の若年層のうち28%が建設業を就職・転職候補として検討するという結果も出ています(BRANU株式会社 2024年調査)。

建設業を選ぶ層は確かにいる。問題は、その層に届く採用設計ができているかどうかです。この記事では、若手が建設業を避ける理由をデータで整理し、Z世代に選ばれる会社の5つの条件と、事業者と若者の認識ギャップを埋める方法を採用視点でまとめます。

新卒採用は建設業の新卒採用を成功させる5つの戦略、定着施策は建設業の離職率を下げる定着施策5選もあわせて参考になります。


若者が建設業を避ける理由|事業者の認識ギャップ

「3K(きつい・汚い・危険)だから若者は来ない」と語られがちですが、最新の調査ではもう少し違う構図が見えています。

事業者と若者で17pt差の「安全性への懸念」

若者の本音と事業者の予想の差(BRANU 2024年調査・n=400)

項目若者の実態事業者の予想
安全性への懸念で建設業を選外にする44.8%27.5%+17.3pt
給与の魅力を感じている52.7%給与訴求が弱いギャップあり
手に職への関心43.8%技能習得の道筋を示せていないギャップあり

BRANU株式会社 2024年調査(n=400)より作成

事業者は若者離れの原因を「3K・低賃金・長時間労働」と捉えがちですが、若者が実際に懸念しているのは安全性です。事業者側で27.5%しか認識していない一方、若者側では44.8%が「安全面が不安だから建設業は選ばない」と回答しています。

逆に若者側は給与・手に職への期待値が高く(52.7%が「給与が高そう」と回答)、事業者側でその訴求が弱いまま採用活動が進んでいるケースが目立ちます。

Z世代が重視する3つのこと

調査と現場での若者ヒアリングを総合すると、Z世代の建設業に対する見方は次の3点に集約されます。

  • キャリアの見通し: 3年後・5年後にどうなれるかが入社前に分かる
  • 働き方の透明性: 残業時間・休日・有給取得率が数字で開示されている
  • 安全管理の体制: 現場の安全教育・防護具・緊急時の対応が見える

「アットホームな職場」「やりがいがあります」のような曖昧な訴求では、Z世代の判断材料になりません。


Z世代に選ばれる会社の5つの条件

条件1|キャリアパスを「数字付き」で見える化する

Z世代は入社後に考えるのではなく、入社前にキャリアの全体像を確認したいと考えます。求人票や採用サイトで、年次×役職×年収のモデルを具体的に示します。

施工管理職のキャリアパスモデル(求人票記載例)

年次役職モデル年収モデル主な習得スキル
入社1〜2年現場補助・職長補佐350〜400万円2級施工管理技士補の取得
3〜5年現場主任450〜530万円2級施工管理技士の取得
6〜10年現場代理人・所長550〜700万円1級施工管理技士の取得
10年以上工事課長700〜850万円プロジェクトマネジメント

建設業採用支援の実務ベースで作成

「未経験から3年で2級、6〜10年で1級が取れる会社」という道筋が見えるだけで、若手の応募率が動きます。資格取得支援の金額(受験費用全額負担+合格祝い金1級5万円・2級3万円)も求人票に明記します。

条件2|働き方データを正直に開示する

「残業少なめ」「アットホーム」のような曖昧な表現は、Z世代に逆効果です。次の項目を数字で開示します。

  • 月平均残業時間: 業界全体は12.7時間(厚生労働省『毎月勤労統計調査』2024年)。自社の実績を出す
  • 年間休日内訳: 「年間休日110日(土曜は月2回出勤、日祝休み、夏季5日・年末年始6日)」
  • 有給取得率: 直近実績の数字
  • 2024年問題への対応: 月45時間以内に収まっている事実

正直に書くと若手が引くのでは、と心配する経営者もいますが、数字を伏せた求人票のほうが応募率は下がります。「悪い数字でも実態を出している会社」のほうが、Z世代には信頼されます。

