採用コンサルは助言、採用代行は実務。月額の幅は重なっても、返ってくるものが違います
結論から言うと、採用コンサルティングから返ってくるのは助言と設計、採用代行から返ってくるのは動いた実務です。
2026年8月の数字で、建設躯体工事従事者の有効求人倍率(求職者1人あたり何件の求人があるかを示す数字)は8.25倍でした。職業計は1.06倍です。
建築・土木・測量技術者は5.71倍、建設従事者(躯体を除く)は4.37倍。職業別の数字で、季節調整をしていない常用とパートの合計です(厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年8月分)』)。
正社員が足りないと答えた企業は、全体で51.3%。建設は66.0%で業種別の2位でした。2026年7月17日から31日の調査で、1万518社が答えています(帝国データバンク『人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)』)。
人手不足が原因の倒産は、2026年上半期に227件。業種別では建設業の65件がもっとも多い数字でした(同調査)。
採用を社外の力で動かす話が出てくるのは、この数字の中に自社がいるからです。
そこで迷いが出ます。採用コンサルティングの月額はおよそ20万円から、採用代行の月額でもっとも多い層は10万〜20万円未満。金額の幅が重なります。
金額だけでは選べません。
職業別の有効求人倍率(2026年8月・常用/パート含む)
出典: 厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年8月分)』より作成
採用コンサルと採用代行は、どこが違うのか
違いは、誰が手を動かすかの1点です。
採用コンサルティングは、採用計画と求める人物像、選考の流れを会社と一緒に設計して助言します。会議に出て、資料を作り、進め方を決めるところまでです。
採用代行(RPOとも呼ばれます)は、求人票を書き、求人媒体に出し、スカウトを送り、応募者に返信し、面接の日程を押さえます。手を動かすのは引き受けた側です。
採用コンサルティングと採用代行の違い
| 見る点 | 採用コンサルティング | 採用代行 |
|---|---|---|
| 目的 | 採用の設計を決める | 決めた設計を動かす |
| やること | 採用計画・求める人物像・選考の流れの設計と助言 | 求人票の作成、求人媒体の運用、スカウトの送信、応募者への返信、面接の日程調整 |
| 手を動かす人 | 会社の人 | 引き受けた側 |
| 返ってくるもの | 設計書、会議での助言、評価基準などの資料 | 出た求人票、送ったスカウト、設定された面接、月次レポート |
| 費用の形 | 月額制のほか、成果物ごとの単発契約もある | 月額固定が中心。これに求人媒体の掲載費が別でかかる |
| 社内に残る作業 | 設計を動かす実務がそのまま残る | 面接と最終判断、内定承諾の最後のひと押し |
当社の支援経験をもとに作成
納品されるものの違いが、そのまま判断材料になります。コンサルからは設計書と助言が返り、代行からは実際に掲載された求人票、送られたスカウト、日程の決まった面接が返ってきます。
採用代行の仕組みと費用の全体像は採用代行とは?仕組み・費用相場・選び方にまとめています。
建設会社では、助言より先に手が足りないことが多い
人事の専任者がいない会社がほとんどです。社長と工務部長が、面接も求人媒体の管理も兼任しています。
日中は現場にいるので、応募者からの電話に出られません。返信は夜か翌日に回ります。
この状態で設計書を受け取っても、動かす人がいません。
建設業の入職率は11.7%、離職率は10.0%でした。産業計は入職率14.8%、離職率14.2%です(厚生労働省『令和6年雇用動向調査結果の概況』)。
辞める人が多い業界ではありません。入ってくる人が少ない業界です。
就業者は約477万人。55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%で、平均年齢は45.3歳。全産業の44.1歳より高い数字です(令和6年。厚生労働省『建設労働をめぐる情勢について』)。
若い人が入ってこないまま、上の世代が抜けていきます。募集が止まっている月は、そのまま人数が減ります。

費用の見方|金額の幅は重なるので、中身で比べる
採用コンサルティングは、月額制ならおよそ月額20万円からが一般的です。戦略を作るだけの部分的な依頼は数十万円から50万円程度。実行支援まで含む継続契約は、月額50万円を超えることもあります。
成果物ごとの例では、選考の流れの設計が30万円から、求める人物像の設定が30万円から、評価基準の策定が50万円から、採用ブランディング(会社の魅力を求職者に伝える取り組み)が100万円からでした(パーソルビジネスプロセスデザイン『採用コンサルティングの費用相場』)。
採用代行は、導入経験者342人への調査で、月額費用のもっとも多い層が10万〜20万円未満でした。初期費用は5万〜10万円未満が最多。委託期間は3か月が最多で、中央値は6か月です(2025年11月から12月の調査。BOXIL『【342人調査】採用代行(RPO)の費用相場』)。
費用の形の違い
| 費用の項目 | 採用コンサルティング | 採用代行 |
|---|---|---|
| 月額の目安 | およそ月額20万円から。実行支援まで含むと月額50万円を超えることもある | もっとも多い層は10万〜20万円未満 |
| 初期費用 | この資料には記載がない | もっとも多い層は5万〜10万円未満 |
| 契約期間 | 戦略の策定だけなら単発。実行支援を含むと継続契約 | 3か月が最多。中央値は6か月 |
| 成果物ごとに頼む場合 | 選考の流れの設計30万円〜/求める人物像の設定30万円〜/評価基準の策定50万円〜/採用ブランディング100万円〜 | 月額契約が中心 |
| 別にかかるもの | 設計を動かす求人媒体の掲載費と社内の作業時間 | 求人媒体の掲載費、人材紹介から採った場合の手数料 |
パーソルビジネスプロセスデザイン『採用コンサルティングの費用相場』およびBOXIL『【342人調査】採用代行(RPO)の費用相場』より作成
見落としやすい点が1つあります。採用代行でも求人媒体の掲載費は別にかかります。
当社は月額20万円(税別)〜ですが、ここに媒体費が乗ります。実際に出ていくのは「月額20万円〜+媒体費」です。
採用代行の月額だけを他社と並べても、総額は分かりません。手法ごとのコストは建設業の求人費用|手法別コスト比較に具体例を置いています。
建設業で見落とされる1点|躯体・土木の技能者は人材紹介では決まらない
令和6年度に有料の人材紹介で決まった件数を職種で見ると、差がはっきり出ます。
建築・土木・測量技術者は26,230件で、前の年度より32.9%増えました。新規の求職の申込みも461,135件ありました。
一方で建設躯体工事の職業は0件でした。建設の職業(躯体を除く)が5件、土木の職業が8件、建設機械運転などの職業が595件です(厚生労働省『令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』)。
建設躯体工事の職業への新規の求職申込は、令和6年度に全国で18件でした。
有料の人材紹介で決まった件数(令和6年度・常用就職)
| 職種 | 決まった件数 |
|---|---|
| 建築・土木・測量技術者 | 26,230件(前年度比32.9%増) |
| 建設機械運転などの職業 | 595件 |
| 土木の職業 | 8件 |
| 建設の職業(躯体を除く) | 5件 |
| 建設躯体工事の職業 | 0件 |
技術者と技能者で、頼る先が分かれます。
施工管理や設計の技術者は、人材紹介で採用が決まっています。紹介会社をどう使いこなすかという話になります。
とび、鉄筋、型枠、土木の技能者は、人材紹介の市場にほとんど出てきません。自社で募集をかける実務を誰が回すか、という話になります。

人材紹介の手数料は、常用就職(期間の定めがない、または4か月以上の雇用で決まった件数)1件あたり約103万円でした(令和6年度。前の年度より10.9%増。同資料)。
ただしこれは全業種をならした平均です。建設業の施工管理では、採用した人の年収の45%が主流です。
1級の資格を持つ所長クラスや急ぎの募集では、60〜70%まで上がることもあります。この水準は当社が建設業の採用で見てきたもので、公的な統計ではありません。
高いから使わない、という話ではありません。技術者を確実に採れる主力の手法です。求める人物像の伝え方と推薦への返信の速さで、同じ手数料でも結果が変わります。
紹介会社との違いをもう少し細かく見たい場合は採用代行と人材紹介の違い、施工管理の手数料の見方は施工管理の人材紹介に具体例を置いています。
任せる前に押さえる、法律の線引き
候補者を連れてきて会社に会わせる行為は、職業紹介にあたります。職業安定法は、求人と求職の申込みを受けて、雇用関係の成立をあっせんすることを職業紹介と定めています(第4条第1項)。
これを有料で行うには、厚生労働大臣の許可が要ります(第30条第1項)。許可を受けずに行った場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第64条第1号。e-Gov法令検索『職業安定法』)。
もう1つ、委託募集があります。会社の名前で行う募集そのものを、自社の社員以外の人に報酬を払って任せる形です。