条件3|SNSで現場のリアルを発信する

Z世代の情報収集チャネルはSNSが中心です。求人サイトだけだと、母集団の入口で取りこぼします。

建設業のSNS採用で成果が出ている事例は、TikTokやInstagramでの短尺動画。次の3パターンが効きます。

  • 1日の流れ: 7:30朝礼から18:00退勤までを30秒で
  • 社員インタビュー: 入社理由・やりがい・本音
  • 現場のビフォーアフター: 建物が完成していく過程

完璧な動画でなくて構いません。スマホで撮って週1〜2本続けると、半年で応募経路として機能し始めるケースが目立ちます。

条件4|安全管理の見える化

若者の44.8%が安全性で建設業を選外にしている事実に対しては、安全管理の体制を採用情報の中で前面に出すのが効きます。

  • 現場の安全教育プログラム(入社後の研修内容)
  • 防護具・安全装備の支給状況
  • 過去3年の労災発生件数・改善策
  • 緊急時の対応体制

「安全が不安」という若者の懸念に対して、事実ベースで答える求人票・採用サイトが、競合との差別化になります。

条件5|未経験者向けの育成体制を整える

Z世代の建設業候補のうち、業界経験者は限定的です。未経験者を育てる仕組みが整っている会社のほうが、母集団を広く取れます。

  • メンター制度: 年齢の近い先輩が1対1でサポート、月1〜2回1on1
  • 入社後1〜3か月の集中研修: 安全教育・図面の読み方・CAD・現場用語
  • 段階的な業務範囲拡大: 最初から現場任せにしない
  • 資格取得スケジュール: 3年で2級、6〜10年で1級

詳しい打ち手は建設業の人材育成ガイド、定着施策は建設業の離職率を下げる定着施策5選にまとめています。

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給与・処遇でZ世代に選ばれる工夫

Z世代の52.7%が建設業に「給与が高そう」という期待を持っています。この期待に応えられるかが採用の勝負所です。

大手の初任給30万円との差をどう埋めるか

大手ゼネコン5社の大卒初任給は2025年度に30万円で横並び。中小建設会社が同水準を出すのは厳しいですが、手当の積み上げと福利厚生で総額を底上げできます。

  • 資格手当: 1級施工管理技士 月3〜5万円、2級1〜2万円
  • 受験費用全額負担+合格祝い金(1級5万円・2級3万円)
  • 家賃補助・社宅制度(月1〜3万円相当)
  • 賞与の直近実績を数字で(年2回・計4ヶ月分など)

求人票では「月給」だけでなく、年収例を経験別に並べるのが基本です。賃上げ動向は建設業の賃上げ動向にまとめています。

春闘5.46%の流れを採用に反映する

2025年春闘の建設業の賃上げ率は平均5.46%。直近で給与改定をしている会社なら、求人票に「2025年4月のベースアップで月給を月◯万円引き上げました」と明記すると、Z世代に伝わりやすくなります。


若手採用で使える助成金

採用後の費用補填として、助成金の活用も並行して進めます。

若手採用で使える主な助成金

制度対象支給額
トライアル雇用助成金(建設業上乗せ)35歳未満の若手1名月8万円×3か月=最大24万円
キャリアアップ助成金(正社員化)有期雇用→正社員化重点支援対象者で1名最大80万円
人材確保等支援助成金(魅力ある職場づくり)若年・女性向け環境整備年間上限200万円
人材開発支援助成金(建設労働者技能実習)資格取得・技能講習経費3/4+日額賃金助成

厚生労働省『建設事業主等に対する助成金』より作成

助成金は採用の入口を太くする機能はありませんが、採用・育成にかかった費用の一部を取り戻せます。詳しい活用法は建設業の助成金ガイドにまとめています。


中小建設会社が若手採用に動いた3社の事例

会社名は伏せて、都道府県・業種・規模ベースでまとめます。

福島県の総合建設業A社(従業員50名規模)

施工管理候補の若手募集で応募が動かない状態。求人票でキャリアパスを年次×役職×年収で具体化し、月平均残業20時間・年間休日110日・有給取得率65%を全面開示。採用代行(月額20万円)で求人広告と紹介会社の運用を一括化したところ、応募数約2.4倍、年間で13名の採用のうち29歳以下が5名に到達しました。

働き方データを正直に出したことが、若手の応募率を動かした要因です。

新潟県の総合建設業B社(従業員90名規模)

3day実践型インターンを年4回実施し、BIM/CIM体験プログラムを目玉に。採用サイトを全面刷新し、先輩社員5名のインタビュー動画を公開しました。インターン参加者からの応募率が大きく上がり、大卒4名(うち県外3名)を確保。インターン経由の内定承諾率は8割を超えました。

「実際に手を動かす体験」を入口にしたことで、3Kイメージから一段抜け出せたケースです。

長野県の工務店C社(従業員15名規模)

近隣の高専1校に絞り、教授・就職担当との関係を3年かけて作り直しました。年1回のインターン受け入れ+現場見学を継続したところ、2年連続で高専卒1名ずつの採用に成功。SNS(Instagram)で月1〜2本の現場動画を続けたことも認知に効きました。

事例の詳細は建設業の採用成功事例5選にまとめています。


よくある質問

Q. 建設業の若手はなぜ集まらないのですか?

事業者は「3K・低賃金」を主な原因と考えがちですが、若者の実態調査では「安全性への懸念」44.8%が最多です。事業者の予想(27.5%)と17pt差の認識ギャップがあります。安全管理の見える化と働き方データの開示が、若者の懸念に応える起点になります。

Q. SNS採用は本当に効きますか?

媒体だけで応募が決まることは少ないですが、職種認知の入口として効きます。完璧な動画でなくても、現場のショート動画を週1〜2本続けると半年で応募経路として機能し始めます。Instagram・TikTok・YouTube Shortsが建設業との相性が良い媒体です。

Q. 大手と給与で勝負できません

基本給で並ぶのが厳しい場合は、資格手当・家賃補助・社宅・賞与実績の積み上げで総額を底上げします。求人票では「月給」単独ではなく、経験別の年収例を3〜4パターン並べるのが基本です。賃上げ動向は建設業の賃上げ動向に詳しく載せています。

Q. 高卒3年以内離職率43.2%を下げるには?

メンター制度・3か月/6か月/1年/2年面談・キャリアパス可視化・資格取得スケジュールの4点セットが効きます。入社後の不安を早期に拾える体制が、3年定着率を底上げします。詳細は建設業の離職率を下げる定着施策5選にまとめています。

Q. 採用に手が回りません

採用代行(RPO)は、求人票の作成・媒体運用・SNS発信支援・スカウト・応募者対応・紹介会社のコントロールを外部の採用チームが引き受けるサービスです。月額10万〜30万円の建設特化型から段階的に始められます。仕組みは採用代行(RPO)とは?にまとめています。


まとめ|若手採用は「認識ギャップを埋める」ことから

  • 建設業の29歳以下は11.7%、高卒3年以内離職率は43.2%。若手の流入と定着の両方に課題
  • 若者の建設業離れの最多要因は「安全性への懸念」44.8%。事業者の予想(27.5%)と17pt差
  • 18〜39歳の28%は建設業を候補として検討。届け方次第で母集団は作れる
  • Z世代に選ばれる5つの条件: キャリアパスの数字化/働き方データの開示/SNS発信/安全管理の見える化/未経験育成体制
  • 中小は手当・福利厚生の積み上げで大手との給与差を埋める。賃上げ動向は採用情報に反映する
  • 助成金(トライアル雇用・正社員化・魅力ある職場づくり)は採用後の費用補填として活用
  • 採用代行は応募の入口・育成・定着まで横串で運用する上位レイヤー

「Z世代は建設業を避ける」と決めつけるのではなく、若者の本音(安全性への懸念・キャリアの見通し・働き方の透明性)に答える情報発信ができているかを問い直すのが、若手採用の起点になります。

次の一歩として、新卒採用は建設業の新卒採用を成功させる5つの戦略、定着施策は建設業の離職率を下げる定着施策5選、人材育成は建設業の人材育成ガイド、求人票の作り直しは建設業の求人票の書き方、賃上げ動向は建設業の賃上げ動向、採用代行は採用代行(RPO)とは?をあわせてご覧ください。

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