これにも許可が要ります(第36条第1項)。違反の罰則は第64条第7号で、内容は同じです。
一方で、会社の指示のもとで日程調整やスカウトの送信といった事務を受けるだけなら、職業紹介にはあたりません。雇用関係の成立をあっせんしていないからです。
ただし、会社の名前で行う募集そのものを任せる形になると、さきほどの委託募集にあたることがあります。
つまり「代行だから許可は要らない」とは言えません。任せる業務の中身で決まります。
契約の前に確かめる3点
1つ目は許可番号です。候補者の紹介まで頼む場合は、有料職業紹介事業の許可番号を出してもらい、番号が実在するかを確認します。
2つ目は業務の範囲です。求人票の作成、媒体の運用、スカウト、応募者対応、日程調整のうちどれを任せるのかを、契約書に書きます。口約束だと、あとから線が引けません。
3つ目は、採用人数を約束してこないかどうかです。採用人数を書面で約束する業者は、業務委託の枠を超えています。揉めやすくなるので避けてください。
建設会社は、どちらに頼むか
いまの状況で分かれます。
求人票も媒体も動いているのに決まらない
求人媒体に出していて、スカウトも送っていて、応募も来ている。それでも採用まで届かない。
この場合は設計のズレです。求める人物像が市場にいない人になっているか、選考の流れが長すぎるかのどちらかです。助言が効きます。
そもそも手が回っていない
求人票を直す時間が取れない。応募者への返信が翌週になる。媒体の管理画面を最後に開いたのが1か月前。
設計より先に、動かす人が足りていません。採用代行の出番です。
紹介会社に任せきりで決まらない
紹介会社に登録したまま、推薦が来ても返信が遅れている。落ちた理由も返していない。
紹介会社のとりまとめも含めて、採用代行で回す形になります。
専任の人事を置くかどうかは、あとから決めてかまいません。建設特化の採用代行と組む形を基本線に置き、そのうえで社内から誰を何時間出すかを考える順番になります。
両方を頼む場合は、コンサルの月額と採用代行の月額、それに求人媒体の掲載費が同じ月に重なります。

よくある質問
どちらを先に頼めばいいですか?
応募が来ていないなら採用代行、応募は来ているのに決まらないなら助言が先に効きます。
費用はどちらが高いですか?
月額の幅は重なります。コンサルは実行支援まで含めると月額50万円を超えることがあり、採用代行はもっとも多い層が10万〜20万円未満です。
ただし採用代行には求人媒体の掲載費が別で乗ります。総額で比べてください。
外に出すと丸投げになりませんか?
面接と最終判断は社内に残ります。求める人物像を決めるところも、現場を知っている社内の人と一緒に進めます。
外に出すのは、求人票、求人媒体の運用、スカウトの送信、応募者への返信、日程調整です。
採用人数を約束してもらえますか?
書面にはできません。採用代行は業務委託契約で、応募するかどうか、承諾するかどうかを引き受けた側では決められないからです。
書面にできるのは業務の量です。スカウトの送信通数、求人票の作成と改訂の本数、月次レポートの提出日、応募者への返信の期限(24時間以内)。この4つは契約書に書けます。
採用人数を書面で約束してくる業者は、業務委託の枠を超えています。避けたほうが安全です。
なお、成果報酬型の契約も、当社は建設業では勧めていません。決まらなければ売上にならない契約なので、難易度の高い建設業の案件は優先度が下がりやすくなります。
コンサルと代行の両方を頼めますか?
頼めます。ただし費用は重なります。
採用代行の契約に設計の話し合いが含まれていることも多いので、見積もりを取る前に、求める人物像と選考の流れをどちらが作るのかを確かめてください。
まとめ|助言が要るのか、手が要るのか
要点は4つです。
- 採用コンサルティングは設計と助言、採用代行は求人票・求人媒体・スカウト・応募者対応・日程調整の実務。違いは誰が手を動かすかです
- 月額の幅は重なります。コンサルはおよそ月額20万円から、採用代行はもっとも多い層が10万〜20万円未満。金額だけでは選べません
- 建設躯体工事従事者の有効求人倍率は8.25倍。その一方で、建設躯体工事の職業で令和6年度に有料の人材紹介で決まったのは0件でした。躯体・土木の技能者は、自社で募集する実務が要ります
- 候補者を連れてくる業務を頼むなら許可が要ります。日程調整やスカウトの送信といった事務だけなら、職業紹介にはあたりません
当社が支援した長野県の工務店(従業員15名)は、最小構成から始めて現場1名と事務1名を採用し、その後は自社で回せるようになりました。
助言が足りないのか、手が足りないのか。この見分けがついた時点で、頼む先は決まります。こういう選択肢もある、という程度に受け取ってもらえれば十分です。